「と言う作戦です」
ざわざわと話を聞かされたメンバーはその無茶苦茶な作戦とも言えない内容に驚愕する。
そして、その内容はゴンザレス太郎が耐えきれなかったら、彼は死に世界の終わりを意味している。
「他に方法は無いのだな?」
デニムの言葉にゴンザレス太郎は頷く。
もしかしたらまだなにか方法があるかもしれない、だが今この時も心ない天神の大群はここを目指して向かっているだろう。
時間は余り無いのだ。
「分かったわ、私が炎王球で打ち出してあげる」
サラの役目についてはゴンザレス太郎が決めていたので本人の了承のみがあれば良かった。
「私も分かりました。天の裁きと砂浜の結界は任せてください」
「俺もだ」
メールとアーサーも了承が出た。
ヒントはサリアの放ったレールガンが当たった心ない天神は、ダメージは無いが仰け反ったと言うことにあった。
そして、動きやすく砂浜を結界で覆い尽くす事もこれで大丈夫だ。
「駄目だな」
デニムの言葉が響く。
一同はデニムの方を見てゴンザレス太郎の作戦とも言えないそれに反論する。
「上陸を許してしまったら囲まれた時はどうする?町から少しでも離して被害を減らすことを考えて、やるなら海上だ!」
その言葉にゴンザレス太郎は反論する。
議論は続きデニムの一言で決着がついた。
「俺がゴンザレス太郎を跳ね返す。そうすりゃ問題ないだろ?」
誰もがその言葉に出来るわけがないと考える。
いくらSランク冒険者とは言え今のゴンザレス太郎の全力を空中で跳ね返せるわけがないと考えていたのだ。
そして、跳ね返せたとしても陸の上なら兎も角、空中で止まっていたらゴンザレス太郎に向けて放たれる消滅の光に照されるのは間違いない。
「しかし…」
「それに今のままの作戦じゃ射程が足りないんたろ?」
「?!」
デニムのその言葉は的を射ていた。
そして…
「往復で左手から外に向けてやれば射程は更に広がる…だろ?」
「でもそれじゃデニムさんが…」
「いいかゴンザレス太郎!お前一人で戦ってるんじゃねぇんだ!『人』って字はな、短い間俺達みたいな者がお前みたいな長いやつを支えて出来てるんだよ!俺達はお前を信じている、自分の命を賭けるなら一緒に乗っからせろよ、お前さえいてくれたらきっとなんとか出来るんだろ?」
それは決して楽観的な考え方ではない、本当に本心からゴンザレス太郎なら全てを何とかしてくれると信じているのだ。
そして、それはこの場に居る全員が同じ気持ちだった。
マコトのミスでモンスターハウスに飛ばされて確実に全滅してた筈のメール。
サラと魔王の襲撃で町ごと全滅してたはずのデニム。
魔物の町を埋め尽くした鬼の大群に殺されてたサラ。
母親の魂石を守るため自身の命を懸けて鬼の大群から守り死ぬはずだったアーサー。
誰もがゴンザレス太郎にその命を救われ、幾度も奇跡を見せられていたのだ。
ゴンザレス太郎はデニムの想いを受け止め作戦を練り直す。
そして…
震える右手しか残っておらず目も見えない、体は徐々に崩れていくゴンザレス太郎は最後の力を振り絞りスキルを操作する。
その右手に握られた一つの瓶…
ゴンザレス太郎の命も尽き果て手からそれが落ちる…
ゴンザレス太郎はサラに抱き締められながら崩れていく…
サラの手からも既に力は無くなっており、最後の最後まで回復魔法をゴンザレス太郎にかけていたというのが分かる形で止まっていた。
そして、作戦の最後の要!
そこまで走ってきたメールが飛び込みその転がった瓶の蓋を開ける!
全てを決めたそのラストエリクサーを使用したのであった。