夏が来て、今日クラスの皆は騒がしくなっていた。
それもその筈、今日は学校で狩りの実技授業があるのだ。
この日の為に冒険者がギルドの依頼を受けて、この町の冒険者数名が町の城壁外の草原で狩りをする補助に来てくれる。
それに学校の担当の先生も同行し、クラス単位で狩りを行う課外授業なのである。
しかも初めて町の城壁から外に出ると言うこともあり、子供達は浮かれているのだ。
「その日、人類は思い出した。奴らに支配されていた恐怖を。鳥かごの中に囚われていた屈辱を…」
「ゴン太君何一人でブツブツ言ってるの?」
「あわわわシズクちゃん?!」
町を囲う高い壁を見上げながらポツリと呟いたゴンザレス太郎、その小言を聞いたシズクちゃんが声を掛けてきたのだ。
この高い城壁は町を魔物やモンスターから守る物で、外に巨人なんて居ないのだが、何度見ても町が高い城壁に囲まれてるのを見ると前世のあの作品を思い出してしまう。
駆逐してやるとか言い出さないか、今から心配である。
ゴンザレス太郎、7歳にして中二病が発症していた。
「なんでもないよ、ちょっと頑張ろうって気合い入れてたんだ」
「そっか頑張ろうね」
あぁ~シズクちゃんは今日も可愛いな。
中身は前世の記憶もあるので、合算で25歳くらいと考えると完全にロリコンであった。
中二病は輪を掛けて大問題である。
「よぅゴン太、今日どっちが沢山狩り出来るか勝負しようぜ」
アイアンがまた突っ掛かってきた。
こいつも相変わらずシズクちゃんが好きで、ゴン太とシズクちゃんが話していると必ず絡んでくるのだ。
だが今日のゴン太はアイアンの事なんてどうでも良かった。
そう、狩りを行うと言うことは神力を大量獲得のチャンスなのである!
「え~だってアイアンのユニークスキルの『熱血』使ったら勝てるわけないじゃん」
ここはおだてて気分良くして貰って、構わない方向でいいだろう。
まぁアイアンのスキル『熱血』はどんな攻撃であろうと威力が2倍になるのだから、弓矢で狩りをするだけでもスキルを使えば結果は目に見えているのだが。
普通に考えて、威力が2倍ということは致命傷じゃない部位に当たっても十分に獲物を動けなくさせられるのだ。
「まぁゴン太じゃ一匹も倒せないかもしれないけどね」
「ちげぇねぇや!」
「「あははははははは」」
相変わらず子分のホネオがウザイ。
泣きだしたら「ママー」とか言うのに、アイアンの横に居る時はこんなんだから更にウザイ。
ゴンザレス太郎はどうでもいいやとその場を離れて授業が始まるのを待つのだった。