ゴンザレス太郎一同が道行く人に場所を聞きながら向かったのは冒険者ギルドであった。
彼等が住んでいた町とは違い、砂漠の町の建物は石のような物で出来ており、砂漠と言う木がない場所で建物を作るための工夫と言うかそう言った技術が駆使されて作られているのだが、建築関係の知識はゴンザレス太郎だけでなく二人も皆無なので見上げて…
「綺麗に削ったんだな…」
と積み上げるのではなく巨大な岩を運んできて削って建物にしていると勘違いしていた。
そんな巨大な岩を運べるのは自分達だけと言う常識が欠落しているのである。
「見ない顔だね、冒険者ギルドに何か用かい?」
声を掛けられ後ろを振り向くと、そこにはサボテンが居た。
何を言ってるか分からないかもしれないが、身長170センチくらいのサボテンが立っていたのだ。
そして、唖然としたゴンザレス太郎達の間を子供達が駆け抜けていく。
「タツヤ?」
「ん?なんだい?」
ゴンザレス太郎の手には子供服が乗っていた。
そして少し離れたところで…
「うわー何でお前裸なんだよ?!」
「そう言うお前も裸だぞ?!」
と叫び声が聞こえてきた。
そして、目の前のサボテンがバランスを崩して倒れる。
それは崩れた瞬間に子供が肩車していたのだと分かる様になった。
「へぇ~器用なものね~」
サラがモジモジしながら感心する。
そう、この子供達は光の魔法で幻覚を見せていたのだ。
これを見て驚いてる人の間を子供達が通り抜け、誰がスリをしたか分からないと言う作戦だったのだ。
「ごめんなさい~服返してください~」
四人の男の子が全裸で股を両手で隠しながらやって来た。
ゴンザレス太郎はヤレヤレと言った感じで笑顔で服を手渡し、受け取った服を抱き締めて男の子達は「覚えてろー!」って言い残して走って行った。
そして、残った一人の女の子が震える手で手を差し出してきた。
その手には金貨が3枚乗っていた。
「あ、あの…これ…」
「あっ拾ってくれたんだありがとう」
そう言ってゴンザレス太郎はその金貨を受け取り、代わりに銀貨を3枚その手に乗せた。
「これは拾ってくれたお礼だよ」
「えっ?いえ、でも…」
「良いから取っときな」
そう言って振り替えるゴンザレス太郎を睨みつけているフーカ。
そして、走り去ってかなり遠くの方で「えー?!」ってさっきの女の子の声が聞こえた。
フーカのユニークスキル『スキミング』は全てを見抜いていた。
それでは何があったのか解答と行こう。
サボテンに擬態した少年達をフーカは何事もなく見抜き落ち着いていた。
不思議な生物とかを見たら興奮するフーカが平然としている、なのでゴンザレス太郎とサラはそれが幻覚かそれに類似するモノだと理解し、自分達に近寄る子供に気付く。
そして、ゴンザレス太郎はスラれた財布をスリ返し更に少年達の服を全部脱がせ、一人居た女の子の手の中に財布から出したお金を入れて握らせた。
ついでに一人の男の子にサラが尻を触られそうになったのを見つけ、その少年の手の下に自分の手を入れてサラの尻を代わりに撫でて瞬時に元の位置に戻った。
そして、さっきの女の子にゴンザレス太郎がサボテンで使われた魔法を理解して真似し、金貨に擬態させられた銅貨を少女が返しに来たら銀貨に擬態した金貨を女の子に渡したと言うわけであった。
正直に少女が返しに来たら得をするゴンザレス太郎の演出である。
そして、フーカのこのご機嫌斜めは…
「サラのお尻触った」
「いや、不可抗力で…」
「私のは触ってないのに触った」
「あ、あのねフーカさん…」
「サラのだけ触った!」
「……はい」
ゴンザレス太郎は正面からフーカを抱き締めて両手でお尻を撫でる。
ピンクのパジャマの肌触りにフーカの柔らかいお尻の感触が手に伝わる…
「あんっ」
「わざと変な声だすな!」
勿論人通りの多い通りのしかも冒険者ギルドの前でそんな事してるものだから人だかりが出来ていて…
「ママー昨日のママとパパがしてたやつだー」
「しっ!見ちゃいけません!」
なんて指差して言ってくる買い物親子とか居て、場は変な盛り上がりをしていた。
勿論フーカはパジャマ姿のままなので凄く浮いているので、どう考えても風俗的なお店のサービスにしか見えません。
「っで、こいつらがその怪しい3人組ね…確かに怪しすぎる…」
ゴンザレス太郎はその男の視線に気が付いた。
まだ10メートルは離れているのに射程内に入ってる気配をわざと放つその人物こそ、この町在住のSランク冒険者デルタであった。
そして、サラは予期せずゴンザレス太郎に尻を触られてズット嬉しそうにモジモジしてるのだった。