異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第9話 フーカ ニーガタの町でCランクまで飛び級する

「それで隣で寝てた人の『ブラッドダメージ』を体験したと?」

「凄い珍しいスキルだったから自分でも会得したよ」

 

昨夜一人だけ雑魚寝の場所で寝たゴンザレス太郎、偶然隣で寝ていた冒険者と意気投合して仲良くなっていた。

その男性が使えるスキルが面白かったので、会得出来たゴンザレス太郎は朝からご機嫌であった。

 

「それで、今日はどうするのよ?」

「とりあえず依頼でも受けて町の様子でも見ようかと思うんだけど」

「タツヤがそう考えるのなら手伝う」

「私は別にどっちでもいいんだけどね」

 

昨夜の事件など何も知らない3人、異変が起こっている事すらも気付かず冒険者ギルドにやって来ていた。

ちなみに依頼を受ける、と言ってもフーカがGランク冒険者として登録しているのみで、サラとゴンザレス太郎は登録していなかった。

飽く迄マジメの3人と知り合う為に町で登録したっきりだからだ。

 

「でも私Gランクだから、町の中の手伝い的な仕事くらいしか無いと思う」

「まぁこのあたりの魔物は確かに強いし、冒険者成り立ての人がこの町の外でやっていけるかと聞かれたら無理としか言えないからね」

「本当人間って軟弱だわ」

 

魔王の娘であるサラは魔物と人間(正確には転生者の魔王)とのハーフなので寿命も身体能力も普通の人間よりかなり強い。

今はゴンザレス太郎の力でステータスが3人共カンストしているが、会う前の状態でも一人でこの町の住人を皆殺しにしろと言われたら出来なくは無いレベルの強さだ。

そんなサラからしたら砂漠で野営出来ない人間は軟弱だと思われても仕方ないだろう。

 

「とりあえず依頼書見る」

「だな」

 

冒険者登録していないゴンザレス太郎とサラはフーカの助手として依頼に協力する形を取っている為、複数人で依頼を達成したら人数分の報酬が出る依頼をこなしても1人分しか貰えないと言うルールがある。

これはテイムした魔物と共に仕事をするのと同じなので仕方あるまい、嫌なら登録しろって事である。

どうでも良いが現代日本でもバイクはエンジン切って手で押せば手荷物と言う扱いになるので、そのまま電車にも乗れるのを知ってる人は少ない。

まぁやる人もいないが。

 

3人は依頼ボードを一通り見て暇つぶしに出来そうな仕事を探す。

と言ってもここは砂漠の町『ニーガタ』、仕事によっては3人にはどうしようも無い物もあるだろう。

例えば、トイレ製造協力とかこういう仕事もそうだろう。

基本的に砂漠の公衆トイレは穴を掘ってそこに雨風を凌げる壁と天井を付ければ完成と言う形である。

なのでその穴掘りに冒険者を手伝わせるのが基本なのだ。

だがこの場合、以前掘られた場所を掘り返さないように等、考えたら当たり前なのだがやった事無い人には分からないかもしれない内容の物もある。

 

「タツヤ、これどう?」

 

フーカが手に取った依頼書は『毛虫スコーピオン』の毒針採取依頼であった。

毛虫スコーピオンはサソリの様な姿に、毒を持った毛虫の様な尻尾が生えている魔物である。

この毛虫状の尻尾には毒が在り、この尻尾からは毒の血清と様々な薬が作れるのだ。

 

「でもこれランクCの依頼書だよ?」

「大丈夫コレ使う」

 

そう言ってフーカが出したのはSランク冒険者『極盾のデニム』のCランクまでのランクアップ依頼書であった。

知り合ったデニムにフーカはその力を見せてこのギルドへの依頼書を作ってもらっていたのだ。

冒険者ランク分けにはやはり低いランクの冒険者に稼ぐ為とは言え、難易度の高い仕事をやらせて死なれて冒険者の数が減るのは避けたいので、このランク別依頼受注制度を設けているのだが、Sランク冒険者のみ推薦と言う形でこういう飛び級みたいな事が出来るのである。

 

「んじゃ行ってくる」

 

フーカが受付に行ってサラとゴンザレス太郎は適当に席に着いてフーカが戻るのを待つ。

 

 

 

「なぁナジム、あいつらに頼んでみたらどうだ?」

「あの3人ですか?無理ですよ、俺達Bランクの冒険者パーティだったのに何も出来ず全滅したんですよ?」

「まぁ駄目元で当たってみたらイイさ、少なくともあの3人まともに戦ったらこの町で一番強いぞ」

「えっ・・・マジですか?」

 

デルタのその言葉に固まるナジムは受付に行っているフーカを見て、受付がなにやら両手を上げて「どひゃー?!」と声を上げてそうなポーズになっているのが目に飛び込んできて少し気にし始めていた。

ちなみに今日のフーカはいつもの紺色魔道士ローブを着ているので、何処からどう見ても魔法使いにしか見えなかった。

まさかナジムどころかデルタよりも力があるとはとても思えないその後姿に視線をやるのであった。

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