異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第11話 始まる予定だった惨劇の回避

「たっ大変だぁー!」

 

サラが座りギルド内に落ち着きを戻りだした時、一人の冒険者がギルドに血相を変えて飛び込んできた!

その慌て様から何事かと場の空気はまた緊張する!

 

「だ、ダンジョンが・・・ダンジョンが・・・」

「ダンジョンがどうしたんですか?!」

「ダンジョンが・・・生えて来た・・・」

 

ギルド職員の質問に対して慌てた冒険者が言った言葉に一同は首を傾げる・・・

言ってる言葉の意味がこの場に居る誰一人理解できなかったのだ。

 

「良いから町の門からでも見えるから見てくれ!」

 

冒険者が外を指差してるので一同はギルドから出てその光景に驚愕する・・・

長年生きているギルドマスターですらも唖然としながらその光景を眺めていた。

その視線の先には巨大な何かが在った。

そしてそれは徐々に天へと伸びていく・・・

 

「なん・・・なんだあれは・・・」

 

それは誰の言葉か分からないが誰もが同じ事を考えていただろう。

だがその中で二人だけ・・・

そう、転生者であるゴンザレス太郎とナジムだけはそれを見て一つの物を想像していた。

 

((コミケのアレだ!))

 

半分に割れたハートのネックレスを見るともう半分をイメージできるように・・・

ドリンクホルダーを見ればそこに入る缶ジュースをイメージできるように・・・

2人はその一部を見ただけでその全体像を想像した。

ニーガタの町から10キロ程離れた場所に現われたそれ、地面から見えている部分よりも上に行くほど広くなっており、砂漠と言う事でイメージも直ぐに浮かんだそれはまさしく逆になったピラミッドだった。

地面の下は見えないが、きっと逆三角形になっているのはピラミッドを見た事無い人間でも想像できるだろう。

そして、その場所はニーガタの冒険者なら誰もが知っている場所・・・

 

「まさか、ダンジョンが地上に出てきたのか・・・」

 

ナジムの呟きに誰もが同じ事を考えたのだろう、何も言わず数名がただ頷く・・・

そして、逆ピラミッドの方向からニーガタへ向かって走ってくる人達が視界に入った。

 

「スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」

 

ゴンザレス太郎はスキルを発動しコードを選択する。

自分とサラに『スキル自由選択』を使用し、ホネオのユニークスキル『望遠眼』を付けそれを見た。

地上に現われた逆ピラミッドの入り口らしき部分から大量の魔物が砂漠に溢れ出ていたのだ!

近くに居た冒険者と思われる集団は魔物から逃げる者や仲間を逃がす為に対峙する者様々だが、その殆どが助からないだろうと言うくらい魔物の数が多すぎた。

しかし、ゴンザレス太郎とサラはそれに気付き首をかしげた。

 

「殺されず捕らえられてる?」

「みたいね、巣に持ち帰って保存食にするのかしら?」

 

サラが怖いこと言うが生物界では良くある事だ。

身近なところで言えば蟻がそうであろう、まぁ殺しはするだろうが。

 

「ど・・・どうすれば・・・」

 

ナジムの呟きがギルドマスターを動かした。

 

「直ぐに町の門に人を集めて守りを築け!」

「俺は先に行く!ナジム、お前は人を集めて助けに来い!」

 

ギルドマスターの指示に冒険者ギルドの職員は頷き行動を開始する。

妄槍のデルタはナジムに冒険者を門に集めろと指示を出し、一足先にニーガタの町の入り口の門へと駆けて行く。

各々が行動を開始する中、それは飛んで来た!

空を飛ぶアンデット『カラスケルトン』の大群である!

いくら壁が在ったとしても空からの魔物の襲撃には対処のし様が無いのであろう、ギルドマスターを始め、魔法が使える冒険者が空に向かって魔法を放つ!

次々に倒すのだがあまりにも数が多すぎる!

ギルドの方へ一同は後退しながら撃墜するのだが、やがてその物量に押し切られそうになった時に・・・

 

「ウザイ!」

 

サラが手を払った。

次の瞬間空に居たカラスケルトンが一斉に燃え上がった!

 

「馬鹿!落ちてくるでしょ!」

 

更に燃えているカラスケルトン達が瞬時に粉々に吹き飛ぶ。

フーカが風魔法で吹き飛ばしたのだ。

僅か2秒、それで空を覆いつくしていたアンデットモンスターは全滅した。

そして、ゴンザレス太郎は地面に落ちている石を拾っては投げてを繰り返していた。

その投げられた石は音速の壁をぶち破り、物凄い衝撃波を起こしながら遥か10キロ離れた先で襲われている人達に襲い掛かる魔物を粉砕していた。

 

3人の規格外を超えたその実力に一同・・・

 

(もうこいつら居ればいいんじゃね?)

 

とか思っていたり思ってなかったりしていた。


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