異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第12話 史上最強の3人出陣!

ゴンザレス太郎の遠投のおかげで助かった冒険者達がニーガタの町に次々と駆け込み、それを追うように砂漠に様々な魔物が姿をどんどん現す。

 

「くそっキリがないな…」

 

妄槍のデルタは見えない槍を次々と投げて魔物を足止めする。

デルタの見えない槍は魔力で作られた見えない槍で、その特殊効果は固形でないモノを喰らう。

デルタは逆ピラミッドから次々と出てくる魔物の闘争本能と理性を喰らって足止めを行っていた。

闘争本能を喰らわれた魔物はその場で立ち止まり、次から出てくる魔物の文字通り壁となって妨害をする。

理性を喰らわれた魔物は同士討ちを行う。

それならば全て理性を食わせて共倒れを狙えば良いのでは?と思うかもしれないが、デルタの能力には同じものを二度続けて喰えないと言うルールがあったのだ。

 

そして、近くまで来た魔物はデルタが土を魔法で固めて作った槍で串刺しにして倒していた。

遠距離戦も近距離戦も同時に行える冒険者!

伊達にSランク冒険者では無いのである!

 

「全員町に入ったか?!」

「多分俺等の後ろに居たやつ等はもう・・・」

「よし!お前ら伏せろ!」

 

デルタは地面に両手を着いて魔力を流し込む・・・

そして、砂漠の砂を土魔法で固めて巨大な槍を生み出す!

ニーガタの町の入り口に完成したのは数キロにも天へと伸びた聳え立つ巨大な槍!

そして、その槍の根元に手を当てて魔力を流し込む・・・

 

「くたばれ化け物共!『倒槍震』!」

 

巨大な槍がピラミッドの方向へ倒れ始め、倒れる面には細かな槍が無数に生えた!

そしてそれは直線状に居る大量の魔物達を圧倒的厚量で串刺しにしながら倒壊した!

巻き起こる砂塵、ニーガタの冒険者達はその目でSランク冒険者『妄槍のデルタ』の実力に歓声を上げる!

 

「まだだ!」

 

デルタの声が歓声の中に響く!

そう、確かに物凄い量の魔物は倒したが、現在も次々と逆ピラミッド内部からは無数の魔物が生まれ飛び出し続けているのだ。

まさに無限沸きとも思えるその光景にニーガタの住民達は絶望を覚える。

デルタ自身も何度も使える訳ではない大量虐殺奥義『倒槍震』を使って疲労が見えるが、まだまだ納まる事の無い魔物の姿に気合を入れる。

しかし、次の瞬間唖然とするのは読者の予想通りであった。

 

「こんな感じかな?『火炎倒槍震』!」

 

サラがデルタの直ぐ横で同じような魔法を使う。

だがそれはただの魔法ではなかった。

デルタの倒槍震に更に炎を纏わせ、太さも1.5倍くらいにしたとんでもなく巨大なそれをピラミッドに向けて倒す!

町の住人はそれを見て口を大きく開けて唖然とする・・・

 

「嘘だろおい・・・」

 

そして、サラの天高く雲すらも突き抜けた槍は逆ピラミッドの真上に直撃し、逆ピラミッドを破壊しながら地上に居た魔物を焼きながら押し潰した。

 

「だから、やりすぎは駄目」

 

サラの後ろにはフーカとゴンザレス太郎が居た。

ゴンザレス太郎の『射程無限』でフーカの風魔法の射程を伸ばし、サラの火炎倒槍震の逆ピラミッドにぶつかった部分を粉々に切り刻んでいたのだ。

まさにチートとしか言えない3人の力を見せ付けられデルタ自身も言葉が出なかった。

実際に逆ピラミッドは角が少し欠けただけでそのまま存在していたのだから・・・

 

「それでアーニャさんはピラミッドの中に居るんだな?」

「あぁ、おかしくはなっていたが生きている筈だ」

 

デルタはその言葉を聞いて振り返る。

そこにはゴンザレス太郎とナジムが居た。

 

時は少し遡る・・・

 

 

 

 

逆ピラミッドが出現してデルタから言われた通り、ナジムが冒険者達を集めて居た時に一人の女の子がナジムにしがみ付き叫んでいた。

 

「ナジムのおじちゃん!お母さんは?お母さんは何処?!」

「マリーちゃん・・・」

 

その姿を見たゴンザレス太郎は気付いた。

昨日金貨を渡した子だったのだ。

 

「すまない、あそこの中にまだ居るんだ。だけどきっと無事さ、皆できっと助けてくるから。だからマリーちゃんは良い子で待ってるんだよ」

「・・・うん、ナジムのおじちゃんを信じる。だからお願いね」

「あぁ・・・」

 

そして、ゴンザレス太郎はナジムに声を掛けてアーニャ事を聞き、逆ピラミッドに助けに行く事を決めたのだった。

 

 

「んじゃ行こうか二人共」

「うん、タツヤとピラミッドデート」

「フーカ、私も一緒なんだけど・・・」

 

少し前まで殆どの住人が絶望に包まれていたニーガタの町から、親指を口に咥えてとんでもない速度で逆ピラミッドに向かっていく3人を町の人々は唖然と見守るのであった。


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