異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第24話 ダマとの再戦

数日が過ぎた。

歴史は繰り返され、ほぼ無人となったニーガタの町の入り口にゴンザレス太郎は座っていた。

眺める先には逆ピラミッドが静かにその存在を主張する。

 

怪我はミリーのお粥のお陰で完治しており、彼はその時を待つ…

そして、それは現れた!

 

「あそこか」

 

ゴンザレス太郎は勢いよく立ち上がり、砂漠の中を駆けていく!

目指す先は逆ピラミッドから更に数キロ離れたその場所!

今現在も天の裁きが降り注ぐその地点!

フーカとサラを救い出せる最初で最後のチャンスを逃さぬように彼は全力で砂漠を走った。

 

 

 

天の裁きが消失し、その場に3つの人影が在った。

サラとフーカ…そして、銀色に輝く女性の姿をしたゴーレムが一体そこに居た。

 

「くはははは…これこそが最強!無敵!私はこの世界で最強となったのだ!」

 

そのゴーレムは声を高らかに上げて歓喜に震える。

ゴーレムの立ってる場所の周りの砂は天の裁きによって蒸発し、大きなクレーターとなっていた。

歴史は繰り返す。

ダマは1000年前もミリーが見ていた通りに自らの新しい体の実験を行っていたのだ。

 

そして、離れた場所に天の裁きを発動させ、その衝撃で吹き飛ばされてズタズタになって転がり、ボロボロなのに無表情で立ちあがるサラとフーカの姿があった。

ゴンザレス太郎は遂に二人を見つけた。

 

「んん?お前…まさか生きていたのか?」

「生憎しぶといのが取り柄でね」

 

ダマもゴンザレス太郎を見つけ、テレパシーの様な力で話し掛けてくる。

新しいダマの体は天の裁きですら影響を受けず、表情は人に限りなく近付いていた。

 

「でだ。それが史上最強の体って訳か」

「あぁそうさ、どうだ美しいだろ?」

「太陽の光が反射して眩しくてよく見えないよ」

 

笑いながらゆっくり歩いて近付くゴンザレス太郎。

ダマも天の裁きで出来た大穴を飛び越え、ゴンザレス太郎に近付いていく。

 

「それで何をしに来た?」

「勿論俺の愛する二人の花嫁を迎えに来たのさ」

「ハハハッやっぱりお前だけは他の人間とは違うな」

「よく言われるよ」

 

おちゃらけた会話を楽しみながら二人は一定の距離を保ちつつ向かい合って立つ。

ダマは自身の近くにフーカとサラを立たせる。

 

「こいつの記憶にあるラストエリクサーによる空中散布対策をさせて貰うよ」

「お前一人にそんな大規模な事をするつもりはねーよ」

 

ゴンザレス太郎の謎の笑みにダマは少し考える。

二人の記憶から今までゴンザレス太郎が成してきた事を知っているダマは欠片も油断をしない。

二人の潜在意識の中にはゴンザレス太郎への、どんな過酷で絶望的な状況にも彼ならば何とかしてくれると言う絶対的な信頼があるからだ。

 

「何を企てているのか知らないが良いことを教えてやろう。」

「良かろう聞いてやるから話すと良い」

「ギリッ」

 

フーカとサラは人質に取り大規模攻撃は封殺し、自身の体に絶対的な信頼を持っているにも関わらず、何故か上から目線で立ちはだかるゴンザレス太郎に苛立ちを覚えるダマ。

 

「さっきの天の裁きを連続で受けてもこの体は傷ひとつ受けない。そしてステータスがカンストしている二人の攻撃も既に試した。お前が私を倒すことは最早不可能だ!」

「ハハハッでもここじゃ水がないから水蒸気爆発は起こせないぞ」

 

ゴンザレス太郎は余裕の表情でダマをバカにする。

ダマからしたら液体ゴーレムの体は蒸発したのに無傷だったゴンザレス太郎にバカにされてると感じた。

事実は瀕死に追いやられたのだが、呪いが発動してないので誤解していた。

だが、それでもこの状況下で巻ける要因が見当たらないのも事実、何を恐れる必要があると言うのか?

しかし、迂闊に襲い掛かると何があるか分からない。

葛藤がダマの中で渦巻く。

 

「それで、二人に自身を殴らせたって訳か?」

 

ゴンザレス太郎の視線はフーカとサラの両手に行った。

二人とも痛々しく拳が砕け、指が変な方向に曲がっている。

ゴンザレス太郎の中で怒りが静かに渦巻く。

 

「そうさ、こいつらの打撃でもダメージを受けなかった、つまりこの体はお前の攻撃でもダメージを受けな…」

 

そこまで言ってダマは吹き飛んだ!

地面を転がり受け身を取ってあり得ないと表情を崩す。

飛び出したゴンザレス太郎のパンチがダマにヒットし、ダマにダメージを与えていたのだ。

 

「お前は後99発ぶん殴ってからぶっ壊す!」


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