「こ…こんな…ありえない」
ダマは自身の体に残るダメージを認識して驚いていた。
ダメージ量的には大したことは無いのだが、それでもダメージを受けたという事実が問題だったのだ。
ゴンザレス太郎を睨めつけて怒りを露にするが、次の瞬間その姿が消えた?!
「ほげっ?!」
左頬を殴られて切り揉み状態で吹っ飛ぶダマ!
なんとか着地に成功するが…
「な…なんなんだその早さと力は?!」
ダマにはゴンザレス太郎の動きがまるで見えなかった。
事前にゴンザレス太郎と同じくステータスがカンストしているサラとフーカの動きは見切れたのにも関わらず、ゴンザレス太郎の動きはまるで見えなかったのだ。
「限界なんてとっくに超えてるよ!」
後頭部を殴り付けられ地面の砂に顔面から突っ込むダマ!
直ぐにその姿勢のまま上に飛び上がって脱出し叫ぶ!
「この最強のボディが何故だ!オリハルコンとアダマンタイトとヒイロイカネを合成して生み出した究極の金属だぞ?!」
「傾斜機能材料…だろ?」
「なっ…」
※傾斜機能材料:無重力空間で比重等の違う本来は混ざらない物質を混ぜ合わせて作り出した新しい物質、金属に限って言えば超合金とも言われることがある。
「なん…なんなんだお前は?!」
「通りすがりの単なる史上最強さ」
再び空中で殴り付けられ、衝撃で吹き飛ばされるダマ!
しかし、立ち上がったダマは不適な笑いをこぼし始めた。
「ふふふ…なるほどなるほど…分かったぞ!お前ユニークスキル『能力全強化』を付けているんだな」
「正解だ。だけど分かってもどうしようも無いのが純粋な強さってやつさ」
そう、ゴンザレス太郎は『スキル自由選択』でシズクのユニークスキル『能力全強化』を付けていた。
これは全能力が1.2倍になるユニークスキルで、理論値の攻撃力10000が12000になっていた。そのためダマの装甲の防御力を貫いてダメージを与えていたのだ。
「オラッ!」
「がっ?!」
ゴンザレス太郎に殴り飛ばされて何十回と地面を転がるダマ。
だがその顔には余裕の笑みが浮かび上がっていた。
「ゴンザレス太郎、お前の敗けだ。」
「何を言ってるのかな?」
そう告げるダマは立ち上がり、ゴンザレス太郎に殴られた箇所を見せる。
その部分の凹みがみるみる元に戻り、数秒で何事も無かったかのように直った。
「私の体に使用したヒイロイカネの成分が故障箇所を自己治癒しているのさ、そしてお前は人間だ。徐々に疲れいつかは私に捕まりそして怪我を負って呪われる、お前に勝ち目はない!」
ダマがそう告げ広範囲攻撃を防ぐ為にフーカの近くに移動する。
そして、サラが後ろからゴンザレス太郎を羽交い締めにする?!
「もらったぁー!」
ダマが鋭い突きをゴンザレス太郎に向かって放つ!
だがゴンザレス太郎はサラごとジャンプし、ダマの頭部を蹴って着地する。
空中でサラをお姫様抱っこの姿勢に移行させるのも忘れない紳士ぶりで!
「さて、後15発だ!」
ゴンザレス太郎のその言葉に威圧を感じ、頭頂部に靴の跡を残したままダマは一歩後ろへ下がるのであった。