異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第27話 最強と最凶の最共

真っ暗な部屋の中、天井から一筋の砂が上から下へと落下してくる部屋。

地面に敷き詰められた赤砂から一体のゴーレムが生まれた。

 

「なんなんだあいつはぁぁぁぉぁー!!!!」

 

産声にしては酷く怒りに満ちた怒声が響き渡り、中央に積み上がった砂山が崩れる。

飛び出したのは最強のボディを有したダマである。

 

「有り得ないだろ!ステータスがカンストしている攻撃で傷一つ付かなかったこのボディ、それを拳で殴って破壊するとかなんなんだアイツは?!」

 

銀色に輝くその体は、闇の中においても僅かな光を反射してその姿を浮かび上がらせる。

そんな叫ぶ存在を見て小さく笑う声が漏れる…

 

「クスクスクス…」

 

だがそんな笑い声が聞こえた気がしたが、ここに他の存在が自我を保っている筈はないと考えているダマは気付かない。

 

「こうなったら呪いをかけたこの町の連中を肉壁にして、何としても傷を付けてやる!こんなやつら何人死んでも構わない!」

 

そう言ってダマは視線を周囲にやり、初めてそれに気が付いた。

絶えず砂が落ちてきているその部屋に、呪いをかけた町の住人が居た筈なのにそこには既に誰も居なかったのだ!

 

「ど…どうなってる?!」

 

あり得ない光景、呪いを受けた存在は例外無く存在をここに固定され、自分の指示無くしてここから出られる筈がない、だからこそ焦り始める。

そんな困惑するダマを見ているその人物は遂に耐えきれず吹き出す。

 

「ぎゃははははははははは!!!あっーっははははははは

!いひゃひゃひゃひゃひゃ!!!ぷギャーぷギャー!!!もう止めてお腹痛いwwww」

 

腹を抱えて笑い転げる銀髪少女がそこに居た。

見た事もないその容姿、そして明らかに異質な存在だと感じさせる雰囲気…

 

「だ、誰だお前は?!」

「いやーはっはっはっ、もう久し振りだよこんなに笑ったのは。君がダマだね?初めましてって挨拶しておこうかな?私はミリー」

「ミリー?」

 

その名前には聞き覚えがあった。

確かサラの記憶に…

しかし、思い出す前にミリーが話し始める。

 

「タツヤ…いや、ゴンザレス太郎に手を出した可哀想な君に悪夢をプレゼントする者だよ」

 

そう言ってミリーは誰も居ない空間に手をかざし、スキルを発動させる!

 

「スキル『プロアクションマジリブレイ』発動!コード『パーティーメンバーに加える』選択『タツヤ』!」

 

そして、その場にゴンザレス太郎が笑顔で出現するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡る。

 

「タツヤ、僕に君のユニークスキルを付けるって本気かい?」

「あぁ、俺がダマの相手をしている間にミリーは俺のユニークスキル『プロアクションマジリブレイ』を使って町の人を全員助け出してほしいんだ。」

 

ゴンザレス太郎の怪我が治りきってない時から既に二人は計画を立てていた。

 

「でも私を信頼して良いのかい?一度は君達を…」

「俺は信じてる!」

「…ズルいよ、私の気持ち知ってるくせに…」

「それに一つ試してみたい事があってな、もしかしたら…」

 

 

 

 

 

そして、作戦決行の時。

ゴンザレス太郎に言われていた通り、天の裁きが落ちたのを確認したミリーは一人逆ピラミッドに突入する!!

 

「スキル『プロアクションマジリブレイ』発動!コード『スキル自由選択』選択スキル『トレジャーサーチ』!」

 

それはかつてシズクを殺した強盗が持っていたスキル。

呪いにより消えた住人が居るとすればここだろうと予想していたのだが、ビンゴであった!

 

「えーと、あっ金貨3枚の反応!これだな!」

 

それはゴンザレス太郎がスリにあった時に少女に渡した金貨の反応。

それを頼りに独り言を言いながらミリーは逆ピラミッドの最下層へと続く流砂の部屋に辿り着いた。

 

「この下か?えーい天さーん!」

 

流砂の中へゴンザレス太郎から治療中に聞かされた、願いを叶えてくれる七つのボール作品のネタを一人ボケながら飛び込むミリー。

そして、砂と共に落下したとても広い部屋に町の人々は居た。

まるでホラーゲームの待機しているゾンビのようにフラフラと揺れながら立ってる人に近づき、ミリーは『女神の涙』をかざした。

 

「あ、あれ?私は一体…??」

「意識が戻った?それじゃあこれ持って他の人にかざして助けてあげて」

 

そう告げミリーはゴンザレス太郎と共にスキルの使い方を説明された時に増やした『女神の涙』を複数手渡す。

勿論既にコード『アイテム減らない』を発動済みだ。

そして、次々に町の人々の呪いを解いて助けたナジムのユニークスキル『近距離転移』で次々に町の人を外へ連れ出し、ミリーはギルドマスターに「全員町に戻ったら大きな音を出して合図をして下さい!」と告げた。

 

 

 

 

町に戻ったギルドマスターのコブラは住人が全員居るのを確認し、合図に今まで使う機会の無かった秘密兵器を使うことを決めた!

 

「届けこの合図!『爆裂魔法!イオラズン!』」

 

腕の関節部分から爆発が起きて、大爆発の音と共に空高く舞い上がる左腕の義手は空中分解を開始し、予定外に木っ端微塵になるのを唖然と見上げるコブラ。

本人にとって文字通り一度限りの秘密兵器が!実は不良品だった事実を信じるまで時間を有するのであった…

 

 

 

 

 

コブラによる、合図の爆発音を聞いたゴンザレス太郎はダマへ止めのユニークスキルを発動する!

この時既に、羽交い締めにしてきた時に呪いが解けたサラに渡した『女神の涙』を使ってサラはフーカの呪いを解いていた。

 

そして、ゴンザレス太郎の発動したスキルは二つ!

シズクの『能力全強化』とアイアンの『熱血』!

そう、この時ゴンザレス太郎は『プロアクションマジリブレイ』をミリーに頼んで消してこの二つを付けていたのだ!

そして、一撃だけだが攻撃力が2倍になる熱血の効果でゴンザレス太郎の攻撃力は24000!

実に理論値の2.4倍となりダマの体を一撃で粉砕したのであった。

一応止めに12000の攻撃力で一撃追加も忘れずに。

 

 

 

 

こうして、外でダマを撃破して、そのダマが復活する部屋に残ってたミリーがダマの復活を確認し、決着をつけるためにゴンザレス太郎をその場へ召喚したのであった。


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