その日の夜、久し振りの大賑わいのニーガタの町はお祭り騒ぎであった。
町の人達からしたらなにがあったのか良く分からない、けど冒険者ギルドの人達の活躍で全員救われたと言う認識の元大にぎわいとなった。
「おぃー飲んでるかー?」
「アーニャお前は飲み過ぎだ」
「うっせばーろー!大体ナジムお前な!いい加減覚悟決めやがれ!」
「うっ…それを言われると…」
ナジムの手を握るアーニャ、酒が入っているがその目は真剣であった。
「いいよ」
「んっ?」
「いいって言ったんだよ、今回お前を失いそうになって辛かったんだよ」
「にひひーそれじゃ娘共々これから宜しくね、パーパ」
実はナジム、以前からアーニャに迫られていた。
ただ子連れと言うのと、ナジムも冒険者と言う不安定な仕事を生業としているため、最後の一歩が踏み出せなかったのだ。
だが今回の一件で覚悟を決めたのであろう。
「つか、約束だからな。お前は冒険者辞めろよ」
「えぇ~」
「ええ~じゃない!あの子を放置するのは禁止だ」
「分かったよ~」
そんな二人の横で聞き耳を立ててたデルタが拍手をして会話に加わる。
「よーし、そう言うことなら仲人は俺が引き受けてやるよ!」
「デルタさん、盗み聞きは感心しませんが…マジでいいんですか?」
「あぁ、お前には世話になったからな」
賑やかに盛り上がるニーガタの町の酒場。
丁度その時ゴンザレス太郎達はギルドマスターと面会をしていた。
「どうしても行くのですか?」
「はい、もう決めましたんで」
「せ、せめてお礼だけでも…」
「俺達は単なる旅の途中にここに立ち寄っただけ、Cランク冒険者フーカの付き添いですから」
そう言ってゴンザレス太郎達、ギルドマスターからSランクの申請をさせてくれと言う願いを断っていた。
ゴンザレス太郎の頭の中は既に一つの事でいっぱいになっていたから仕方あるまい。
「それでは俺等は今夜のうちにここを出て、西の果ての町『テンジク』に行くつもりです。」
「そうか…ワシもギルドを経由してお前達の事は知らせておくよ」
「まぁそれは程ほどに、それじゃ」
そう言い残しゴンザレス太郎、サラ、フーカの3人は夜の砂漠に旅立つ。
「行ってしまったか…ん?なんじゃこの瓶は?」
ギルドマスターが見付けたのは『プレゼントです』と書かれた瓶であった。
今の今まで視界に入ってた筈なのに気付かなかったのは勿論ゴンザレス太郎のコード『指定アイテム見えない』である。
ゴンザレス太郎が離れた事でコードの範囲から外れ、コブラも認識できるようになったのである。
「ポーションか?」
そう呟いて手に取る。
すると瓶の底が抜けていて中身が一気にこぼれる。
「おわっなんじゃ?!」
慌ててギルドマスターコブラは両手でその瓶からこぼれる液体を手で押さえようとするが…
突然気化するように、瓶から零れた赤い液体はその手をすり抜けた。
「えっ?!」
そう、それはラストエリクサーで中身が空気に触れたことで気化し効果が発動する。
その効果によりコブラの遥か昔に無くした左腕が復元していたのであった。
「本当に、何から何まで…」
ギルドマスターは涙と共に彼等が出ていった方向に頭を下げ続けるのであった。
「さぁ、行こうか二人とも!」
「うん!」
「えぇ!」
「スキル『プロアクションマジリブレイ』発動!」
彼等は再び西へと歩みを進めるのであった…
「目指すは際果ての町『テンジク』だ!」
彼らはまだ知らない、その先に何が待っているのか…