「アイテム限定だろうから、武器防具は後から試すとして…」
ゴンザレス太郎は日中に買っておいた傷薬とリンゴと自分のおもちゃ、筆記用具に道で拾った石ころなんかを用意した。
「よし、それじゃあ!スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」
スキルの発動の宣言と共に表示された上下のウィンドウ。
メモしておいた紙を取り出しそれを見ながら、上のウィンドウに下のウインドウのキーをタッチしてコードを入力していく…
入力の仕方が非常に手間なのは文句を言っても仕方無い、こう言うものだと割り切るしか無いのだ。
そして、一応確認もしておく…
「やっぱりクジ引いて出たあの紙は、使わなくても表示はされないか…」
使用、未使用に関わらず、クジのメモはスキルを解除すれば消えるのは『好感度MAX』で確認済みだったので、分かっていたがやはり確認は大事だ。
特に良いコードが当たった時に記載をしておかないと、後から後悔するのを事前に知れて本当に良かった。
「再確認もよし、コード実行!」
ウィンドウが光り体の中に消えたのを確認し、ベットから体を半分出した状態でゆっくりと目を閉じるのだった。
ゴトンッ!
「うぅ~」
少し寝てベットから落ちたことで目を覚ましたゴンザレス太郎。
目覚まし時計みたいな物があれば良いのだが、正確な時計のような物が無いので考え抜いた末に思い付いたのがこれだったのだ。
「痛て~」
頭を擦りながらまずは傷薬を試してみる。
実験するのはアイテム用の袋から取り出した物と机に置いていた物だ。
少量の小瓶に入った傷薬はポーションの劣化版で簡単な擦り傷や打撲を癒す効果がある。
「んじゃあ袋から出したこれを頭に…」
一応袋の中を使う前に覗くが中に傷薬は無い。
そして、頭にかけて空になった瓶を床に置く。
再び袋を覗くと…
なんと中に傷薬が在った!
「床にある空瓶もそのままか…」
アイテムが使用しても減らないどころか空き瓶はそのまま残った事から、高級な容器に入ったものを使えばそれだけで容器が無限増殖出来る事実に気持ちが高ぶる!
この世界でも貴族が使う用の家具などもあり、それらを増やすことが出来る事実に、このスキルを得てから何度目か分からないほくそ笑んだ顔をするゴンザレス太郎。
「次はこっちか」
そう言ってまだ少しズキズキする頭に机の上に置いていた傷薬を手に取り使用した。
痛みがすっかり無くなった頭を撫でて、空いた瓶をさっきの空き瓶の横に置く。
「おいおい…マジかよ…」
目を疑う、まさにその言葉通りで、振り返ると机の上に先程と全く同じ中身の入った傷薬が置いてあるのだった。