異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第40話 恐るべきニウムの能力

ニウムの能力、それは自身の制御下にある藁人形を触れた人と全く同じ状態のコピーを作る右手と、それを対象の意思に関係無く強制解除できる左手である。

コピーをされた藁人形は相手と全く同じ体だけでなく、記憶も着ている服も会得しているスキルすらも完全に同じ状態で成り済ます。

ここで一番問題となるのが、成り済ました藁人形をスキルを使っても見破れないと言うことだろう。

それはフーカの『スキミング』で見抜けなかった事が証明していた。

そして、何よりもニウムの能力で一番恐ろしいのは、コピーされた元の人間の側にコピーした藁人形が一定時間居ると、本物がニウムの制御下の藁人形になってしまう事である。

 

 

 

 

「ふふふっ、よくかわしたものだ」

 

サラが飛び退き黒い結界から距離を取るのを見てニウムは不適に笑う。

サラの直感で触れるのは危険と判断したのが余程嬉しいのか、ニウムは笑顔を絶やさない。

 

「もう気付いているかもしれないが教えてやる、お前が偽物で本物はもう藁人形になってるのだよ」

「っ?!」

 

サラはニウムをキッと睨み付け、少しでも情報を得ようと話を続ける。

 

「何でこんなことを?」

「我らが主の希望でな、と言っても藁人形のお前に言っても仮初めの体に記憶、私の左手に触れた瞬間に全ての記憶を無くして藁人形に逆戻りだけどな」

 

先程の結界の事もありサラは左手に直接触れるだけでなく、ニウムの左手から出る全ての物に気を付けなければならないのだが…

 

「まさかお前?!」

「くくくく…そう、お前の想像通りだ」

 

こんな人が少ない村とはいえ、ここで戦いを始めた理由がそこにあった。

ニウムの左手から放たれる広範囲の結界は物をすり抜け広がる。

既に村のメイン通りを抜けて距離を取りながら避けてるサラはそれに気付いた。

近くに居た通行人も全て藁人形に変わって地面に落ちていたのだ。

そう、既にこの村の住人は全てニウムの制御下の藁人形が変化していた。

そして…

 

「さぁ、楽しい楽しい時間の始まりだ!」

 

サラを追いかけながら村人が変化した藁人形を右手で拾いオーラで包む。

そして、藁人形が変化してそこに居たのはニウムである。

 

「俺がどれだか分かるかなぁ~?適当に殺しても良いんだぜ被害者の村人が一人死ぬだけだし、お前はどれかの俺の左手に触れれば藁人形だ!」

 

このままでは不味い、なんとか村から離れないと…

サラは一人村の入り口から飛び出す。

そして、それを見て驚愕する事となった…

なんと、そこに居たのは5人のフーカであった。


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