西へ向かう一同は現在フーカの結界内で様子を伺っていた。
それも町を出て1時間くらいしか歩いてない場所にも関わらずだ。
その理由は結界の外にあった。
「一体なにがあったんだ?」
「知らないわよ!この魔物に聞いてみたら?」
「残念、魔物と会話できるコードは今のところゲットしてない」
余裕の会話をしているサラとゴンザレス太郎はともかく、スウは魔物の進行に脅えていた。
それも仕方あるまい、西の方角から途切れることなく魔物の大進行がずっと続いているのだ。
「大丈夫よスウ、私が守るから」
「フーカお姉ちゃん…」
まるで親子のような様子の二人は放置して、いよいよ我慢の限界が近付いてきたサラ。
いくら大量の魔物とは言え、明らかに実力的に勝っている自分が我慢しているのが魔族と言う種族の本能的に納得できないのだろう。
結果、サラは結界から一人出て一気に吹き飛ばそうと考えるが…
「大量虐殺をスウに見せる気か?」
と言うゴンザレス太郎の一言に動くのを我慢していた。
何だかんだサラもスゥの事を大事にしているようである。
そして、そいつらが現れた。
「フーカ!スウを抱き締めて見せないように頼む!」
「んっ分かった」
「行くわよ!」
サラが結界から飛び出し、広範囲に炎の津波を発生させる!
魔物の大移動を追い掛けるように現れたのはアンデットの大群であった!
しかし、タツヤが気付いた時にはもう遅かった。
サラの炎の津波を正面から受ける大量のアンデット…
ゾンビ、スケルトン、ゴースト…
本来なら炎と聖属性の攻撃が弱点なのだが、ゴンザレス太郎の『スキミング』で見たそいつらはその2属性に耐性どころか吸収を持っていたのだ!?
そして、サラの放った炎の津波は魔物を通過し、燃えるアンデットに進化させてしまう。
「うそ…でしょ…」
「これはちょっと不味いな…」
広範囲攻撃が仇となり、炎を吸収して身に纏った状態の大群が迫り来る。
ただでさえ痛みを感じず、HPも高い上に、脳の制限を解除しているアンデット達はこちらへ向かって来る。
簡単に言うと常に火事場のバカ力を発揮するアンデットが燃えながらその炎で回復しつつ迫ってくるのだ。
「多分、あいつの仕業だな…」
ゴンザレス太郎は直感で、これを産み出したのがあの兄と名乗った男の仕業だと予想した。
スゥの事はフーカに任せ、サラと並んで構える!
共に戦える事に喜びを覚えるサラは笑みを浮かべ飛び出した!
地の果てまで続いてそうな大群の、燃えながら回復するアンデットvsサラとゴンザレス太郎の戦いが始まる!