傷薬の容器増殖を確認したゴンザレス太郎、使い終わった空の容器を片付ける…
一応捨てはせず、今後の実験に使えるかもしれないので保管しておくことにした。
今は増殖が可能と言う事が証明されたが、逆に減らす実験をする事なんかもあるかもしれないからだ。
そして、次の実験に移ろうと少し悩んで…
「よし、次はこれだな!」
ゴンザレス太郎が袋から取り出したのは、帰り道の途中適当に拾ってきた1つの石。
何処にでも落ちているが、加工されている訳でも無いので、全く同じ石はまず見つからないであろう物である。
それを手に持って、一度そのまま床に置く。
袋の中を覗き見ると勿論石は入っていない。
次にそれを拾いゴミ箱に入れる。
再び袋を見ると、なんと全く同じ形とサイズの石が入っていた!?
「つまりこれは『捨てた』って動作がトリガーなのかな?」
そして、袋の中の石を取り出してゴミ箱の中の石と合わせ、完全に同じな二個の石を窓から投げ捨てる。
勿論外に人が居ないことは確認し、更に誰にも見られてないのを確認した上でだ。
「お宅の息子さん窓から石投げてましたわよ」
なんてご近所の人に告げ口されたら大変だからな!
そうして石が地面に落ちたのを確認してから袋の中を覗くと…その中には先程と同じ石が2つ。
「捨てて拾うことで増殖も可能なのか…」
投石をしても石が用意できる、つまり…
「雪合戦なんてしようものなら無双出来るな!」
独り言を言ってニヤリと笑って、石は片付けた。
最後にリンゴを取り出して噛る、ムシャムシャと一口だけ食べて飲み込んだ後、袋の中を覗くと…
予想通り、袋の中に食べ始めたリンゴと同じ物が元の状態で在った。
そのリンゴと筆記具入れから取ったペンを持って…
「アァン!アッポーペーン!」
突き刺した。
リンゴの刺さったペンはこのままじゃ使い物になら無いだろう。
そして袋の中を見ると…
「あれっ?リンゴだけある…???」
突き刺したペンは無かった。
おそらくこれは武器として扱ったから、アイテム扱いはされなかったのであろう。
リンゴは壊された判定なのだろうか?
ゴンザレス太郎は今の結果をメモに纏めていく…
この世界には無い科学の実験の様で、楽しくて仕方無いゴンザレス太郎、しかも確実に誰もやった事の無い実験だ。
そして、次の実験…
「スキル『プロフ』発動!」
現状の自分の状態を調べるのだ。
もしスキル発動中に『解析』系のものを使われた時に、どういう風に他人から見えるのか、それを上手く誤魔化して説明できるようにする為にも必要な事である。
その結果…
「あっ…状態の項目がバグってる…」
そこには状態異常を受けた時にそれを知らせる項目が、この世界には存在しないアルファベットに文字化けしていたのだった。