「きゃははははは!!死んだ死んだー!!!」
「誰が?」
「えっ?」
切られたサラの体から確かに血しぶきが上がり、それがシズクに掛かった。
だがサラは健在であった。
なんと体が炎に変化し始めており、斬られた部分が燃えて繋がっているのだ!
「こ・・・の・・・化け物!」
「それはお互い様でしょ!」
サラの体が燃え上がり一気に熱を放ち、シズクは大きく後退する。
しかし、既に勝負は決していた。
「今の私の体は炎、それがどういう事か分かる?」
「はっ私に炎は効かないわ!」
「そのままじゃそうでしょうね、でもね・・・」
シズクはサラの指差す場所に目をやった。
そこはサラを切った時に出た血が付いていた。
「私の体液は発火する!『ブラッドインフェルノ!』」
それはサラの体液が炎に変わり、接触した対象を焼く火炎魔法!
だが恐ろしいのはサラの血がシズクに掛かった時にその体内にまで入り込んでいたと言う事だ。
「あ・・・あっ・・・あっっ・・・」
シズクは理解したのであろう、体の中から焼かれるイメージが脳内に流れたのだろう。
だがもう遅い。
「私に喧嘩を売ったのを後悔して死にな!」
「くそがぁあああああ!!!!!!」
サラの血は既にシズクの口から体内に入っていた。
蒸発した分は肺へ入り既に全身に回っている。
勝敗は斬撃を選んだ時点で決していたのだ。
「消えろ!」
シズクの体が内部から一気に発火する!
それは抵抗だとか耐性だとかそういうレベルの話ではなく、シズクの細胞自体が燃えているのだ。
絶叫にも似た悲鳴が響き、やがてその体は灰に帰った。
「ざまあみろクソビッチ!」
そう言い残してサラも倒れる。
体の炎化が解け、元の肉体になった時にそれは露になる。
シズクの聖剣で切られた部分は炎で誤魔化していただけで完全に切断されており、その部分はどんな回復魔法でも回復しない。
つまり切断された体は元に戻らないのだ。
「サ・・・サラ!」
ゴンザレス太郎が慌てて近寄りラストエリクサーを取り出すが。
「止めて!」
「だ・・・だけど・・・」
「この傷は治した瞬間にまた現われる。そして、それを今使うとシズクも生き返る。今度やったら私は勝て無いわ」
「サラ・・・」
「泣かないでタツヤ、本当はアナタには沢山のモノを貰った。だからそれを返したかっただけなの・・・負けないで、私の・・・ヒーロー・・・」
「サラ?・・・サラ・・・さら・・・」
サラの息が止まった。
ゴンザレス太郎の思考も止まった。
静寂が空間を支配し、サラの血が一滴地面に落ちた。
そして、それは急速に動き出した。
まるでパソコンが再起動するようにゴンザレス太郎の目に魂の燃焼が再び燃え上がる。
そのゴンザレス太郎の前に二人の女ゾンビが立ちはだかる・・・
スペニがあの時シズクと共に呼び出したゾンビだ。
ステータスは二人共カンスト、更に炎と聖属性を回復と常時自動回復のおまけつき。
だが、ゴンザレス太郎の目にもう迷いは無かった。
「スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」
叫ぶと共に二人の女ゾンビは襲い掛かってくる。
ゴンザレス太郎は焦る事無く操作を始める。
そして、二人の女ゾンビの猛攻が始まる。
「終わったか・・・弟よ、ゾンビになって私と共に暮らそう」
スペニはその光景をスキルを使って見ていた。
そして、女ゾンビの二人がサラとゴンザレス太郎の死体を持ってくると考え、二人の部屋を用意しようと思考を移した。
足元に転がる二人の神、ミーヤとダマを無視してどんな部屋が良いかと悩みながら歩き回る・・・
しかし、次の瞬間自分の目を疑う光景が映った。
目の前にゴンザレス太郎が立っていたのだ。
そして、地面に落ちる自分の右腕・・・
「えっ?」
だが瞬時にその腕は元通り何も無かったかのようにスペニの腕に戻っていた。
一瞬驚いたスペニだったが、目の前に居るゴンザレス太郎に聞く。
「あの二人はどうしたんだい?」
「さぁ?天井裏の見張りでもしてるんじゃないか?」
その口調はいつものゴンザレス太郎であった。
一体どうやったのか全然分からないが、目の前のゴンザレス太郎に何か今までに無い威圧の様なものを感じ一歩下がるスペニ。
だが直ぐに気を取り直し、指を鳴らし再びあの空間へ飛ぶ。
「さっきより楽しめる事を期待しているよ」
「大丈夫だ。お前は許さないから」
次の瞬間スペニはゴンザレス太郎の拳を受けて一歩下がるのであった。