異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第57話 戦いが終わって再びゴンザレス太郎は戦いへ向かう

柔らかい…

ゴンザレス太郎の後頭部に柔らかい何かが在る。

 

「ん…ううぅ…」

「おはよ、タツヤ」

 

いきなり何かに口を塞がれた。

これは…キス?!

ゴンザレス太郎は飛び起きた。

 

「きゃっ」

 

明らかな棒読みのその悲鳴、声の主は飛び起きることを完全に予測していたのであろう。

ゴンザレス太郎の目の前で座った姿勢の銀髪少女ミリーが笑顔を見せる。

 

「そうか…俺は勝ったんだな。」

 

そこには土下座するように死んでいるスペニ…いや、ぺニス太郎が居た。

視界がグラリと揺れる。

 

「うっ…」

「大丈夫?!」

 

慌ててミリーが支えに来てくれる。

いくらスキルでダメージが無いとはいえ、痛みはずっと受けていたのだ。

何時間も死ぬほどの痛みを受け続けたのだ。

気が狂ってもおかしくない状況の中、よく正気を保っていられたと誰もが思うだろう。

 

「っでどうやってこいつ倒したの?」

「ん?」

「だってこいつのHPタツヤも見たんでしょ?」

「あぁ、簡単な話さ。攻撃を受けたら直ぐにHPがMAXまで回復するなら、MAXHPを減らせば良いと思ったのさ」

 

そう、ゴンザレス太郎が今回使用したのはニーガタの町の人が持っていた通常スキル『ブラッドダメージ』であった。

これは通常攻撃の攻撃力が半分になる代わりに、ダメージがHPの限界値に直接与えられると言うものだ。

普通なら弱らせた獲物を素人に止めを刺させるために使う使い道のあまりないスキルではあったが、今回のスペニ戦においては一撃でスペニを倒さなくてはならなかった為にこれが大活躍した。

何度も殺される位のダメージを受けながらゴンザレス太郎は反撃でスペニのHP限界値を何時間も掛けて一撃で殺せるようになるまで削っていたのだ。

スペニが楽しまず、直ぐに殺しに掛かっていたら間違いなく負けていたギリギリの勝利であった。

 

「そんなことより、彼女は本当にダマなのか?」

 

鎖で繋がれた無表情で遠くを見つめて座っている茶髪の女の方を見てゴンザレス太郎が聞く。

 

「えぇ、私と一緒にこの世界を作った神の一人よ」

「大丈夫なのか?」

「あぁ、砂漠での事なら気にしなくてもいいわ、彼女も呪いで操られていただけだから」

 

二人してダマを見つめるが、ダマは全く反応を示さない。

 

「ねぇ、タツヤ。彼女の呪い解けない?」

「あぁ、やってみるよスキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」

 

そう言ってゴンザレス太郎はスキルを発動する。

コードを選択して…

ダマを指差し

 

「ダマ」

 

パリんっと言う音と共にダマの意識が戻る。

 

「あれっ?私…ここは?」

「ダマー!」

「ひゃぁ?!えっ?マリス?」

「うん、今はミリーだけどね。彼が助けてくれたのよ」

 

そう言ってゴンザレス太郎を指差す。

 

「そうでしたか、本当にありがとうございます」

「いえ」

 

意外に礼儀正しくて少し驚いたゴンザレス太郎、神二柱からこれまでの詳しい話を聞く。

そして、分かったのがこの世界を作るときにマリスが魔物、アイテム、キャラ。

ダマが世界、イベント、武器防具。

そしてデウスがスキル、ダンジョンを担当したとの事だった。

そして、フーカを拐った理由が…

 

「幻のユニークスキル『パンドラ』?」

「そう、存在しない因果律にも左右するユニークスキルを作ると言われている幻のスキルよ」

「もしかして、転生タイムリープも…」

「でしょうね、私達が作った時にそんなユニークスキルは存在しなかったし、死んで記憶を持ったまま1000年後に生まれるってそんな無茶苦茶なスキルが普通に在るわけないでしょ!」

 

なんかダマに怒られた。

でも直ぐに「熱くなってごめんなさい」とか謝ってくる。

あのダマと違いすぎて同じ名前で呼ぶのを何故かためらい始めたゴンザレス太郎は…

 

「なんか、ダマと呼ぶとあのピラミッドの時のやつを思い出すから呼び方変えてもいい?」

「一応私、神なんですけどね…まぁ好きにしたらいいわ」

「じゃあゴーレムのヤツを『悪ダマ』、優しい貴方は『善ダマ』って事で…」

「却下!コレステロールみたいだから拒否します!」

 

なんて馬鹿な話をしていたが、ゴンザレス太郎の心がだいぶん落ち着いて来たので二人を連れて町へ転移で戻った。

そして、そこを見て3人は驚く…

そこはテンジクの町が在った場所。

しかし、そこには何もなかった。

 

「タツヤ安心して、消えた町の人は全員スペニが作り出したゾンビだったから」

 

その言葉でゴンザレス太郎は理解をした。

一つの疑問が在ったからだ。

それはフーカの両親は消えて次の世界に居ないのに、シズクはゾンビになって生きている。

にも関わらず次も生まれてゴンザレス太郎と同じクラスに居たのだ。

つまりそれは魂の存在に繋がり、一つの仮説が浮かび上がった。

何故ラストエリクサーで生き返れるのは死んでから10分以内なのか。

それは、10分を過ぎると肉体から魂が抜けてしまうから。

そして、スペニが使っていた呪いは!ゾンビにする際に仮の魂を作り出しそれを中へ入れていたと言うことであった。

 

ゴンザレス太郎、シズクのあまりにも違いすぎる性格と言動にこの真理に行き着いたのであった。

そして、これがゴンザレス太郎に新たな力となり一つのアイテムと魔法を融合させて作り出す新魔法『リレイズ』を産み出した。

それは生きている間に使用することで、死んだ瞬間に一度だけ生き返るチート魔法。

 

「さて、それじゃ俺はフーカを取り返しにデウスとか言うヤツを殴ってくるわ」

 

そう言ってゴンザレス太郎は天へと続く塔へ向かう…

 

「たっタツヤ、サラは?サラはどうしたの?」

 

ミリーが後ろから声を掛けてきた。

ゴンザレス太郎は振り返らずに伝える。

 

「もう、ここには居ない…」

「そ…そんな…」

「膝枕ありがとうな、無事に連れ帰ったらまたしてもらおうかな」

「フーカに怒られるわよ」

「ははっそうだな…」

 

ゴンザレス太郎はそのまま一度も振り返らずに一人塔へと向かう…

フーカを取り返すために…

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