「ふむ、お前が本当に負けたか・・・」
「はい、まさか本当に負けるとは思いませんでした。」
テンジクの町だったその場所に聳え立つ塔、その頂上の一室に二人は居た。
豪華な椅子に座って肘を立てている女性の名は『デウス』この世界を作った三大神の一人だ。
そして、その前に立つその男は死んだ筈のスペニであった。
「それでデウス様、そちらの方は?」
「分からん、余の力でもスキルの秘密が解き明かせぬ」
「デウス様でもですか・・・」
二人の視線の先には水槽が在り、その中にフーカとスウが閉じ込められていた。
中は麻薬の様な液体が入っており、中に居る二人の意識は朦朧として焦点が合ってない。
「それで、あのゴンザレス太郎はどうしますか?」
「『映せ』!」
デウスがそう命令する、すると二人の前にモニターの様な物が浮かび上がり、ゴンザレス太郎が塔に入る姿が映し出された。
「まぁ余の部下では長くは足止めにならんだろうが、精々時間稼ぎを頑張ってもらうとするか」
「分かりました。それでは始めますか」
「『出せ』!」
デウスが命令すると水槽の中の二人がガラスの様な壁を通り抜けてきた。
座った姿勢でまるで見えない床が二人を運んで来たような現象である。
「これだけ薬漬けになれば少しは正直になるだろう」
「それでは私はあの少女を・・・」
そう言ってスペニはスウの髪を掴んで引き寄せる。
「あぁ・・・あぁ・・・」
フーカがそれを手を伸ばして阻止しようとするが、体に力が入らないのか声が漏れるだけで動けない。
「では・・・『パンドラに付いて話せ』!」
デウスの命令によりフーカは口を開く・・・
「あれは私が生まれた時に授かったスキル・・・友人の死を前にして発動して、友人を助ける為に時を飛んで転生するスキルに変わった。」
「ふむ、嘘では無いようだな」
「どうします?この小娘をゾンビ化させて問い詰めさせますか?」
「ふむ、一応やれる事は全部やっておくか」
「悪く思うなよ」
そう言ってスペニはスウの首を絞めてその命を終わらせるのであった。
「邪魔をするなー!」
ゴンザレス太郎は塔の内部に入り、階段を目指して走っていた。
次々と恐ろしい強さの魔物達が襲い掛かってくるが、ステータスが限界突破で上限を超えたゴンザレス太郎にとっては更にステータスを伸ばす為の材料にしかならず、殆どの敵を一撃で葬っていく。
魔者達の目には意思が無いのか、ただ塔の中に侵入した者を殺すと言う指示だけ受けている様に一斉に連携も無く襲い掛かってくる。
そして、気が付けばその階の魔物は全滅し、ゴンザレス太郎は上の階への階段を登りながらレベルをステータスに振り分けていく。
経験値255倍をつけているので直ぐに999に達し、直ぐに全振りしてまた直ぐにレベル999になって・・・
ゴンザレス太郎の快進撃は止まらない。
そして、39階の魔物を全滅させ、上への階段を登った先に在った豪華な扉。
40階のそれがデウスが居る部屋なのだとゴンザレス太郎は理解した。
そして、その扉を引きドアなのに押し開けてドアをぶっ壊し、中に入ったゴンザレス太郎が見たのは・・・
意識を失って倒れているフーカと多分デウスと思われる王族の様な服を着た女、そしてその女が片手で首を掴んで持ち上げているのはスペニ・・・
スペニはチラリとこちらを見てゴンザレス太郎を見つけ片手を伸ばす。
しかし、スペニが口を開こうとした時、その体はまるで水分が抜き取られた様にシワシワになりそのまま絶命した。
ゴンザレス太郎が殺した筈のスペニがそこに居たのも驚きだったのだが、そのスペニを多分デウスだろうと思っていた女が殺していたと言うのにも驚き、そして・・・
デウスの後ろに両手を広げて目と口が真っ暗闇の穴になって浮いている少女、その容姿からフーカと共に連れ去られたスウだと言う事は理解できたのだが・・・
「一体なにがどうなっているんだ?」
ゴンザレス太郎のその言葉が聞こえたのだろう。
スウと思われた少女がこちらを見たと思ったら、その前に立っていた豪華な服を着た女が手をこちらに向けて・・・
「『死ね』!」
その瞬間、ゴンザレス太郎は死んで前に倒れるのであった。