異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第61話 フーカのパンドラに全てを賭けた!

麻薬の効果が抜け始め、意識がハッキリし始めたフーカはゴンザレス太郎が何度も何度も殺され、生き返るのを見て苦悶の表情を浮かべていた。

既にフーカのユニークスキル『スキミング』は無くなり、ゴンザレス太郎のステータスは見れない、だが殺された瞬間に生き返るなんてものがなんのリスクも無く行える筈が無いと考えていたのだ。

それもその筈、この世界には魂の体力とも言えるモノが存在し、死ぬとそれが傷付く・・・

ゲームによってはLPと表示されるそれは死ぬたびに消費され、無くなると転生も生き返りも出来なくなるのだ。

更にリレイズ自体が消費MPが非常に多く、更に使用するたびにラストエリクサーを一定量消費する。

その時既にゴンザレス太郎が生き返れる回数は残り3回となっていた。

それは転生出来る回数も含めてである。

 

「どうだ?まだ続けるか?」

 

その言葉にゴンザレス太郎の顔色が悪くなっているのにフーカは気付いた。

このままではゴンザレス太郎は確実に負ける。

それは彼との永遠の別れを意味する。

 

「攻撃を止めたって事はお前こそ限界か?」

「ふっ・・・『溺死』!」

 

ゴンザレス太郎の顔の周りにだけ水の膜で覆われ、呼吸が出来なくなったゴンザレス太郎はもがき苦しみ倒れる。

そして、呼吸が止まり死んだ事で水が散り、ゴンザレス太郎は生き返る。

残り2回・・・

 

「随分と顔色が悪いようだが土下座して許しを請うなら助けてやるぞ」

「お前がな!」

「『窒息死』!」

 

ゴンザレス太郎は転げまわる。

それは今まで繰り返し殺された中で一番苦しい死に方だったからだ。

呼吸が出来ない、それが意味するのは脳に酸素が送られなくなり死ぬまで時間が掛かると言う事だろう。

そのゴンザレス太郎の悶え苦しむ姿を見てフーカはスキルの使用を決断する。

全てはゴンザレス太郎を助ける為・・・

それが敵の狙いだとも気付かずに・・・

 

「スキル『パンドラ』発動!」

 

その言葉に真っ先に反応したのはデウスであった。

フーカが気を失っている間にデウスは睡眠学習の様にすり込みを行っていたのだ。

それはデウスが別の何かに取り憑かれていて、それを切り離せば倒せると言う暗示。

そして、それは事実であり誤りである。

今、デウスを操っているのはこの世界に現われたバグとデウスの本能が混ざったものであった。

このバグはスウから引き抜かれてデウスに取り憑くことで本来ならその力を自由に使えるようになり、デウスを完全に支配していた。

しかし、デウスが言霊の力でその体を融合させ、ここから離れられなくしたのだ。

これによりデウスを乗っ取ったバグはここを離れる事が出来なくなり、デウスの意識と混ざりあい、世界を狂わせると言う本能に従って暴れる事が出来なくなった。

そして、バグは一つの方法を考えた。

それがデウスの知識の中に在った『パンドラ』の存在であった。

それは、絶望に包まれた最後の最後に希望を与える幻のユニークスキル。

その実態は『その人生で一度だけ使える、本来存在しないユニークスキルを生み出す』能力。

 

今バグの狙いは実現した。

 

フーカのユニークスキル『パンドラ』が再び発動した!

フーカの願ったのは、望むモノを何でも斬る一太刀のスキル・・・

その名は『一刀両断』

 

窒息に苦しみ死んだゴンザレス太郎が意識を取り戻し、顔を上げた時にフーカは飛び出した!

その手には光で出来た刀が在った。

そしてそれが振り下ろされる!

笑みを浮かべたデウスの上に・・・

 

光はデウスを切り裂いたのだがその体は健在で、その体から黒い人型の何かが飛び出した!

それこそがデウスを操っていたバグ。

そして・・・

 

「遂に、遂に俺は分離した!このデウスの全ての力とあのバグ修正プログラムの力をこの体に宿したまま!」

 

そいつは叫んだ!

フーカの顔に絶望の二文字が浮かぶ。

しかし、その瞬間に何かがゴンザレス太郎の影から飛び出した!

 

「スキル『金縛り』発動!」

「スキル『影縫い』発動!」

 

それはゴンザレス太郎の影を通じてスキル『影渡り』を使って移動してきたミリーとダマであった!

全てはミリーの考えた計画だったのだ!

 

「タツヤ!今だ!」

「この一瞬を逃すな!」

 

その言葉にゴンザレス太郎が立ち上がり両手を構える!

 

「スキル『聖剣召喚』発動!」

 

それはシズクのユニークスキル、そしてサラが喰らったそれを見ていたゴンザレス太郎が考えた最初で最後のチャンスに賭ける攻撃!

 

「うぉおおおおおおおおお!!!!!」

 

聖剣を構えて一気に突っ込むゴンザレス太郎!

その狙いは、バグの口!

 

 

 

 

 

 

最後にダマと会話した時に話していた通りだった。

 

「デウスは何かに乗っ取られている、だからそいつを追い出さないと勝機は無い」

「何故だ?」

「デウスの言霊により多分相手は全変化に耐性を持った状態でお前を待つだろう、なので勝つ事は不可能だ。唯一チャンスがあるとすればそいつが分かれた時」

「そうか、マリスの名前を変えた時の様に設定に変化を与える現象を起こせば今まで掛かっていた全ての状態異常が解除されるって訳か!」

「そうだ、お前がアイツを倒せるのはこの一瞬しか無い!」

 

 

 

 

 

 

「くらぇえええええええ!!!!」

 

ゴンザレス太郎の持つ聖剣がバグの口の中に入り口内を切り刻む!

サラの時にゾンビシズクが示した通り、聖剣での傷は治らない!

 

(なっ何故俺に拘束系スキルや攻撃が当たるんだ?!)

「このチャンスは逃さない!」

 

口の中から横に切り裂いた聖剣を更に切り返しバグの体を切り刻んでいく!

見た目人型の影のようなその姿は見る見る切り裂かれ飛び散っていく!

 

(や、やめろ!このままじゃ・・・)

「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」

 

縦に横に斜めに縦横無尽に剣が踊り、バグの体を次々と切り裂いていく!

言霊を発動させようともがくバグだが、最初の一撃で口と喉をやられている為に言葉自体が発せられない!

そして、ゴンザレス太郎の斬撃の嵐にミリーとダマの拘束スキルが強制解除される!

瞬間的に浴びせられた斬撃の嵐に後ろではなく真上にバグの体が浮かび上がり、ゴンザレス太郎はバグの居た場所を通り過ぎる!

そこからバク宙の要領で飛び上がり、塔の天井に足を着いて宙に浮かんでボロ雑巾のようになっているバグを睨みつけ天井を蹴る!

 

「これで終わりだぁ嗚呼アアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

聖剣はバグの頭部を空中で貫きそのまま物凄い勢いで床に激突し、そのまま床を貫いて更に下の階へ落下する!

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!

 

そのまま次々と床を次々とぶち抜いて、塔の40階から1階の底までバグを貫いた聖剣を掴んだままゴンザレス太郎は落ちた。

そして、聖剣に刺さっていたバグの最後の顔面だった部分も遂に蒸発するように消えていった。

 

それを確認したゴンザレス太郎も遂に力尽き、その場に倒れるのであった。

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