異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第64話 スキル「プロアクションマジリプレイ」が凄すぎて異世界で最強無敵な上に神になったのにやっぱりニートやってます。

バグは時間跳躍をしていた。

不幸な事に様々な攻撃に関する事象を言霊で防いでいたのだが、時間跳躍は移動魔法効果だった為に対象から外れていたのだ。

だが…

 

(これは何処に飛ばされたのだ?だが私には言霊がある!何処でも場所も時間も跳躍し、アイツらを皆殺しにしてやる!)

 

そう、言霊の力は時間すらも超越する事が出来るのだ。

その結果、バグはこの移動の時間を無駄に過ごしてしまった。

これが、バグにとって運命の分かれ道になるとも知らず…

 

そして、長い長いタイムトラベルを終えてバグは通常空間に戻る。

そこはゴンザレス太郎がスキルで選べた最果ての未来。

すなわち宇宙が終わるその瞬間であった。

実に年で数えても不可説不可説転を超える年数の果て。

 

※不可説不可説転とは数の単位の最大桁を現す言葉。『1無量大数』が1の後に0が64個並ぶのは有名だが!『1不可説不可説転』は1の後に0が37潤2183溝8388穣1977秭6444垓4130京6597兆6878億4964万8128個並ぶ、無量大数よりも遥かに上の桁である。

 

そして、通常空間に出現したバグ!

(よし、言霊で・・・)

しかし、そこは宇宙が終わる刹那の瞬間…

当然言葉を発し音を届ける空気などは既に存在しておらず、それに気付いた瞬間…その意識は宇宙と共に消える。

言霊を発動するタイミングなど無く、口を開いた時を最後にバグは消滅していた。

もしも、宇宙が終わっても生き残れるように事前に言霊を使っていれば助かったかもしれないが…

最後の最後までゴンザレス太郎の方が一枚上手だったのだ。

 

 

 

 

 

「宇宙の終わる瞬間に飛ばした?!」

 

ダマの驚いて裏返った声が響く。

フーカ以外はそのとんでもない現象を理解した。

遥かこの世の終わりまで飛ばすのに、一体どれ程の魔力を消費したのか・・・

これは本当に偶然であった。

スウの体に宿っていたバグ修正プログラムがその任務の為、スウの肉体にMPを異常な量保有していたのだ。

更にゴンザレス太郎はコード『限界突破』コード『MP2倍』ユニークスキル『全能力強化』を使用していたためギリギリ間に合ったのだ。

 

スウの体になったゴンザレス太郎にフーカは抱きつく・・・

身長差がひっくり返ってフーカの方が背が高くなっているが、いつものように片手を背中に、片手を頭に置くゴンザレス太郎。

 

「信じてた・・・本当に信じてた・・・」

「あぁ、フーカが信じてくれたからこそ俺は勝てたんだ」

 

二人の空間に3人の神も安らいだ顔を見せるが、それも直ぐに終わりが来た・・・

ゴンザレス太郎の体から光の塊が徐々に空へと登り始めたのだ。

 

「タツヤそれ?!」

「あぁ、この体は元々もう限界だったみたいだ。」

「そ・・・そんな・・・それじゃあ」

 

それは元から分かってた事・・・

スウの体はスペニが死んだ時に消えるはずだった。

それがバグの残した異常なMPによって、今まで消えなかっただけなのだ。

つまり、MPを使い果たしたスウの肉体は魂が入っていたとしても消滅する運命である…

 

「タツヤ、最後の最後まで本当にありがとう。君が居なかったらダマもデウスも助けられなかったし、世界は終わっていた。感謝してもしきれないよ、でもこれだけはどうしようも無いんだ」

「いいんだミリー、全て分かっていた。」

 

ゴンザレス太郎自身も自分の魂が限界だと言う事に気が付いていた。

もう一度転生を行おうにも、蘇生の為に必要なナニかがゴンザレス太郎にはもう残されていないのだ。

フーカの手を取り!ゴンザレス太郎は塔の外へ出る。

天弁地異の災害はバグが消えた事で収まっており、空からは太陽が顔を出していた。

その光に照らされて空を見上げるゴンザレス太郎・・・

その体は既に透け始め、消滅は時間の問題だった。

そしてゴンザレス太郎は小さく呟く・・・

 

「駄目だったのか・・・」

 

その時であった!

太陽の光の中に何かが見えた。

空を飛ぶように物凄い勢いで真っ直ぐに突っ込んでくるそれには見覚えがあった。

まるであの時と同じ光景・・・

それは勢いが凄すぎて通った後の場所が抉り取られ、真っ直ぐにスウの体のゴンザレス太郎に向かって一直線に飛んできた。

 

「あれは?!」

 

フーカの声と共にそれは消えかけのゴンザレス太郎に突っ込み、そのまま何かと共に地面を転がる。

それは…サラであった。

その背中には純白の羽が生えており、魔族の姫なのに天使のように思えた。

そして、消え去りそうになっているゴンザレス太郎に手に持っていたそれを押し付け・・・

 

「スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」

 

そして光がゴンザレス太郎を中心に輝き周囲を包み込んだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、魔物の町。

 

「これはこれはフーカ様、サラお嬢様は少々手が離せなくて・・・」

「こんにちわニセバスチャン、今日はサラもだけど魔王さんに用事があって」

「それでは今日こそは決心されたのですね!」

「まぁ私だけってのは納得いかないしね」

 

ニセバスチャンはフーカを魔王の元へ連れて行く。

もう来るのに慣れたフーカはまるで我が家のように違和感無く城内を進む。

そしてその部屋の扉をニセバスチャンがノックしてからドアを開ける。

 

「ん?ををっフーカじゃないか、っと言う事は決心がついたのだな?」

「お久しぶりです魔王さん、決心と言うか・・・私だけ仲間はずれみたいですからね」

「ははははは!仲間はずれってそんな程度の事では無いだろうに」

「もぅ、分かってますよ。そんなに笑わなくてもいいじゃないですか」

「すまんすまん、ほらっコレを使うと良い」

 

そう言って七色に光るそれをフーカは手渡される。

それはサラの母が死ぬと同時に変化した『魂石』。

フーカはお礼を言って部屋を出て、その足で魔王城のゴンザレス太郎の部屋に行く・・・

 

「タツヤー!貰って来た・・・」

 

ドアを開けてフーカは固まった。

目の前ではスウの姿のゴンザレス太郎がミリーとデウスに押し倒されて脱がされていた。

 

「タツヤー私も愛して~」

「余にも愛を分けて欲しいのじゃ~」

「お前等無理やり襲っておいて愛してとかどういう了見だ?!」

 

艶かしい肌が見えている青髪少女のゴンザレス太郎が文句を言いながらも、実は本気で抵抗していないところをみると満更でもないというのは直ぐに分かる。

 

「なにやってるのかなぁ~?」

 

フーカは相変わらず前髪で目が見えないが、背中に般若の顔が浮かんでいるので起こっているのは分かる。

そのフーカを見て二人は慌ててゴンザレス太郎から離れ正座する。

 

「いや、余は止めようと言ったのじゃがミリーのヤツがな」

「ちょっあんた何言って?!」

「二人共私が話しているんだけど・・・」

「「ごめんなさい」」

 

二人揃って土下座しているミリーとデウス。

これがこの世界を作った神というのだから本当に困ったもんだ。

 

「それで貰って来たんだな」

「うん、遅くなったけど決心したよ」

「よし、それじゃサラが来たら始めるか」

 

数分後サラが部屋にやってきたので一同は庭に出て見守る。

中央にゴンザレス太郎とフーカが向かい合って立ち、その手にはサラの母の魂石がある。

フーカはその魂石を胸に押し付けるようにして目を瞑る。

 

「スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」

 

ゴンザレス太郎がスキルを発動させコード『状態異常を付ける』を選択し、フーカに『神化』を付ける。

これは本来人間には使用できない状態異常。

存在の位が違う人間相手には本来使用が出来ない状態以上なのだ。

そこで使うのがサラの母の変化した『魂石』である。

この効果は『使用者の存在の位を上げる』であった。

存在の位が上がると言う事は、更に上位の生物に生まれ変わると言う事。

かつて鬼の大群が魔物の町を襲い、これを手に入れようとしたのはコレが目的だったのだ。

 

そして、まばゆい光が魔物の町の庭に広がり、フーカも神となった。

 

 

そう、最初はサラであった。

どんな回復手段を使用してもゾンビシズクの聖剣の傷は治らない。

その為、ゴンザレス太郎がサラを死なせない為に選んだのがサラの神化であった。

だがその為にはサラの母親の魂石が必要だ。

なのであの時ゴンザレス太郎はコード『パーティーメンバーに加える』で魔王を呼び出して事情を説明した。

驚く事にサラは転生タイムリープの事を魔王に既に話しており、サラの危機と言う事で二つ返事で了解が貰えた。

本来なら魔王の奥さんの形見とも言えるそれを直ぐに使わせて貰えたのは、サラが過去に母親の魂石を魔王城の地下に埋めて残していたからだ!

その場では不可能だったのでサラを魔王が街まで連れて帰り、サラ自身に付けていたプロアクションマジリプレイで自身を神化して助かって貰ったのだった。

 

そして、あの時ゴンザレス太郎が消えそうになった時、サラはゴンザレス太郎の『好感度MAX』のコードを付与され、かつての本能でゴンザレス太郎の位置を感じ取り、魂石を一つ抱えて飛んで来た!

サラは回復してから近くまで来ており、周囲を探し回っていたのだが天変地異により身動きが取れなくなっていた。

だが、バグが遥か未来へ飛ばされ、その上塔からゴンザレス太郎が出た事でその場所が判明し、危機一髪スウの体のゴンザレス太郎を救う事に成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

「それでこれからどうするの?」

「まだ俺たち南の方へは旅してないから500年くらいニートしたら行ってみるつもりだ」

「その時は余は同行させてもらってもイイのか?」

 

ゴンザレス太郎のスキルで神の力を戻した貰ったデウスは積極的にアプローチを続けており、ミリーを差し置いて3人目の妻の座を狙っていたりする。

言霊の力を使って無理矢理すれば嫌われるし、ゴンザレス太郎であれば何か対策を行っていると考えて正攻法で攻めていたのだ。

 

「分かったよ、その時は呼ぶからデウスも一緒に来るといいさ」

「うむ、楽しみにしているぞ」

 

3人の神はそう言って神の世界へ帰っていった。

残されたゴンザレス太郎、フーカ、サラの美女3人組はこれからも仲良く暮らしていくだろう。

3人共神となり寿命が無くなったので、永遠に楽しい毎日を送るに違いない。

 

「ところでさ、このユニークスキル『パンドラ』でさ、部屋を掃除しなくても元通りになるスキルとか作ってみない?」

「作っても一生涯に1回しか使えないんだよ?」

「あ~そっかそうだよな・・・」

 

相変わらず馬鹿な事を言ったりやったりして面白おかしく暮らしていくだろう・・・

3人共ゴンザレス太郎の手によって神となり、ユニークスキル『プロアクションマジリプレイ』を持っているので困る事もあるまい。

 

「ねぇサラ、とりあえずさ、6人で寝ても大丈夫なベット作ったほうがイイと思わない」

「う~ん・・・フーカさ、ダマもタツヤに惚れてるって思ってる?」

「そう思うんだけどね~」

「あ~あれは無いわ多分www」

 

実はダマもタツヤに惚れているのだが、自分で自分にキャラを作っているので正直になれないままのダマ。

唯一フーカにだけその本性が見抜かれていたのをまだ本人は知らない・・・

 

「それじゃ、今日は俺はベットでゴロゴロするぞ~」

「じゃあ私はタツヤをマッサージしてあげるね」

「サラズルイ!じゃあ私は・・・」

 

こんな日々がこれからも永遠に続くだろう。

これは彼等が勝ち取ったものだから・・・

 

 

 

第1章 第3部 完

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