異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第1章 第4部 異世界編『訪れる終焉』
第1話 蘇るアレ


「ちょっとフーカ!部屋を少しは片付けなさいよね!」

「んー後でー」

「またそれ!?私は町まで買出しに出てくるから、帰ってくるまでに片付けておきなさいよね!」

「んー分かったー」

 

秘境の更に奥にある誰も寄り付かない場所、そこの山奥のペンション風の建物に暮らすのはゴンザレス太郎とフーカとサラである。

あのバグとの戦いから200年程が流れ、3人は神と言う状態異常となって寿命が無くなっている。

そんな3人はひっそりとニート生活を送っていた。

とは言っても暇潰しに人間の住む町へ行って買い物したりはしている。

ニートと言うか単なる引き篭もりである。

 

「ほら、フーカ部屋片付けなよ。またサラ怒るよ」

「た・つ・やっ」

 

フーカがサラが居なくなった事で甘えた声で甘え出すフーカ…

お布団へのお誘いか?っと思ったらフーカは正座して膝を手で叩く。

膝枕を要求しているのだ。

普通はされる側が要求する物だと思うのだが、ゴンザレス太郎はフーカの膝枕が大好きなので誘惑に負けそうになる・・・

 

「だ、駄目だよフーカ。部屋掃除してからだってば」

「ん~膝枕させてくれたら掃除する・・・」

「絶対?」

「んっ!」

 

そう言われれば仕方がない、しぶしぶ膝枕をしてもらうゴンザレス太郎。

何百年経ってもこの関係は変わらない。

 

「でも何か掃除に適した魔法やスキルって無いのかな?」

「あれば楽・・・」

「だよね~」

 

以前にフーカのパンドラでそういうスキルを作るのを提案したのだが、作っても生涯に一度しか使えないのでは意味が無い。

どうせ使うなら繰り返し使える物で無いと・・・

フーカの部屋のゴミで閉まらなくなったドアの方をチラリと見るゴンザレス太郎。

スウの体に入ってから髪も伸ばし、3人揃って美少女女神になっているので外に出ると結構男に声を掛けられる。

だが特に3人共互い以外に興味ないのでスルーする事が多く、その度に何かとトラブルに巻き込まれてはいるのだがそれも刺激になって結構楽しんでいたりする。

 

「ほら、そろそろ部屋を片付けないとサラ帰って来るよ」

「ん~あと5分・・・」

「もぅ・・・5分だけだよ」

 

まるで寝起きみたいな事を口にしつつ、この幸せな時間を満喫する二人。

こんな幸せな日々が永遠に続くのだ・・・

でもこういう事を考えると必ず何か事件が・・・

 

「大変大変大変なのー!!!」

 

家のドアが激しく開けられ、飛び込んできたのはこの世界を作った神の一人ミリーであった。

 

「あっミリーこんにちわ」

「はい、こんにちわ・・・いいわねフーカ、その膝枕ちょっと変わりなさいよ」

「駄目、これは私の専売特許」

「むぅ~・・・ってそれどころじゃ無かった!大変なのよタツヤ!」

 

家のドアをとりあえず閉めて呼吸をするのも忘れて話し出すミリー

 

「あのね私がはるか昔に作ってアンタに倒された心無い天使居たじゃない?あれがねなんか再起動しちゃったらしいのよ!それでね・・・」

バーン!

 

そこまで話したところで家のドアが思いっきり開けられた!

そこに立っていたのはサラであった。

 

「大変よタツヤ、フーカ!女神様の肉体が回収されたそうなの!」

 

町に買出しに行ったけど手ぶらで帰ってきたサラ。

そしてサラが思いっきり開けたドアに吹き飛ばされて壁にめり込んでいるミリー。

 

こんな穏やかな日々が永遠に続くと思っていた3人は考えもしていなかった…

永遠なんて存在しないと言う事を…


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