「女神様の肉体?」
なにその甘美な響き…
だがこの世界で女神様と言ったら…
ゴンザレス太郎とフーカが視線を壁に向けると、昆虫の標本みたいな体勢でめり込んでいるミリーが視界に入る。
一応ピクピクしているから生きてはいるみたいだが、文字通り虫の息のようだ。
再び視線をサラに戻し。
「詳しく聞かせてくれる?」
「えぇそれは良いんだけど…」
サラは視線をフーカにやる。
ん?どうかした?って感じで首をかしげるフーカ。
頭を傾けたことで目を隠していた前髪が横に流れ、黒いつぶらな瞳がサラを見つめ微笑みかける。
その微笑みにひきつった笑みを返し…
「フーカ?部屋の掃除は?」
「ん?見ての通り、今忙しくて手が離せない」
膝枕しているゴンザレス太郎の頭と肩に手を当て、両手が塞がってますアピールをするフーカ。
「遺言は以上かしら?」
「タツヤ~サラが怖~い!」
膝枕していたゴンザレス太郎の頭を両手で包み、自らの腹部に抱き締めるように抱え込む。
それを見たサラは・・・
ブチッ!
次の瞬間森の中に新たなクレーターが生まれる。
そして、そこに立つ3つの影…
「あ~あ、またやっちゃった。」
「あんたのせいでしょ!?」
サラはこれで30回目になる自宅爆破となるのだが、フーカも特に困った様子はない。
その理由は・・・
「はぁ、次はどんなのがいいんだ?」
そう、ゴンザレス太郎の『プロアクションマジリプレイ』による『スキル自由選択』でユニークスキル『建築士』による一人高速自宅建築である。
しかもコード『限界突破』によるステータスで建築をする訳で、その建築速度はとんでもない事になっていた。
それもその筈、重機など必要なく手で運び、資材なんかの準備には転移も使え、更に釘すらも素手で打ち込めるのだから。
実に王城を建築する建築士達の3百倍ほどのステータスで自宅を建てる訳なので、一般住宅なんて僅か2時間ほどで基礎工事から完成してしまうのだ。
「ちょっと!酷いんじゃない!」
森の奥からミリーが歩いてやってきた。
どうやらサラの爆発攻撃で家ごと吹き飛び、肉体は木端微塵になったので新しく近くの赤砂から復活したようだ。
まさに4人とも異常の塊の集団であった。
「まぁとりあえず家も無くなったし、たまには皆で町に行きましょ」
「部屋も綺麗になったし・・・」
「フーカ、綺麗ってのは何も無いっていう事じゃないんだが・・・」
「だから私を無視するな!」
こうして一同はサラの得た情報を頼りに女神様の肉体を見に行くのだが・・・
ミリーの言っていた心無い天使の再起動とはまた別件だと言う事を彼らはまだ知らない。