「来てくれてありがとうゴン太君」
彼女の口から出たその声は驚くほど繊細で、まるで心を清められるように心に響いた。
清んだ音とは、こう言う音を言うのだと納得させられるような声に、魅了にも似た感情が沸き上がった。
「フーカさん、その声…」
そこまで言って気付いた。
彼女の声を初めて聞いたのだ。
そして…
「声?まぁそれはどうでもいいわ、それより貴方一体何者なの?」
突然のその言葉に意味が分からなかった。
前髪で視線は分からないが、顔の方向的に僕の方を見て言っているのは間違いない。
「一体何を言って…」
「話す気は無いのね」
そう言って彼女は近付いてきた。
フワリと優しい香りが鼻を擽り、妙に親近感にも似た気持ちが混乱を招く…
そして、目の前に立って彼女は言う。
「私は貴方を知らないのよ」
一体彼女は何を言っているんだ?
意味が分からずただ立ち尽くしていたら…
「そして、そのユニークスキルは何?タツヤ君」
「っ?!」
まるで世界が壊れる音がしたような気がした。
彼女は今なんて言った?
間違いなくゴン太ではなく、僕の事をタツヤと言った。
「何故…その名前を…」
「私の持つユニークスキルの一つ『スキミング』で見たら書いてあるわよ、貴方の本名」
「スキミング…って?!」
そう、それは先生から聞いた通りならば『解析』の上位に位置するスキルだ。
更に彼女は言った『私のもつユニークスキルの一つ』と。
「貴方のそのユニークスキル『プロアクションマジリプレイ』の事を説明しなさい!何故課外授業のレベルを全て神力にして5000も使って一体何をしたの?!」
目の前で僕を見るフーカさんの前髪が横に流れ、そこから覗く彼女の赤と黄色の目が真っ直ぐに僕を見ていた。
左右の目の色が違う、確かオッドアイと前世で言われていたやつだ。
しかしフーカさんの口調がどう考えても7歳のものじゃない。
「分かった。だがこちらの質問にも答えて貰えるかな?」
彼女のスキミングは非常に重要だ。
そして、彼女の何処か大人っぽい仕草や、何かを恐れている感じが違和感を増幅させる。
「いいわ、それで何を聞きたいの?」
「君の正体と関係があるのか分からないが、もう一つのユニークスキル」
「そうね、それじゃ私の事を話すから貴方のユニークスキルを教えて。そしたら私のもう二つのユニークスキルを教えるわ。」
「もう二つ?!…分かった。交渉成立だ。」
「まずね、私は次の春に死ぬの。そして、それを回避する方法を探してる」
彼女の口から語られたのは予想も出来ない内容であった。