異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第4話 情報を求めて町へ

4人はサラが話を聞いた『オリオンの町』まで来ていた。

ここは人里離れた山の近くと言う辺境に在り、一見人の出入りが少なそうに見えるのだが、実はゴンザレス太郎達が暮らしている山の中は危険なBランククラスの猛獣が多数生息する山なのだ。

その為山越えではなく麓を迂回するのが通常のルートであり、山に狩りに出る冒険者やこの町を行き来する人々に都合の良い立地で意外と人が多かった。

その中には勿論商人も多数居り、商人伝えに情報が行き来するのがこういう拠点となる町の特徴である。

 

ちなみにこの町ではサラが魔人族として冒険者登録をしており、Bランク冒険者になっている。

ゴンザレス太郎達の生まれた時の歴史だと、鬼の大群が魔物の街『アムステルダ』を襲撃して人間の町と交流を始めたが、次の1000年後はまた別の理由で交流が開始していたのだ。

ちなみに、ミリーがマリスだった頃に体代わりに利用するために用意していた悪魔大元帥アモンは何故かこの時代には存在していなかった。

といっても既に200年も前の事になるのだが・・・

 

「相変わらず人が多いなこの町は」

「とりあえず情報を集めに行きましょ」

 

ゴンザレス太郎は本質がニート体質だからなのか、知らない人が多数居る人混みに居ると頭痛を引き起こす。

むやみに暴れたらとんでもない事になるので、更にストレスになってしまうのもあって人の多い場所は嫌いなのだ。

 

「人多いから・・・」

 

さり気なくフーカがゴンザレス太郎の右手を掴む。

前を一人先に進むサラに気付かれないように行動するあたり流石である。

そして・・・

 

(左手、開いてるけど・・・いいのかな・・・)

 

と自分の右手をヒクヒク動かしているミリーであった。

結局ゴンザレス太郎の左手を握る事無く冒険者ギルドに到着してしまい、ミリーは一人でガッカリするのだが、そんな気持ちを切り替えて4人はギルドの中へ入る。

中に入ると一斉にそこに居た冒険者達がこちらを見る。

それはそうだろう、4人とも美女と言う言葉が相応しい容姿をしているのだから。

サラは腰まで伸びた赤髪を背中で縛っている。

フーカは相変わらず前髪が長く目を隠しているが、その目は両方とも黒目でチラリと覗く瞳がキュートだ。

ミリーは一人幼く銀髪の少女で、活発な雰囲気を醸し出している。

ゴンザレス太郎はスウの体なので、青い腰まであるロングヘアであった。

 

その中で唯一Bランク冒険者で通っているサラの存在に気付いた者達は、その美女の集団に関わろうとするのを避ける。

過去にサラに絡んで痛い目を見た冒険者が多数居たのは有名で、大体の者は良く分かっているのだ。

だが、ここは人の出入りが激しい町なので、勿論よそから流れて来た冒険者も多数居る。

当然サラの事を知らない冒険者は4人もこんな個性的な美人な女がやってきたらお近づきになろうと考え、関わろうとするのは当然であろう。

 

「へっへっへっ御嬢ちゃん達、ここに何のよ・・・もがっ?!」

 

次の瞬間、その冒険者は自分の履いていたズボンを何故か頭から被っている状態になって混乱する。

フーカに声を掛け、手を伸ばした冒険者のズボンにゴンザレス太郎がスキル『転移』を使ってズボンだけ頭上に移動させ、とてつもないスピードでそれを相手の頭に被せたのだ。

 

「フーカ、とりあえず止めといてあげな」

 

ミリーの言葉にフーカは数センチだけ動かした左手を元の位置に戻る。

その手の中では急激に冷やされた空気の水分が凍り、パキパキと音を立てながらダイヤモンドダストが発生していた。

自分のズボンを頭から抜こうと暴れる冒険者を放置して、サラは受付嬢の所まで移動して3人もそれに付き添う。

 

「依頼をお願いするわ」

 

サラが女神様の肉体の情報を求めている時にゴンザレス太郎は・・・

 

(転移をさっきみたいに使えばもしかしたらあの伝説のルパン脱衣できるんじゃないだろうか?)

 

とかどうでもいい事を考えていた。

 

「待てやこら!」

 

そして、後ろで叫び声を上げるズボンを履いてない冒険者・・・

彼らの居る所に騒動は尽きないのであった。


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