異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第10話 蘇った存在

空が少しずつ青くなり始めた頃…そいつは空に誕生していた。

何もない場所に闇の空間が現われ、それが脈動するように徐々に小さく人型に変化していく・・・

音は無い、気配も無い。

ただただそこに人型の闇があるだけである。

その時、丁度空を見上げていればそれに気付いた人も居るかも知れない。

だがそれに気付いた者は居なかった。

 

「がはぁ・・・がはぁ・・・がはぁ・・・」

 

青い体に角が2本、背中には羽が生えており、その姿はまるで二足歩行の獣。

そいつが自ら呼吸を開始し!徐々に落ち着いていく・・・

そして、辺りを見回し自分がどういう状況に居るのかを理解する。

 

「これは、なんだ?この体は?それに飛んでるのか?」

 

羽はピクリとも動いてない、だがそいつは上から吊るしている様に空中でその場に静止していた。

徐々に記憶が戻りつつあるそいつは、解放と言う喜びに打ち震え始めた。

そして、その体から瘴気が溢れ出る。

その瘴気に気付いた彼女達は一斉に空を見上げる。

 

「ヤ・・・ヤツです!」

 

アーニーが空を見上げ指を指し、空に浮かぶそいつを伝える。

一同は瘴気を感じてから空を見上げていた。

その中で一人だけそいつの瘴気の気配に覚えが在る人物が居た。

 

「この気配・・・何処かで・・・」

 

サラである。

そして、そいつもサラの姿を見て口元を歪ませ、ゆっくりと地上へ向かって降りてくる。

町は再びパニックになっていた。

普通の人間がそいつの瘴気に意識を失い始め、次々と倒れていたからだ。

そして、そいつは地上に着地しその場に居るサラの横の彼女に手を上げて挨拶をする。

 

「御機嫌よう、まさかこうしてまたお会いできるとは思いませんでしたよ。マリス様」

「お前・・・まさか?!」

「そして、そっちの黒髪の女は俺を解放してくれたヤツだな」

「だ・・・だれ?」

 

フーカは首を傾げるが、サラとミリーはそいつの正体に気付いていた。

そして、そいつのスキルを思い出してゴンザレス太郎達を連れて逃げ出そうとしたのだが、時既に遅く!

4人とも身動きが取れなくなっていた。

いや、実際には逃げ出しているのだが次の瞬間には元の場所に戻されていたのだ。

そいつのスキル『強制瞬間移動』によって・・・

 

「な・・・なんだと・・・」

 

ゴンザレス太郎も動こうとしたが既に手遅れであった。

そいつによってスキルを封印されていたのだ。

そいつのスキル『ユニークスキル封印』によって・・・

 

「お前は生かしておくべきは無いからな、死ね!」

 

そいつが叫んだと同時にゴンザレス太郎は飛び出した!

次の瞬間には、ゴンザレス太郎の立っていた位置に様々な刃物が瞬間移動してきていた。

危うく串刺しになるところだったので、間一髪回避に成功していたのだ!

スキルは封印されてもそのステータスは元のまま、そのままそいつに襲い掛かったのだが・・・

目の前に飛び出したのは金髪ツインテールのアーニーであった。

ありえない事である、ステータスがそこまで高くないアーニーがゴンザレス太郎の突撃と同じ速度で間に入るなど・・・

しかし、その反動なのだろう・・・アーニーの全身の筋肉と筋はズタズタになっており、既に一歩も動けなくなっていた。

 

「おいおい、大事な仲間なんだろ?無茶させたら駄目じゃないか」

 

既にアーニーはそいつによって操られていた。

そいつのスキル『永続的洗脳』によって・・・

そして、ゴンザレス太郎の胸に背後から突き刺さる武器。

フーカであった。

既に永続的洗脳を受けておりゴンザレス太郎の負ったその傷は深かった。

 

「ぐはぁ・・・ぐ・・・がぁああああああ!!!」

 

刺されたままアーニーを飛び越えて、そいつに飛び掛ったゴンザレス太郎は相手を押し倒し、そいつを滅多打ちにする!

馬乗りになってそいつの顔面が地面に埋まり、相手の下半身が衝撃で浮き上がり始めているが、ゴンザレス太郎の拳は止まらない!

しかし、そいつは地面に埋まりながら笑みを浮かべ再び操る。

 

「がっ?!・・・ふ・・・フーカ・・・」

 

ステータスがカンストしていたフーカの手にしていた杖が、ゴンザレス太郎の心臓を背中から貫いていた。

口から血を吐きながら地面に埋まったそいつの上に圧し掛かるように倒れるゴンザレス太郎。

直ぐに埋まってたそいつは地上へ瞬間移動する。

その顔には既に傷の一つも残っていなかった。

限界突破でこの世界の最高ダメージすら超越したゴンザレス太郎の攻撃が、そいつには全く効いていなかったのだ。

 

「タツヤ?!」

 

サラの叫びが響くが、ゴンザレス太郎は動かない。

悪魔の姿のそいつはサラの方を向き直し頭を下げる。

 

「ご機嫌麗しゅう、お嬢様」

「やっぱり、あなた・・・悪魔大元帥アモンね!」

「はい、クククク・・・ははははは・・・はーっはっはっはっは!!!」

 

そいつの正体はかつてサラの暴走と共に人間の町までやってきて、フーカの毒針によって死んだ悪魔大元帥アモンであった。

その正体は元々この世界を作った神マリスのスペアボディであった。

通常2つしかもてないユニークスキルを4つと、特殊スキル2つを持った最強最悪の存在である。

擬似生命として魂をマリスから与えられた不老のアモンだったが、予定外にこの世界で死ぬ事でこの世界の輪廻転生に加わったのだ。

そして、この時代のこの時に生まれる新しい存在としてアモンは完成していた。

既にマリスだったミリーの指示も受けない、魔族との関係も無い、自分の好きに生きられる最悪の悪魔がココに誕生したのであった。

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