異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第20話 世界に広がるゴッドウエポンの脅威

魔物の町アムステルダの王城に駆け込んできた一匹の魔物が居た。

この町の冒険者ギルドの使いの者である。

 

「大変です!直ぐにノロ国王にこれを!」

 

城を守る兵士に渡された伝書は直ぐにノロ国王に渡る。

時刻は真夜中だと言うのに嫌な顔一つせず、目覚めて伝書を受けとるノロ国王はその中を読み飛び起きる!

それは影使いガイアが近隣の町に伝えたゴッドウエポンの襲撃、それをその町の冒険者ギルドを通じて世界中の冒険者ギルドへ伝えた緊急連絡であった。

 

「直ぐに父上にもお知らせしなくては!」

 

ノロの父親は先代魔王アルス、遥か昔のこの時代ではゴンザレス太郎とサラの息子であったが、この時代ではサラの兄であるアーサーの息子であった。

この世界は生まれる存在はその時代に必ず都合を合わせるように生まれる、なのでサラとゴンザレス太郎が神化してこの町から居なくなっても歴史通りに誕生し、魔物の町アムステルダの国王を就任し町を守っていた。

 

時を同じくして世界中の町にゴッドウエポンの存在とその驚異が伝えられた。

中には真夜中にたちの悪い悪戯だと判断した冒険者ギルドもあったが、港町との通信だけでなくその周辺の町にも連絡が付かなくなってるのが決め手となり信じざるを得なくなっていた。

Sランク冒険者が二人居た町が何も出来ず、一瞬で港町が壊滅したと言うその内容を…

 

 

 

 

 

 

ぶぅん!

 

寝返りと共に降り下ろされた踵が腹部に突き刺さる!

この世界でトップクラスに硬いと言われている金剛石すらも粉砕するその踵、それをまるで何事もなかったかのように腹部で受け止めたのはご存知ゴンザレス太郎である。

反対側ではミリーがいつ自分の上にそれが襲い掛かってくるか怖くて眠れない常態で、ゴンザレス太郎の腕を抱き締めて腕枕をしてもらっていた。

ミリーから見てゴンザレス太郎の向こう側に居るサラの寝相の悪さが問題だったのだ。

と言っても神であるミリーに睡眠は必要ない、なのでフーカを追い出し愛するゴンザレス太郎に甘えていられる至福の一時だった筈が…どうしてこうなった?!っと苦々しい表情を浮かべている。

 

「うぅ~ん…あはぁ~」

 

艶かしいサラの寝言に一体どんな夢を見ているのか気にはなるが、迂闊に覗き込んだら攻撃を受けて命はないのである。

恐るべしステータスがカンストしているサラの攻撃力であった。

そして、2人を隣に抱くように寝ているゴンザレス太郎。

まるでツタンカーメンの様に真っ直ぐな姿勢のまま静かな寝息を立てて寝ている。

実はゴンザレス太郎、寝ている間に部屋を破壊しないようにコード『モーション固定』をある日から使用するようにしていた。

これは決めた姿勢のまま体を固定できるコードで、姿勢はそのままだが判定だけ存在させたりも出来るバグコードであった。

様はバイクレースでウイリーをしたまま延々と普通に走り続けたり、転びかけたポーズのまま全力疾走の速度で走ったりと某動画サイトとかでバグ動画としてネタ利用されたりするコードであった。

 

「でもタツヤ・・・本当に寝相いいわね・・・」

 

ミリーは気付かない。

寝ているので無意識の状態に限ってゴンザレス太郎は動いてないが、起きているならば触れてないのに胸に触れた感触だけ満喫したりも出来るこのバグコードを使用している事を・・・

これを使ってミリーが直ぐ隣に居るのにサラに寝る前エッチィ事をしていた等と想像も付かないのだ。

そして、それを知っているフーカは隣のベットで恨めしそうな目で見つめている・・・

前髪で目が隠れているのでミリーは気付かないが、気配察知系のスキルをもし持っていたならその恐怖で精神に異常を発症していただろう。

知らないと言う事は幸せなことなのだ。

ゴンザレス太郎の腕枕と言う幸せを朝まで満喫するミリーであった。

 

 

 

 

 

 

「父上!」

「ノロか?話は既に聞いておる。安心しろ、既に手は打ってある」

「ま、まさかドラゴニックキャノンを?!」

「報告によればそれしかあるまい」

 

大慌てで先代魔王アルスの元へ移動した現魔王ノロ、彼はアルスの言葉を聞いて驚愕の表情を浮かべる。

魔物の街に滞在している中でも一部の者しか知らない先代魔王アルスの編み出した最終兵器『ドラゴニックキャノン』

それは魔族の中でも一定以上の力を持つ魔物達の力を魔物の街に伝わる伝説のアイテム『魂石』に限界まで込めて目標に放出させる究極の兵器。

その威力はこの時代に生まれた鬼神を葬ったと逸話が残っている。

元の時代ではゴンザレス太郎によって倒された鬼神も、この時代にもちゃんと生まれて魔物の町の者達の力で倒されていた。

そこから推測するにその威力は鬼神を倒せなかった天の捌きを超えると言うのは簡単に理解できるであろう。

しかし、彼等は知らなかったのだ。

目標としている相手がエネルギーを吸収することで更に強くなるゴッドウエポンだと言う事を・・・


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