異世界ツクール   作:昆布 海胆

219 / 435
第23話 チカ、ゴンザレス太郎と衝撃的な出会い!

時間は少し巻き戻る。

 

「ひぇええええ?!ちょっとなにこれぇええええ!!!」

「この怪物が暴れてるのか、何処かに移動しているみたいやね」

 

チカはゴッドウエポンの腹の中に居た。

その中に在る船の残骸にしがみ付き、胃液に落ちないように耐えていた。

他の生き物を取り込み物凄く大きくなったゴッドウエポンであったが、胃袋のサイズは変わってなかった。

途中で肉体から他の生き物を取り込めるようになったからである。

そのチカの腕の中にはフランス人形を連想させるようなしゃべる人形メリッサが居た。

慌てふためくチカに冷静に状況を告げるメリッサ。

 

「昨日から移動を始めたと思ったら今度は上に?!」

「しっかり摑まってなよ」

 

まるでエレベーターが落下したようにチカの体は宙に浮く。

そして衝撃と共に船に叩き付けられる。

 

「うぅ・・・痛くないけど痛い気がする・・・」

「チカの体はなんか凄い頑丈みたいだね」

 

チカの体は心無い天使である。

なので『絶対物理遮断』と『全属性攻撃魔法無効』と『全ステータス異常無効』が備わっている上に、HPは理論値まで上げられている。

今ではHPに関してはサラとフーカも同じで、ゴンザレス太郎は限界突破で更に上の桁まで増えているが、それでも今のチカの体は最強の肉体なのは間違いない。

そして、ゴンザレス太郎が転移を使って上空に浮かせて、結界でゴッドウエポンの体を更に空に上昇させ続けている時に中では・・・

 

「なんか静かになったよ?」

「こういうのって嵐の前の静けさって言うんだよね?」

「メリッサ、そういう怖いことは言わな・・・」

 

その時ゴンザレス太郎の核融合球体とコメットが上下からゴッドウエポンの体を挟み込み、それが一つになり核融合は臨界突破を起こし巨大なエネルギーの放射を始める!

それはゴンザレス太郎の結界により唯一空いている空に向かって巨大なビームを発射する形になる。

当然その中心に居たチカは一瞬にして消滅するゴッドウエポンと共に核融合レーザーに巻き込まれる!

だが彼女の体は心無い天使、『絶対物理遮断』と『全属性攻撃魔法無効』と『全ステータス異常無効』の効果により核融合ですら無効化した。

一瞬の事だったのでとりあえず目の前に居たメリッサだけは両手で抱え込んで目を瞑った彼女、頬を強烈に叩く風に驚いて目を開くと遥か上空から落下しているのに気が付いた!

 

「ひやああああああああああああああ!!!!いーーーーーーやああああああああああああああああ!!!」

 

堪らず叫ぶチカ。

それはそうだろう、スカイダイビングを初めて経験した人の殆どは落下中に意識を失うのだから。

あまりの風圧に息が出来ず、迫りくる地上に死を連想させられ意識が考える事を拒絶するのだ。

しかし、何度も言うがチカの体は心無い天使である。

HPもカンストしているがこのまま地上に叩き付けられても『絶対物理遮断』の効果で体はダメージを受けない。

そんなチカの目の前にこっちを見ながら一緒に落下しているゴンザレス太郎の姿が映った。

パラシュートなんて装着していないにも関わらず生身で平然としているのだ。

これには理由があった。

人体が空中から落下すると速度は増え続けるが、空気抵抗により一定の速度までしか加速はしないのである。

その為、減速する為に体を地面に対して水平にする事が空中ではブレーキとなるのである。

更に下を向くと呼吸が出来ないので上を見ている。

全て理に適っていた。勿論本人にとっては偶然だが・・・

 

『あっあの人この状況で平気にしてる・・・きっと何か助かる方法を知っているんだわ!』

 

そう考えたチカは必死にゴンザレス太郎の方へ空中を泳ぐように移動して近付く。

背中の羽は一体何なのかと問いたくなる光景にゴンザレス太郎も固まっていた。

一瞬ゴッドウエポンの核が飛び出したのかと思ったら、昔手を焼いた心無い天使が叫び声を上げながらこっちに向かって来ているのだ!

 

「ちょっおまっ!」

 

ゴンザレス太郎、その姿が過去に手を焼いた心無い天使だと分かって驚きながら止めようとしたが、チカはそのままゴンザレス太郎に空中で抱きつく!

 

「うわぁああああああん!助けてくださーーーーーい!!!」

 

その姿は昔見た指示された行動を行なうだけのロボットみたいな心無い天使ではなく、まるで人間のようだったので驚いたのだ。

特にその目から涙が出ていたのが決定的であった。

女の涙は武器である、男に見せるだけで戦闘能力を半分以下に落とす事が出来るのである。

 

「ちょっと落ち着け!大丈夫だから!」

「いやあああああ!!!このままじゃ死ぬぅううううう!!!」

「はぁ・・・仕方ないな、スキル、『プロアクションマジリプレイ』発動!」

 

チカに両腕を肩から背中に回され両足はゴンザレス太郎の腰をガッチリホールドし、まるでエッチな事をしているような格好だが2人は物凄い速度で落下中である。

そんな状態でゴンザレス太郎はスキルを発動させコードを起動させる。

それは今まで使う事が殆ど無かったコード『空中歩行』であった。

まるで落下していたのが嘘のようにゴンザレス太郎は空中で停止した。

 

「ほら、もう大丈夫だからなっ」

「えぐっ・・・えぐっ・・・えぐっ・・・」

 

落下は止まったがまだ遥か上空である、ここから階段を降りる様に空中歩行で降りていっても良いのだが抱き付いているチカの様子を考えてゴンザレス太郎はそのまま転移で地上に帰ることにした。

 

そんな2人の真上、大気圏に小さな細胞の塊が浮いていた。

そう、ゴッドウエポンは死んでなかった。

死ぬ間際にコメットである彗星の核を取り込み、その得た力で核融合レーザーすらも取り込む事に成功したのだ!

その体は殆ど消滅してしまったが、僅かに残った細胞を徐々に徐々に増やしながらゴッドウエポンは再生を行なう。

大気圏に在るオゾン層や太陽からの紫外線を空中で存分に吸収しながらゴッドウエポンは進化を続ける。

自分を滅ぼしかけた人間を喰らう為に・・・

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。