運命から抜け出せず、次の春に繰り返し死んで、その人生を何度も抗いながら繰り返している…
何度も諦めた事だってあっただろう、だがそれだと未来は永遠に変わることはない…
変わらない永遠の幼少期を想像するだけで、その絶望は想像以上のものだと理解できる。
だからこそ彼女は諦める事を諦めたのだろう…
「そうか…フーカさんも大変だったんだな」
「えぇ、もう何度やり直したのか分からないわ」
「うん分かった。何ができるか分からないけど僕に出来る事なら協力するよ」
「…あ、ありがと…」
少し照れながらもお礼を言う彼女は微笑んだ。
僕は気付かないが、本心だと彼女には分かったのだろう。
その時見た彼女の笑顔はまだ出会って短いが、今までで一番可愛かった。
変わらない運命を繰り返した中で、初めて僕と言う新たな変異点に出会えたのが嬉しいのもあるのだろう。
神様に転生させられたからこそ、彼女の永遠に存在しない自分が生まれた。
きっと僕は1つの希望に見えているに違いない。
しかしこれは…
「…?」
突然彼女は首をかしげた。
そこでフト我に返る、どうやら僕は彼女に見とれてしまったようだ。
「ご、ごめんあんまり可愛かったんで…」
「っ?!」
「フーカさんは優しいんだね、人と話すと相手の事が分かりすぎてしまう、だから自分を押さえてるなんて…」
「へっ?」
「だって今まで全然会話もしないし、前髪で相手を見ないようにしてたんでしょ?」
「なにか勘違いしてるみたいだけど、私のスキルは常時発動型なの、だから相手の顔を見たり、会話の中で質問として捕らえられる言葉が入るだけで、神力を消費するからそうしてるだけ…」
「そ…そうですか…」
「でもそんな風に思ってくれたのには感謝しておくわ、それじゃこれから宜しく」
「あぁ」
差し出された手を軽く握り返す。
そう、彼女は永遠を繰り返し生き続けている、だから見た目以上の人生経験を持っているのだろう。
きっと今の僕は子供にしか見えていないに違いない、だけど僕も前世の記憶があるから、似たような境遇と言えばあながち間違いではない。
妙に親近感をフーカに感じた僕は気付かない、彼女に惹かれ始めている事に…
こうしてゴンザレス太郎はフーカと組むこととなった。
そして、フーカの提案でゴンザレス太郎の神力を貯める方法を実行するのであった。
「それじゃあ、早速見せて貰うわよ」
「わかった。スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」
いつものウィンドウが出てコード入力画面に取り出したメモを見ながら『アイテム減らない』のコードを入れていくゴンザレス太郎。
再確認も済ませ、ぶっつけ本番で同じコードを複数回使用できるかの実験も行うのだった。