異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第26話 ゴンザレス太郎、限界を超える!

「あなたで最後よ!」

 

サラは最後の一人を誘導し終えフーカ達と合流し、空を見上げゴンザレス太郎が戻るのを待つ。

既にゴッドウエポンの体長は百キロに達しようとしていた。

様々な生き物を取り込み蠢く…それはもはや天を悪霊が埋め尽くしたようであった。

そして、遂にゴッドウエポンが落下を開始する。

 

「ねぇ…落ちてきてませんあれ?」

 

チカが空を見上げながら言葉にする。

その場に居る誰もがそれに気付いていたが、言葉には出さない。

言うまでもなく絶望が等しく襲ってきていたからだ。

転移で魔物の町アムステルダに住人は避難させた。

だが空を見上げてそれが全く無意味だったと理解する。

あの質量が落下したらこの地域だけでなく広範囲に様々な影響を及ぼすだろう、最早人間がどうこうできるレベルはとっくの前に過ぎているのだ。

誰もが直感で何処に逃げても無駄だと感じたのだ。

 

「サラ!」

「うん!」

 

誰もが立ち尽くす中、サラとフーカのみが動いた。

絶望なんて今まで数えきれないくらい体験した。

だが彼はどんな状況になっても決して諦めなかった。

サラの出会いの時も、鬼の襲撃も、神すらも倒し、この世界のバグすらも消滅させた。

彼ならば、愛しいタツヤなら絶対なんとかしてくれる!

だから私達のする事は一つ!

 

「「タツヤが戻るまで時間を稼ぐ!」」

 

二人は背中の白い羽根を羽ばたかせ空へと飛んだ!

羽を動かしたのは雰囲気だろう、彼女達は脚力でジャンプしていたのだから。

そして、空へ向けて二人の限界まで密度を上げた結界を展開する!

1+1が2以上の効果を発揮するように、互いの得意な火と風の属性を交互に織り込んだとんでもなく強固な結界であった。

それは限界突破を使用したゴンザレス太郎の結界に匹敵する強度でゴッドウエポンを迎え撃った!

 

遥か上空から落下してきたゴッドウエポン、その巨大な体は物凄い勢いでサラとフーカの出した結界にぶつかる!

僅か、本当に僅かであった。

一瞬ゴッドウエポンの落下速度が肉眼で確認できるくらい落ちた。

だが次の瞬間二人の結界はゴッドウエポンに飲み込まれ、破裂するように破壊される!

その結界が破裂した衝撃は地上へ向かって放たれて、数百メートル飛び上がってたサラとフーカは衝撃に耐え切れず地上に叩き付けられる!

 

「ぐぁぁぁ!!」

「ひぎぐぅぅ!!」

 

ステータスのカンストしている二人ですら衝撃で大ダメージを負って立ち上がれなくなる。

単なる衝撃だけでである。

 

チカはそんな二人を見て腰が抜けその場に座り込む。

チカは『絶対物理遮断』と『全属性攻撃魔法無効』と『全ステータス異常無効』により衝撃を受けても平然としていたが、頭上に下りてきているのはまさに絶望そのものである。

もちろん、衝撃によって地面に減り込み動けないダマも何も出来ない。

そして、ゴッドウエポンは再び落下速度を上げて落下してきた。

しかし、サラとフーカが減速させたその時間は無駄では無かった!

 

百キロに及ぶゴッドウエポンを取り囲むように空に浮かぶ人影があった。

そう、ミリーが作り出しゴンザレス太郎が操った心ない天使である!

そして、サラとフーカの元へゴンザレス太郎とミリーが転移で戻ると同時に一斉に消滅の光が放たれる!

 

消滅の光:心ない天使の唯一の攻撃技、手の平から放たれる手のサイズの光に触れると対象は消滅する。

そこに物理的な干渉は関係なく瞬時に消え去るが何故か地面だけは消滅させられない。

 

サラとフーカの足止めが無ければ、ゴッドウエポンが今頃は地上に落ちて全員死んでいただろう。

だが2人のお陰でゴンザレス太郎は間に合った。

 

「ぎりぎりだったな!」

 

ゴンザレス太郎は瞬時に頭上に巨大な結界を展開する!

その強度はサラとフーカ2人掛りで作り出した合体結界よりも協力で、ゴッドウエポンの勢いを殺す!

だが、2人よりも協力とは言えそれ程差が在るわけではない。

それでも大きさが巨大なので一方的に飲み込まれることは無く、ゴッドウエポンの衝撃でゴンザレス太郎の足元が地面に埋まる!

 

「ぐぁああああああああああおおおおおおおお!!!!」

 

必死に耐えるゴンザレス太郎!

今この時もゴッドウエポンはその体を囲った心ない天使の大群によって、その体を消滅の光で消滅させられているのだ!

完全に全て消え去るまで耐え抜けばゴンザレス太郎の勝ちだ!

だが、ゴンザレス太郎の力を持ってしても止める事は叶わなかった。

 

バギャーン!!!!

 

ゴンザレス太郎の出した結界が粉々に粉砕される!

散るように粉砕されたので衝撃は周囲に散った事でチカの目は絶望色に染まった。

ゴッドウエポンは周囲から消滅の光により体積は減ってはいるが、それでもまだまだ周囲一帯を確実に押し潰すだけのサイズは存在していた。

だが、それでもサラもフーカもミリーも絶望はしない。

どんな絶望的状況でもゴンザレス太郎は何とかしてくれる!

その信頼こそが彼の力となる!

そして、ゴンザレス太郎は直径1キロを超えたゴッドウエポンが落下してくる中叫ぶ!

 

「スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」

 

タツヤがギリギリで発動させたお馴染みのスキル!

そして、少し悩みながらもその項目を選択し両手を上に掲げる!

次の瞬間ゴンザレス太郎の全身からとんでもないオーラが生まれ、ゴンザレス太郎の全身は真っ赤に染まり蒸気を出す。

ゴンザレス太郎は苦痛により苦しそうな声で叫ぶ!

 

「コード『極限突破』の結界でどうだぁあああああああああ!!!!!」

 

頭上に上げた手から瞬時に出現した結界は複雑に絡み合い、一瞬で分厚い魔法陣の形をした結界に変化する!

そして、ゴッドウエポンがそれに触れると共にゴンザレス太郎は結界を押し上げた!

 

「がああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

地面は陥没し足が埋まるが、それがどうしたとばかりに叫び声と共に結界は空へ向かって上昇し、ゴッドウエポンの体を止めるだけでなく押し返した!

まるでそこに異物は無く、ただ単に上に放たれたので上に向かうという感じで上昇していく!

その間も心ない天使達による消滅の光攻撃は続きゴッドウエポンの体はどんどん小さくなっていった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

地上ではゴンザレス太郎が青い顔をして全身を震わせ痛みに耐えていた。

 

コード『極限突破』:ステータスの上限を取り払い全てのステータスを2倍ではなく2乗にする。

だがその反動で肉体、精神、魂、存在が大きく傷付き使用者は命を大きく削られる。

 

僅か一瞬の使用でゴンザレス太郎はかなりの消耗をしていた。

だが敵はまだ存在している。

ゴンザレス太郎が空を見上げたその時、ゴッドウエポンの体から巨大なビームが心ない天使達に向かって放たれる。

彗星と核融合を取り込んだゴッドウエポンは自身の体の中でそれを発動させ、ゴンザレス太郎が作り出したそれよりは遥かに衰えてはいる、それでも核融合により生み出されたエネルギー波は心ない天使のスキルを一瞬で貫き、その体を瞬時に蒸発させた。

消滅の光を取り込むことが出来なかったゴッドウエポンは対象を排除するだけの存在と認識し、ゴンザレス太郎の結界に押されて上へ上へと向かいながら追い掛けてくる心ない天使に向かって核融合ビームを放つ!

 

「まずいな・・・これじゃ先に心ない天使たちが全滅する・・・」

 

ミリーの呟きと同じ事を誰もが考えていた。

いくら小さくなったとは言え互いのビームは瞬時に相手を消滅させる。

だがゴッドウエポンは消滅させられながらも更に進化を続け再生している。

それに比べて心ない天使はここまで辿り着いた者から消滅の光で攻撃を仕掛けるが、反撃で一瞬で消滅させられる。

もうゴンザレス太郎の消耗の様子から極限突破は使用できないだろう。

 

そして、心ない天使を一瞬で消滅させた核融合による巨大なビームはまるで拡散するように飛び散り、空に浮かぶ心ない天使たちを一気に消滅させた。

まだ数十体残ってはいるがもうこれ以上は厳しいだろう・・・

その頃になってゴンザレス太郎の結界に押されていたゴッドウエポンは結界を砕きに掛かり、次の瞬間には破壊された。

まさに悪夢としか言えない絶望的状況であった。

 

「ミリー」

 

ゴンザレス太郎が右手を広げて差し出す。

それを見てミリーは戸惑いながらもそれを差し出す。

それは赤砂であった。

既に左手にはアッポーペンが握られている。

 

「本当にやるんだね?」

「もうそれしか無理そうだからな」

 

最後の一言を交わしミリーはゴンザレス太郎の右手に力を込め、赤砂からそれを生み出すのであった。

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