異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第30話 冥vsゴンザレス太郎 第2ラウンド開始!

「ぐっ…がぁ…」

 

ゴンザレス太郎が呻きながら途切れそうな意識を繋ぎ止める。

そして、震える手で異空間アイテムボックスからラストエリクサーを取り出して蓋を開けた。

 

周囲の草木と共にゴンザレス太郎の体が回復する。

だが極限突破による魂の消費だけは回復が出来ない。

 

「くっそっ…」

 

元々魂の残量の少ないゴンザレス太郎だが、神化する事でその消費を押さえていた。

だが極限突破はその状態ですら魂を消費する禁断のコードである。

しかし、それを使って漸く冥と向き合うことが辛うじで出来ると言う事実…

まさに天と地ほどの力の差にゴンザレス太郎は悔しさを覚える。

この世界のルールではあり得ない次元の存在に心が敗けを認めてるのだ。

だが…

 

「フーカ…」

 

飛び去った方向を見つめ呟いていると逆方向からミリーとサラが空を飛んでやって来た。

二人は地上に佇むゴンザレス太郎の姿を見付けて地上へ降りてくる。

純白の羽を羽ばたかせ舞い降りる天使の様な二人であるが、ゴンザレス太郎の表情とその場に残る残留したエネルギーに身震いする二人。

 

「まさかタツヤ…」

「フーカが連れていかれた」

 

その声にミリーは気が付いた。

言葉には魂が籠る、ゴンザレス太郎の発した声から残ってた魂が更に減ってるのにミリーは気が付いてしまったのだ。

 

「とにかく詳しい話を聞かせて」

 

3人は一度飛び出してきたアーニーの家に戻るのであった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「離して!」

 

そこはかつてテンジクの町が在った場所であった。

心ない天使の体を化け物に進化させた冥はフーカから手を離す。

 

『そんなに怒らないで、君と僕は同族なんだから』

「な・・・なにを言ってるのか分からないわ!」

 

フーカは反論する、だが体は一切動かない。

冥はフーカの正面に立ちフーカの前髪を手で避ける。

 

「いや、触らないd・・・」

 

そこで冥と目が合いフーカの意識は闇の中へ落ちていく。

闇の中でフーカは一人膝を抱えて浮かんでいた。

 

『おかしいな・・・彼女で間違いないはずなんだけど・・・これじゃあ予定が・・・くそっ』

 

意識を失い立ったままのフーカを見ながら冥は口にする。

フーカに隠された最後の秘密。

それを冥はフーカの深層心理に告げる。

闇の中でそれを必死に否定するフーカ。

永遠にも感じられそうな時をフーカは闇の中で苦しみ続けるのであった…

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、行くよ」

 

落ち着いたゴンザレス太郎が立ち上がる。

サラとミリーもそれに続く。

 

「二人は離れた場所に居てくれ」

「うん、私たちじゃ立ってる事すら出来ないもんね」

「アーニーご飯ありがとね」

 

3人はアーニー一家にお礼を言い、家を出る。

ゴンザレス太郎、さり気なくアーニーの家の至る所に白金貨をお礼代わりに隠していたのだがアーニーはそれを知らない。

後からあちこちからそれを発見して一家揃って意識が遠くなるほど驚くのだがそれはまた後の話である。

 

 

 

 

 

サラとミリーに両手を掴んでもらい、空を飛びながらゴンザレス太郎達はフーカの後を追う。

 

「それで、タツヤ。何か勝算はあるのよね?」

「いや、正直・・・勝てるどころか勝負になる気すらしない・・・」

「やはりあれは・・・」

 

ミリーはゴンザレス太郎の口から告げられないが、その存在がいつか語った観測者であると理解していた。

伊達に神をやってはいなかったのだ。

 

「私は応援しか出来ないけど・・・頑張れよ」

 

ミリーの胸元にはダマがフランス人形から抜け出て小さな小人の人形に入って居た。

そして、その後方から慣れない飛行でフラフラと後を付いてくる心ない天使の体を持つチカ。

4人が向かっている先に途中でミリーとダマが気付いた。

 

「ミリーこの先って・・・」

「ダマ…えぇそうよ。上に行くつもりなのよ」

 

その会話でゴンザレス太郎とサラも気が付いた。

そう、かつてバグと戦ったこの世界と現実世界を繋ぐ塔のあるテンジクである。

 

「アイツにかつ方法はこれしか・・・ないな・・・」

 

ゴンザレス太郎はサラに視線を送る。

それにサラは気付きその視線が訴える事を理解した。

 

「タツヤ、未来へアイツを送るのね?」

「あぁ、もうそれしか方法が無い・・・」

 

それはかつてバグを倒した時に使用した方法。

それはスキル『転生タイムリープ』をスキル『一刀両断』で『転生』と『タイムリープ』に分断して相手をスキル『タイムリープ』で世界が終わる瞬間の未来へ強制的に送り飛ばして倒す禁断の方法。

だがゴンザレス太郎は一刀両断をもう使用できない。

それは生涯に1度しか使えないスキルだからだ。

なので方法としてはサラがフーカの転生タイムリープをゴンザレス太郎から付けて貰った一刀両断で分離し、フーカがゴンザレス太郎の魔力を使って未来へ送り飛ばすしか方法が無かった。

ミリーとダマは神と言う存在で在るが故に観測者に対して敵対行動は取れないのだ。

 

「サラ、協力してくれるか?」

「愚問よタツヤ、絶対にフーカを助けるわよ」

「あぁ・・・それじゃ付けるぞ!スキル『プロアクションマジリプレイ』発動!」

 

ゴンザレス太郎は『スキル自由選択』を使用しサラにユニークスキル『一刀両断』を付ける。

チャンスは一度しかない。

だが3人ならどんな敵にだって勝って来た。

そう考えるサラとゴンザレス太郎が見詰め合っている時であった。

 

「見えたわタツヤ!」

 

テンジクに到着し、塔の近くにフーカと共に佇むそいつはこちらを見詰めていた。

それだけでミリーとダマは動けなくなった。

そのまま落下されないようにゴンザレス太郎がコード『空中歩行』を使用してミリーを受け止め転移で地上へ降り立った。

 

『なんだ明日まで猶予が在るのにもう来たのか?』

「教えろ、なんで明日この世界が終わるんだ?」

『くふふ・・・この世界にはな、防衛機能が備わっててな。私がこの世界に降臨するとそれが働くようになっているのだよ』

 

ミリーとダマは動けないが意識は残っており、それを聞いて思い出した。

この異世界ツクールの注意事項に在った最後の項目、現世に影響を齎す可能性が現われた場合に世界を消滅させるシステムを・・・

 

「一体どうなるってんだ?」

『この世界の月がこの地に落下するのだ。』

「月が?!」

『それでこの世界は滅びる、拒絶する術は無い』

「だが、それだとお前も・・・」

『だからこそコイツが必要なのだ』

 

冥はフーカを指差す。

意味が全く理解できない一同。

だが話は終わりだといわんばかりに冥はその体から灰色の靄を放出させた。

それは瞬く間に世界を包み込みサラの体から力が抜ける。

 

「あっれ・・・」

 

意識が飛びそうになるサラであったが!一度冥に同じ事をされて意識を失っていた為に抵抗力が生まれたのかそれに耐えた。

ゴンザレス太郎もそれには普通に耐えれるのだが、体がまともに動かないのはサラと同じであった。

そして冥から更にゴンザレス太郎達を絶望に落とす言葉が発せられる。

 

『最後に言い事を教えてやろう。この体にはゴッドウエポンの力が込められている。お前達がオークションと呼んでいたアレは私が実験的にこの世界にばら撒いたゴッドウエポンの細胞が混ざった液体だったのだ』

 

冥の肩の一部が変形し人の顔になる、それはゴンザレス太郎達にオークションの護衛を依頼したあの男の顔であった。

 

『そして、もう一つ。この体はゴッドウエポンの力にこの体が元々持っている『絶対物理遮断』『全属性攻撃魔法無効』『全ステータス異常無効』が反映されている、しかもお前が教えてくれたこのエネルギーは私の体内で永久機関として対消滅のエネルギーを永久に生み出している』

 

対消滅は物質の体積を100%エネルギーに変換する事が出来る。

そして、エネルギーから生み出された物質は空気中の原子も巻き込んだ物質となり、それが再び対消滅でエネルギーに変換される。

それはつまり無限に永久に冥は強化され続けるという事でもあった。

 

『さぁ、絶望にその全てを堕として死ぬがいい!』

 

冥が両腕を左右に広げた瞬間であった。

 

「『極限突破!』ぁああああああ!!!!!!」

 

完全な不意打ち、しかしだからこそ最初で最後のチャンスであった。

油断している冥だからこそ倒せる刹那のチャンスに全てを賭けたのだ!

飛び出すゴンザレス太郎!

冥は突然の事で反応が出来なかった。

だが焦りはしない、どんな攻撃を行なわれても跳ね返す気でいたからだ。

そして、一瞬で目の前にまで移動したゴンザレス太郎は目にも止まらない速度でスキルを発動させる!

それは悪魔大元帥アモンの持っていたスキル!『スキル封印』であった。

それに続いてゴンザレス太郎の繰り出した音速を超えて空気の壁を破る音が響くパンチが冥の頬を抉り、その体を吹き飛ばすのであった!

 

「まず一発!」

 

初めてゴンザレス太郎の攻撃が冥にヒットした瞬間であった。

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