病院のあった場所の真上、高度数千メートル。
そこに達也と冥は居た。
現実世界と殆ど変わらない光景、この世界は現実世界を限りなく再現しているのでこの時の二人はこの世界の衛星カメラに撮影されていた。
これにより米リカ合衆国のNYASAでは大騒ぎになっていたりするのだが、そんな事は関係とばかりに二人は浮いていた。
「くはっくははははははは!愚かな発想だったな!どうせ宇宙空間にでも道連れで放り出せば、なんとかなると考えて頑張ったのだろうが宇宙までは転移出来なかったのだろう?」
体を一気にではなく徐々に浸食されている達也は答えない。
達也の使用した『転移』は行ったことのある場所へと移動できるスキル、高度は自由に変えられるというのは正しかったと証明されたが、実にそれだけであった。
と言うのも、この高度と言うのが地球を中心とした高さと認識されているのが原因なのだが二人はそれを知らない。
「もうこれで手仕舞かな?それじゃあさよならだ。ゴンザレス太郎君」
冥は嬉しそうに手に力を入れた。
その身に取り込んでいるゴッドウエポンの他の生物を取り込む力を全開にしたのだ。
「………発動!」
全てを取り込まれる、その瞬間…最後の最後で達也が何かを叫ぶ!
一気に体を引き寄せられ、冥の体に達也の下半身が一気に飲み込まれていく。
最後に達也が何を叫んだのか分からないまま、冥の手が達也の頭部に触れようとした。
既に胸近くまで飲み込まれた達也だったが、冥の手がそこで止まる。
「き、貴様…それが狙いだったのか!だが見切った。お前の敗けだ」
冥の視線は達也の頭の上、そこに数字が表示されていた。
世界を見通していた観測者の冥も勿論知ってるその数字…
そう、スキル『死の宣告』である。
※死の宣告:発動すると受けた者の頭上に数字で10カンウントが表示される。これが0になると共に死ぬ。
解除は使用者しか出来ない呪われたスキルである。
過去に所持していた者に達也は会ったことがあり、一度も使わなかったこのスキルを使用していた。
「まさか取り込むことでそれを俺に移し、俺と共に死ぬ気だったとは恐れ入ったよ」
冥は達也の頭部を掴み体から引き剥がす。
無惨にも胸から下は既に無く、切断されたような面からグロ映像がとても描写出来ないことになっていた。
このままでも間違いなく間も無く死ぬ、しかも達也の頭上の数値は既に『3』終わりである。
「永遠にお前以上の者とは戦うことは無いだろう、去らばだ」
冥は達也の頭部を離す。
ここは高度数千メートル。
当然意識すらも既に朦朧としている達也は手を離されれば落下するのみだ。
笑みを浮かべた冥の顔が達也の瞳に映り込み、達也の体が重力に従い落下を開始する瞬間であった。
達也の肺に残っていた最後の空気を振り絞って一言が告げられる。
「『転移』」
一人落下する達也。
その表情は穏やかで既に息を引き取っていた。
そして、それを空中で受け止めるダマ。
「お疲れ様…」
戦いは終わった。