異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第38話 完全決着! 

光の壁の前でサラ、ミリー、チカ、デウスがそれを見ていた。

デウスが達也と冥の映像を写しているのだ。

時間の概念が違う二つの世界であるが、向こうのデウスとこちらのデウスが協力することでそれを実現させていた。

場面は上空数千メートルに転移した所であった。

 

二人が何かを話し、達也が自らに『死の宣告』を使用した。

サラとミリーはゴンザレス太郎から何をするつもりなのかを聞いていたので、そこまでは計画通りと理解していた。

冥を完全に油断させるためだけに自らの命を絶つ。

とても考えられる訳がない作戦である。

 

そもそも冥は物理攻撃も属性攻撃も状態異常も効かない。

更に他の生物を触れるだけで取り込み、その力を自由に使える。

その上ゴンザレス太郎が今まで得たスキルで使うコードを全て使える。

おまけにフーカを取り込んだ事で時間すらも操れる。

 

どう考えても勝つ方法なんてあるわけがない。

だがゴンザレス太郎には一つだけ冥を倒す案があった。

始めそれを聞かされた時には意味が分からなかった。

だが彼が言うなら間違いないだろう、サラとミリーは固唾を飲んで映像を見つめる。

 

冥を倒す為の条件としてフーカの魂を救出し、それをダマに回収させる。

これは既に成功し、上空へ一時的に転移したのはその時間稼ぎなのであった。

達也が結界内に入った段階で、ダマはデウスの元へ行き今回の作戦の話を聞かされる。

もっとも骨董無形な作戦とも呼べない酷いものだと一蹴するのが普通だが、事実達也は結界内に入ることが出来た。

3人の神にとっても賭けであったのだ。

 

「あぁ、タツヤ!」

 

頭上に残りカウントが『3』になった達也から冥が手を離し、胸から上しか残ってない達也が落下し始める。

勝ちを確信した冥の油断。

ゴンザレス太郎が全てを賭けた瞬間である!

 

「『転移』!」

 

達也の最後の叫びと共にスキルが発動し、その場から冥の姿が消える。

映像は冥を追い掛けて、その場書を写し出す!

 

 

 

 

 

 

「なっなんだここは?!」

 

物凄い灼熱と圧力に冥の体が晒される。

だがそれだけでは冥は倒せない。

熱も圧も冥は耐えれるからだ。

だが冥がその地点に存在した時点で全ては終わっていた。

 

「な…なんだ?!」

 

冥の体が腹部を中心に潰れていく。

逃げ出そうとするが、酸素すらない圧の中で空気は漏れて声が出せなくなる。

それはそうだろう、体の中心、肺の下に位置する場所に飲み込まれているのだから。

そして、冥は次第に体をまるで空間に喰われるように内側へ押し潰され小さくなっていく。

何度も時間を戻し体を復元しようとするが、その時間すらも吸い込まれるのだ。

 

ブラックホール

 

それは引力が光を越える力で吸い寄せられることで発生する『穴』である。

そして、冥が達也に飛ばされたのは地球の中心であった。

地球の直径12742キロメートル。

様々な説があるが、達也の教わった重力の定義の中の一つに、地球は中心に近づくにつれて重力が強くなるという話があった。

重力は体積に比例して発生し、中へ行くほど外側からの圧力が更に掛かり重力は強くなる。

この理論で計算をすると、地球の直径12742キロメートルの中心に位置する部分。

そこから僅か半径9ミリより内側はその重力の吸い込む力が光の速度を超える。

即ち、ブラックホールが存在するのである。

 

達也は冥が完全に勝利を確信し、完全に油断したその一瞬を使ってそこへ送り込んだのだ。

座標に高度を自由に変えられると告げられ、高く上へとしか考えなかった冥。

地球上の何処であろうが高度を完全な0としたその場書に、まさか再び転移をさせられるとも思わず冥は完全に無対策でそこへ送られた。

光を超える力で吸い寄せられることで時間の概念すらも吸い寄せられ、冥は飲み込まれ消え去るのみである。

 

(こんな…嘘だ…私は…無敵…………)

 

達也の勝利であった。

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