真っ白の空間、光の壁を隔てて双方に3人の神が立っていた。
それぞれマリス、ダマ、デウスである。
片方はマリスではなくミリーだが、ゴンザレス太郎に寄って改変されているだけで同一の存在である。
「まさか本当に成す存在と成り得るとはな」
「見越して仕掛けたはずでは?」
「可能性と言うだけで絶対ではないさ」
デウス同士が壁を隔てて笑い合う。
「それがフーカちゃんね」
「ちゃん付けしてたっけ?」
「な、なんでもいいじゃない。ほら渡しなさいよ」
光の壁をフーカの魂がダマからダマへと手渡される。
「本当面白かったぜ」
「タツヤは私を惚れさせる存在だもん」
「全く、3神とも女体化とかどういう存在だよってな」
マリスとミリーも会話を続ける。
神にとって性別は存在しない、だが好意を持つ相手が生まれた時にそれに対する別性に変化する。
世界を司る3人の神が女である理由がそこにはあった。
フーカの魂を預かったダマが心ない天使の体を持つチカに近付き、向かい合う。
「それで本当にイイの?」
「はい、私が消えるわけじゃなく記憶が混ざるだけですから」
「分かった」
青白く光るフーカの魂がチカの心臓の部分に入っていく。
デウスに寄って分けられた心が混ざり一つになるのだ。
その体が輝く様なアニメ的変化は一切無いが、一度閉じた目を再び開いたチカの瞳は赤と黄色になっていた。
「あっその目は・・・」
それを見たサラが声を上げ、その声に反応しチカがサラを見て微笑む。
「フーカ・・・なの?」
「チカでもあるわよサラ」
手を合わせて互いを確認するサラとフーカ。
暫しの再開を6人の神は微笑ましく見詰める。
「さて、それじゃ本題」
「彼・・・どうなの?」
達也の事だ。
マリスが困った顔をしながら発言する。
「一応本人は『転生タイムリープ』を使用しては居たんだけど・・・」
転生タイムリープ、1000年後に生まれる同じ体に死ぬと同時に魂をそのまま跳躍させて融合させるスキルである。
だがそれはこっちの世界で使用した場合だ。
マリスが管理する世界では1000年で世界は一周していない。
「死んだわけじゃないんですよね?」
フーカがマリスに尋ねる。
死んだ事には死んだのだ。
だがその魂は時間を跳躍し未来へ行っている。
問題は何処へ行ったのか、だが・・・
「前例が無いからね~」
「大丈夫ですよ、タツヤですもん」
サラのその一言にその場に居る全員が頷く。
誰一人心配していない。
彼は神すらも成し得なかった観測者を倒した存在なのだ。
「それでね、提案が在るんだけど」
壁の向こうのデウスが口にする。
6人の神は同じ気持ちなのだろう、一斉に二人を見詰める。
「二人共、こっちの世界の神として彼が戻ってくるの待たない?」
「えっ・・・それって・・・」
「彼と再会できたら彼も神になってもらって、6神としてやっていくの」
その中で唯一女に変わってないマリスも頷いている。
少し考えた二人だったが一つ問題が・・・
「でも私達そっちに行けないんじゃ・・・」
「あっそれなら・・・」
ダマ2人が両手を同時にパンっと合わせる。
仮にも人形に憑依する神であるダマ、二人が仮に宿る肉体を作る事なんてお手の物であった。
「アイツが何処に転生するか分からないから管理する者は多いほうが良いからな、見つけるのに手は多い方が良い」
二人は同意し、ダマの生み出した体を光の壁の向こうに用意して光の壁越しにその中へ入る。
マネキンのようだった体はサラとフーカが融合し、一つの生命体の様に変化して二人が思い描く姿へと変化する。
サラは赤い髪が背中まで伸びてつり目で背中に純白の白い羽を生やした姿、青い羽衣を着て先程までの姿より少し背が伸びていた。
フーカは黒髪が相変わらず目を隠してオッドアイが隠れている、少し暗そうではあるがサラよりも少し背が低く黒いローブを羽織っていた。
二人はお互いの姿を見て笑い合う。
「ちょっとフーカその姿!?」
「うん・・・タツヤと初めて会った時の姿・・・そういうサラは?」
「ごめん、フーカが居なくなってタツヤとの孫が出来た時の姿」
二人共思い描いたのはやはりゴンザレス太郎との思い出の姿であった。
「それじゃ二人共頑張ってね」
ミリー含む白い壁の向こうの3人が手を振る。
それに返事をするように二人は手を振ってこっちの3神と共に付いて行く・・・
その部屋には一面に杖が立てられていた。
自分達が立っている場所が1本の杖の前だった事から二人にはその杖が何を現わしているのか理解した。
「この部屋全てがもしかして・・・」
「そうだよ、全て僕らが異世界ツクールで作った世界さ」
ざっと見ても数百は在る。
そして・・・
「この中の世界の何処かかもしれないし外の世界かもしれない、見逃さないように頑張らないとね」
そう言うデウスの一言で二人はその大変な道のりを理解した。
この中の何処かに、いつかゴンザレス太郎が転生するかもしれないのだ。
それを見つけて連れて来るのが目的なのだ。
「でもまぁアイツがもし転生したら直ぐに分かると思うよ、あんな異常な存在そうそう居ないからね」
マリスの言葉に納得した全員が頷いてから笑い合う。
6人で神になってまた一緒に暮らすんだ。
それをサラとフーカは願っている。
きっと二人の願いは叶うだろう・・・
神となった二人は永遠の時を生き続けるのだから・・・
そして、いつの日かゴンザレス太郎と共に神としてニート生活を満喫するに違いない・・・
神の仕事は見守る事である、自宅警備員であるのだから・・・
どれ程の時が流れたであろう・・・
二つの世界に特別な存在が在ると連絡が入った。
「タツヤなの?!」
「どうかな?そうかもしれないし違うかもしれない・・・」
マリスの言葉に希望が溢れる。
諦めずに神として観察を続けた結果、遂に見つけた可能性。
勿論今まで何度も可能性はあり、その度に5神全員が動いていたがゴンザレス太郎発見には至らなかった。
だが次こそは当たりかもしれない。
サラもフーカも何度目の可能性か分からないが、それでも歓喜した。
「それでどんな世界なんですか?」
「どっちも君らが居たような世界だよ、折角だから最初に干渉するといいよ」
そうマリスに言われサラとフーカはじゃんけんでそれぞれが干渉する世界を決めた。
と言ってもその存在が人を超える存在であるならば、ゴンザレス太郎であっても無くても5人の神に会うのだから。
「それじゃサラ私は行くね」
フーカは一つの杖の前に立って手を翳しその世界へ入った。
それを確認してサラも一つの杖の前に立ち世界に入る・・・
可能性が欠片でも在るのなら彼女達は諦めない・・・
諦めなければ希望はきっと叶う・・・
それはゴンザレス太郎が示してくれたのだから・・・
フーカサイド・・・
「我を召喚した存在はお前か?」
フーカの前には青い髪の少年と赤髪の少女が居た。
なにやら慌てた少年は突然頭を下げる。
「ごめんなさい、僕の魔法が・・・」
これは一つの世界に現われたとんでもない魔法の使い手の話・・・
「神様なんですか?」
「我は風の神フーカ。この世界には5人の神が居る・・・」
フーカが見詰める少年はもしかしたらゴンザレス太郎かもしれない・・・
その期待が心から溢れるが、表情には決して漏らさない。
今はその時ではないからだ・・・
「それで、我に・・・」
「ごめんなさい、誤作動なんです用は別に無いんです」
「えっ・・・」
顔合わせだけでその世界から戻るフーカ。
だが間違い無く世界を隔てる光の壁を無視してフーカを呼び出したその少年は規格外であった。
フーカは口元を歪めながらゴンザレス太郎の可能性に心を躍らせる。
「サラの方はどうだったのかしら?」
サラサイド・・・
光の壁の前に扉が在る。
その世界に繋がる扉だ。
そして、そのドアが開く。
そこには巨大な魔物に襲われている少年が居た。
サラは焦った。
彼がゴンザレス太郎かもしれないのだ。
だが神で在るサラはそのドアを潜れない。
この世界のルールで、ドアを潜れるのはその世界の住人だけなのだ。
「あぁ?!」
魔物にやられた少年の左腕が潰れた。
それでもなんとか魔物を退治した少年、だがその少年を狙って大量の魔物がゆっくりと近付く・・・
「こっちよ!」
サラが叫ぶが少年は魔物にまだ気付かない。
「早く!」
再び叫ぶ、だが少年は魔物の攻撃を喰らってしまう。
それが致命傷に至ったかどうかは分からないが、サラにとって彼がゴンザレス太郎かもしれないと考えると気が気でない。
「急いで!」
サラの叫びが聞こえているのだろう少年は駆け出す。
だが更に魔物に襲われて瀕死の怪我を負った。
転がる少年、だがその手に持っていた武器が扉の中へ少し入った!
サラはそれを掴んで叫ぶ!
「しっかり握ってなさいよ!」
そして少年を力尽くで扉の中へ引き込む。
少し会話をした後、気を失った少年の寝顔を見ながらサラは呟く・・・
「もしかしたら・・・今度こそ・・・タツヤかもしれない・・・そうだ目を覚ましたら名を名乗ってみよう!もし記憶が在れば私だと分かるかも!」
その後、名前を名乗るがそれに反応しなかった少年の怪我を治して戻してやった。
自らを火の神と名乗り、この世界のルールに従い火の加護とちょっとした手助けをした。
サラから見ても少年の存在は異様なのは間違いなかった。
可能性は0ではない、今後も残りの4神と会う可能性があの少年にはあるだろう。
二つの世界に現われた特別な存在の二人の少年。
これは次の世界へと繋がるNEXTの話・・・
「サラどうだった?」
「う~ん・・・分からないけど規格外なのは間違いなかった。」
「私の方も」
杖の部屋に戻った二人は互いが会った少年の話に盛り上がる。
ゴンザレス太郎に再会するまで二人は働き続ける。
神として3人でニート生活を満喫する為に!
と言っても普段は何もしてない二人なのであった。
第1章 完