翌日、無事に一日を乗りきったゴンザレス太郎は学校へ向かっていた。
昨日は帰ってからも仮眠を取る時間がなく、『アイテム減らない』状態は維持されたままだったが、夕飯前に少しだけ寝れて解除出来たので被害はトイレの紙が減らないだけで済んだ。
そんな昨日の事を思い出しながら学校の教室に入った。
いつもと変わらないクラスメイトの笑顔がいつもの様に広がる…
そんな幻想は一瞬にして崩れ去った。
僕が登校したのを確認したアイアンとホネオが、それを突然始めたのだ!
「前からずっと好きでした!俺の彼女になって下さい!」
ホネオがアイアンに土下座をし、アイアンがそれを無視して振り返り歩き出す。
そう、昨日のアレを再現しているのだ。
突然のそれに固まっていると、突如としてゲラゲラとバカ笑いをする二人とクラスメイト達。
だがゴンザレス太郎は最初見られていたのかと驚いて焦ったが、二人は自分のスキルの事に気付いてないと知ってホッと安心する。
ゴンザレス太郎にとってあれは教師を欺く演技、自分とフーカさんのスキルの秘密が漏れていないのであれば特に問題は無い!
7歳の子供達と前世の記憶があるゴンザレス太郎では精神年齢に差があるのは当然であり、それは死を繰り返しているフーカさんも同じだろうとゴンザレス太郎は微笑んだ。
その余裕の態度を見たアイアンとホネオ。
特に動じないゴンザレス太郎の様子が気に食わないアイアンはゴンザレス太郎に掴みかかろうとするのだが、その足が直ぐに止まった。
教室に入った所に居るゴンザレス太郎のすぐ後ろにフーカが立っていたからだ。
いつものように前髪を垂らし目を隠しているので表情が分からず、もしかしたら泣かせたかとアイアン達は罪悪感を感じたのだが、フーカはそのままゴンザレス太郎の背中に抱き付き皆に聞こえる様に…
「おはよ、ダーリン 」
その一言に教室の全員が固まった。
上目使いでゴンザレス太郎を見たので前髪が流れ、彼女のオッドアイが露になりクラスの殆んどの者が初めてフーカの素顔を見てその美声を聞いた。
その表情と仕草は妖艶な魅力を感じさせ、見ている全員を魅了したのだ。
伊達に人生を何回もやり直してはいなかった。
そして、ゴンザレス太郎の耳元で…
「今日の放課後から始めるわよ…」
っと小さく告げフーカは自分の席に着いた。
予想外のフーカの様子に一瞬驚いたゴンザレス太郎だが、小声の内容から演技だと理解したので、頬をポリポリ掻いてゴンザレス太郎も自分の席に着くのだった。
二人してアイアン達を完全に無視して…