異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第11話 今回の成果が凄過ぎて・・・

「なん・・・だこれ・・・」

 

ピコハンはその光景に唖然としていた。

家にはルージュが待っていてくれている、とばかり考えていたのだがそこは戦場の様であった。

 

「この家紋はアンドリュー家の物じゃないか?」

「こっちはベルサイユの硬貨だ!」

 

ピコハンが送った山の様な回収物を10人くらいの人間で選別している光景であった。

手を繋いでいるアイもその光景に何が起こっているのかと目を丸くして見詰めていた。

 

「おっ!ダーリン帰ってきたね!」

「だっだーりん?!」

 

ピコハンがかけられた声に反応して視線をやると、そこにはルージュが立っていた。

凄い上機嫌の様で笑みを浮かべながら熱い視線を送っている。

 

「とりあえずそっちの娘が怪我人だね、もう大丈夫だよ」

 

ルージュの言葉に警戒心を強めてピコハンの手を強く握るアイ。

それもそうだろう、人捨てされた人間は戸籍を失い人として扱われなくなるのだから。

しかし、ピコハンはアイの手を優しく握りながら目を見て話す。

 

「アイ、こっちがルージュだ。彼女もダンジョンで俺が助けて、今ココで一緒に暮らしているんだ」

 

正確にはルージュは人捨てでダンジョンで助けられたわけではなく、トレジャーハンターとして入り魔物に摑まって死を待つばかりのところで助けられたのだが、まずはアイの警戒を解く為に伝えなかった。

 

「私・・・ここに居てもいいの?」

 

アイが次に気にしたのはピコハンとルージュが一緒に暮らしていると言う事だった。

2人がどういう関係か分からないが、ダーリン呼ばわりしていたので少なくともそういう関係ではあると考えていたからだ。

アイ、少女なのに中々おませさんであった。

 

「あぁ、行く所ないだろ?」

 

ピコハンの言葉に頷くアイ。

そして、ピコハンはルージュの方を向いて尋ねる。

 

「今回は大収穫でしたからね、どれくらいいきそうですか?」

「はっとんでもない額だよ、下手すりゃ小さな町が出来るレベルかもね」

 

ルージュの言葉は決して比喩ではない、ダンジョンの魔物の素材自体も倒せる人間が殆ど居らず貴重ではあるのだが、今回は女王蟻も居る。

その上、奥で見つけた蟻の餌となった人たちの荷物である。

特にトレジャーハンターで行方不明となっていた人が死んでいた。と言う情報は以外に高く売れる場合がある。

貴族関連なら尚更で相続の事もありその情報は高く売買される。

更に死んだ人達が持っていたアイテムも根こそぎ手に入り一財産どころの話では無かった。

 

「それじゃあさ、ここに町を作らないか?」

「はぁ?!」

「今は家しか無いけど、今回の稼ぎで何軒か建ててさ・・・」

 

ピコハン、決して適当に言っている訳ではない。

前回はルージュ、今回はアイ・・・

もしかしたら次回は数人同時に助けられるかもしれない。

でも助けたとしてもその人達に戸籍は無いし行く宛ても無い。

だったら一蓮托生で住処を提供してあげようと考えたのだ。

そして、ピコハンが考えているのはその助けた人たちで家族になり、互いを助け合える生活を送りたいと言う事であった。

全ては手を握っているアイの為に考えた事であった。

片腕と片目を失った彼女はこれから生きるだけで大変苦労するだろうと言う事は直ぐに想像が付く。

だからこそ、ダンジョンから脱出させてくれたアイに少しでも恩返しをする方法を必死で考えていたのだ。

 

「ふ~ん・・・ダーリンは年下が好みだったのね」

 

少し怖い笑顔を向けるルージュ、その視線に少し怖がるアイであった。

そして、ルージュは少し考えて話をする。

 

「まず先に報告しておきたいのは、今回の件でココに既に建物を3軒建てる事は決まっている。」

 

ルージュの口調が先程までのものとは違い、仕事と割り切った話し方をしてきた。

ピコハンはそれをしっかりと聞き入れる。

ルージュの話では、魔物を送って来た時にそれを捌ける場所として解体倉庫が1軒目。

ダンジョン内のお宝や遺品を処理するアイテム倉庫が2軒目。

そして、その2軒で働く人達が住む集合住宅が3軒目であった。

特にピコハンが今回狩って来た蟻と、女王蟻は解体するだけで1週間は掛かるだろうと言われた。

 

「だけど、ダーリンの頼みとあっちゃ仕方ないな。孤児院建てるか!」

「孤児院?」

 

ピコハンの住んでいた村には無かったのでその名前を知らなかったが、様はアイの様な子供を助けて来た場合に住んで暮らしていける集団生活が出来る場所を作ろうと言う事であった。

ピコハンはルージュに詳しい説明をされて満足気に頷く。

ルージュの伝で孤児院を経営する人材も確保すると言う事で話はまとまり、ピコハンとアイは家で体を休ませるようにそのまま数日眠り続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

ピコハンが目を覚ますと丁度アイとルージュがピコハンの着ている物を脱がしている所であった。

 

「きゃああああ!!」

「ダーリンやっと起きたか」

 

アイとルージュが驚きつつも楽しそうに笑う。

後から聞いた話ではアイは2日前に目を覚まし、片腕になった事で不便ながら生活に慣れる為に色々と頑張っていると聞く。

そんな、2人は毎日欠かさずピコハンの体を拭き、服を着替えさせてくれていたのだ。

 

「ちぇっお楽しみも今日までか」

「ルージュさん・・・正直すぎますよ・・・」

 

ルージュのお楽しみとはピコハンの裸体を見る事なのか触れる事なのか・・・

そして、随分と普通に話すようになっているアイ・・・

 

「俺はどれくらい寝てたんだ?」

「アイは4日、ダーリンは今日で6日目だよ」

 

1週間近く眠り続けたと聞いて驚きつつも体を起こして立ち上がるピコハン。

体に異常も無いようで見ている2人も安心した。

 

「それじゃご飯にしよっか、ダーリンお腹すいてるだろ?」

「んっ?」

 

聞き返したピコハンのお腹が「クー」と鳴って空腹をアピールして来た。

そのまるでお笑いの語り話のような流れにクスクスと口元に唯一の手を寄せて笑うアイ。

ピコハンはその笑顔を見れただけで助けて良かったと考え、2人の作った食事を頂いた。

数日食べてなかったと言う事もありその美味しさにピコハンが喉を詰めた事もあったが、アイが慌てず飲み物を手渡し一息つくと言う事もあり、無事に食事を終えた3人は片付けた机に向かって座りルージュが机にそれを広げる。

 

「これが今回の収穫だ」

 

ルージュがそう言うとあらかじめスタンバイしていたのだろう、入り口から先日解体作業を仕切っていた男性が何度も往復を繰り返し、金貨や銀貨がどんどんどんどん積み上げられその光景に唖然とする2人。

 

「これで全部、金貨6420枚、銀貨481枚、銅貨19枚です。」

「あぁ、ありがとっ」

 

ルージュの言葉を聞いて一礼して男は外へ出て行く・・・

一般的な平均月収が金貨2枚と言われているこの世界で目の前に在るのはまさに大金としか言えない山であった。

実はこれ、2人に実際にその金額を見せるためにルージュが別の共有箱を使って親の会社の方で金と換えてもらい送ってもらって用意していたのだ。

 

「あぁ、一応言っておくと買取とかが決まった分でこれだからな。女王蟻はまだ売られてないから」

 

ルージュのその言葉に2人は目眩と頭痛を覚えて来た。

だが、ピコハンの希望もこれだけのお金が在れば叶えられる。

 

「あと、この家の代金の金貨204枚は既にココから支払い済みだから」

 

ルージュからのこの言葉に遂に理解が追いつかなくなったアイは遂に口を開けたまま固まった。

そして、ピコハンは告げる。

 

「このお金は3人で山分けと言う形を取らないか?」

「「はぁあああああ?!」」

 

2人はハモッて声を上げるのであった。

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