異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第26話 百足大量狩り

ピコハンは穴の中へ身を投げた。

それと同時くらいに勢いよく穴の中から百足が飛び出してくる!

ピコハンはバク宙をするように回転し、両手で百足の牙を掴む!

狙い通りであった。

もし、あのまま穴の側面に張り付いた状態で百足が上がってきたら、背後を取られ抵抗する事無く初撃を受けていただろう。

 

「この・・・」

 

そのままムカデはピコハンを天井に叩きつけるつもりなのだろう。

だがピコハンも1匹倒した事で強くなっていた。

自身に向かって伸ばされている牙をピコハンは両手で押さえて根元に押し上げられた勢いを利用して蹴りを入れる!

 

「GUGIIIIII!!!」

 

ピコハンの蹴りに百足の体が傾いた!

そしてそのまま天井へ百足は激突する!

本来なら牙を突き刺すように天井にぶつかるので大丈夫なのだがピコハンに蹴られた事でその頭部は斜めにぶつかった!

 

「GYOBAAAAAAAAAA!!!!!」

 

予期せぬ方向からの衝撃は百足の牙を根元から叩き折った!

先程のピコハンの蹴りで牙の根元が弛んでいたのもあるだろう。

痛みに暴れながら百足は落下していく。

だが既に先に着地していたピコハンは慌てずに女王蟻の剣を構えていた。

 

「もらった!」

 

穴から途中まで出たムカデの胴体を一閃!

真っ二つにした!

更に切り替えした振りで落下してくる百足の頭部を切断!

頭部の付け根から切り離された頭部は地面を転がり体はその場に抵抗する事無く砂埃を巻き上げながら落下する。

 

「分かる!」

 

ピコハンは後ろにステップし自分の立っていた位置を下から上へ剣を降り抜く!

丁度そこに天井の穴から落下して来た百足が降りてきてその頭部を切り裂く!

そして、そのままサイドステップで右に移動して真横に女王蟻の剣を振り抜く!

横穴から飛び出した百足を瞬時に上下にスライスして無力化した!

 

「気配?というか熱?なんとなくだけど分かる!」

 

これが火の加護の効果の一つであった。

熱源的なものを直感で感じる事が出来るようになっていたのだ。

更に百足を倒せばそれだけ死んだ百足から光の粒子が飛び出し、ピコハンの体目掛けて飛んでくる!

それが体内に入ればそれだけピコハンは強くなる!

百足にとって最初の1匹が倒された時点でピコハンに勝利する事は限りなく難しくなっていたのだ。

 

「せい!おりゃ!とりゃあ!よっと!」

 

穴から不意打ちで飛び出して攻撃を仕掛けてくる百足であったがピコハンにとっては飛び出す前に火の加護で熱源を察知しそっちに意識を集中できる、しかも百足が死ぬ度にピコハンは強くなっていく!

唯一百足がピコハンを倒せるとすれば死んだ仲間を利用して動きを封じて・・・

と言った作戦だろうが、それをさせない為にピコハンは空間を大きく動き回りながら次々と百足を倒していく!

そして・・・

 

「しまっ・・・」

 

ピコハンが剣を振り抜いた瞬間を狙って左右から2匹の百足が同時に挟むように牙で襲い掛かってきた!

ピコハンは慌てず手にしていた剣を離し前後の百足の牙を素手で押さえる!

驚くべき光景であった。

前後で挟まれたピコハンは百足の突撃を素手で止めたのだ!

その手が当てられた百足の牙はピコハンの指が食い込み割れている。

 

「がああああああああああああああ!!!!」

 

そのまま両腕で掴んだ2匹の百足を振り回しながらその場で回転して百足を武器に他の百足に叩き付けた!

遂に百足は攻撃を仕掛けるのを止めた。

穴から飛び出そうとした百足はそのまま穴の奥へバックして戻っていく・・・

途中までピコハンを攻撃して生き残っていた百足も逃げるように反転した。だが・・・

 

「お前は逃がさないよ!」

 

ピコハンが掴んだのは最初の1匹の折れた牙であった。

それを振り被り思いっきり投げつける!

 

「GIGIIIIIIIIIIIIIIIIIII!!!」

 

とんでもない勢いで飛んでいった牙は百足の体に突き刺さり悲鳴の様な叫びを上げて倒れる。

それは突き刺さるなんて生易しいものではなかった。

面でぶつかったのにも関わらず、面で百足の体に減り込みその部分が抉れていたのだ。

 

「ふぅ・・・終わったか・・・いてててて・・・・」

 

百足の攻撃が止んでピコハンは深呼吸をすると共に、全身を庇うように両腕で押さえながらしゃがみこむ。

筋肉痛にも似た症状であった。

急激に大量の百足を倒したピコハンの体にはその百足の力が次々と今も止まらず飛び込んで来ていた。

暫くその場で悶絶するピコハンであったが、少し休めば回復したようで、その場に共有箱を展開させて百足を輪切りにしながらその中へ次々と投入していく。

足や牙以外に素材として使えるか分からないが、一応戦利品として次々と悩む事無く入れていく・・・

結局バラして入れないと共有箱に入らなかったのでその作業は1時間近くに及んだ。

実に31匹の巨大百足を一人で無双したピコハン、綺麗に片付いたその部屋から縦穴を通って外を目指す!

今回の成果を受け取った彼女の喜ぶ顔が早く見たくてピコハンは走る。

縦穴さえ降りてしまえば後はデモンズウォールは討伐済みなので、その場所は素通りでピコハンはダンジョンを生きて脱出するのであった。


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