第1話 行き止まりの鉄骨橋
到着したのは、ピコハンが捨てられたあのダンジョン。
入る度に中の構造が変わり、違う素材が手に入るので、同じ場所でも何度も行く価値があるのだ。
「さて、今回は何が待ち構えているかな?」
入り口から足を一歩踏み入れた瞬間、その時からピコハンの全てが変わる。
少年の瞳から野生の獣の様な瞳に変わり、常に警戒をしたままの狩人の様な気配に変わる。
そして、そのままダンジョンの中へと進み岩壁で出来た通路を少し進んでやはり目を疑う光景が広がっていた。
何度も言うが、このダンジョンは入る度に空間が別の場所へ繋がっているのか、その中は全く違う構造となっているのだ。
「さぁ、やるか!」
ピコハンは気合を入れなおし、1回深呼吸をして足を踏み出す。
岩壁だったのが、その境界を越えた場所からは5本の鉄骨だけが真っ直ぐに伸びている橋の様な道になっていたのだ。
左右には延々と真っ暗な空間が広がっており、天井は岩肌でその場に在るので謎の明るさは確保できている。
鉄骨と鉄骨の間は1センチも無く、間に落ちる様な事はないのだが、だからこそ不気味であった。
幅15センチ程の鉄骨が5本のみの足場が続く、その道をピコハンは警戒しながら歩き続ける。
下は何処まで続いているのかわからないくらい闇に包まれており、少し覗いたが何もわからないので気にしない事にした。
降りるとまず戻れないので気にする必要は無いだろう。
警戒をしつつ、そのまま真っ直ぐに伸びた鉄骨の上を進み続ける事約10分。
特にこれと言った罠も魔物も出てこず、ただ鉄骨の上を歩き続けたピコハンであった。
そうして正面に見えたのは行き止まりの壁であった・・・
そして、振り返ったピコハンは声を出して慌てて大きく跳躍する!
「うぉっ?!」
音を立てず鉄骨の間から20センチ程の長さの鋭利な刃が出て、ピコハンの足を物凄い速度で後方から狙ってやってきていたのだ!
音もしない謎の刃物、当たれば膝下までざっくりと斬られるのは間違いない!
それをかわす為に飛び越えたピコハン、だがその刃を目で追って冷や汗を一つ流す。
通り過ぎて行った刃は岩壁まで進み、ぶつかる直前でスッと下へと引っ込んで消えた。
そして、それに続くように鉄骨の間を高速で次々とやってくる刃物達が視界に入ったのだ。
ピコハンは鉄骨の上に着地すると共に次々と襲い掛かる刃物を左右へ動き、無理な場合はジャンプで飛び越えて回避する。
その動きはまるでアクションゲームのようで、少し楽しくなる気持ちを表情に浮かべながら、ピコハンは回避を続けるのであった。