異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第16話 リトーへ続くダンジョン

天井を突き破って上の階に出たピコハン、再び天井を突き破ろうとするがその場で立ち止まり腕をクロスする。

巨大な何かが物凄い速度でピコハンに体当たりを仕掛けてきたのだ!

 

「ぐぐぐ・・・ぐがぁあああああ!!!」

 

その巨大な球体を踏ん張って押し止めたピコハン、球体の向こうに居る何かは必死に前へ進もうと球体を押すがピコハンはそれを押さえて動かせない。

身長の3倍は在る通路いっぱいに隙間無く存在するその球体をピコハンは今度は逆に押し返し始める!

 

「な・・・め・・・る・・・なぁあああ!!!」

 

ブチッと何かが潰れる音と共に球体は少し浮き上がり何かをひき潰したのが分かった。

その音と共に球体は砂に戻るように消え去っていく・・・

そこに死んでいたのは巨大なふんころがしの様な魔物であった。

砂の中に居たその魔物から存在の力がピコハンに流れ込むが、それを気にする事無くピコハンは再び助走をつけて天井へ飛び上がる!

天井を更に突き抜けたそこは霧に包まれており、視界が真っ白であった。

 

「げほっ・・・これ毒か?!」

 

呼吸した瞬間に喉に痛みを覚えたピコハンは立ち止まらず上へジャンプする!

天井を突き破って上の階へ急ごうとしたのだが、予想以上に天井が高くピコハンはそれを見た!

建物3階位の高さのある天井には梯子の様な物が設置されており、本来ならそれを腕で掴み雲梯のように対岸へ渡る仕様の部屋なのだとピコハンは理解した。

 

「落ちたら毒霧でお陀仏ってトラップなのに毒霧の中から出てきたって事か」

 

そう理解するも重力によりピコハンの体は下へ落下を始める。

真っ白の毒霧の中へ沈むピコハンは空中で一回転してその勢いで地面へ踵落としを決めた!

その勢いで真っ白の霧は左右へモーゼの様に割れ地面にはヒビが広がっていく。

そのまま再びピコハンは駆け出し大きくジャンプを行なった!

ピコハンのジャンプと共に崩落する地面!

部屋の地面が下の階へ崩落し、空気より重かった白い毒霧は全て下の階へ流れていく。

 

「なにもないか・・・」

 

今度は天井の梯子に手が届くまでしっかりジャンプしており、それを掴みながら下を見るピコハン。

霧の中に何か在るかも知れないと考えていたのだが何も出てこなかったのでそのままピコハンは梯子を伝って前へ進む。

 

「とっ危ないな!」

 

突如横から飛んできた矢を片手でぶら下がったまま反対の手で掴んで止める。

だがそれを切欠にあちこちの壁穴から一斉にピコハン目掛けて物凄い数の矢が飛び出してきた!

 

「無茶苦茶だなおい!」

 

そう言ってピコハンは天井の梯子に足をかけ、逆さまになった状態で次々と矢を掴んで止めていく。

どっちが無茶苦茶なのか分からない動きで殆どの矢を掴んで止めたピコハンはその束になった矢を逆さまの状態のまま開いた共有箱の中へ仕舞う。

ついでに水の入った水筒を取り出して口にして逆さまのまま小休憩を取る。

 

「ぷぁ・・・喉が痛かったから助かったぜ、ありがとなクリフ」

 

そう言って水筒を仕舞い共有箱を片付けた。

手で再び梯子を掴みなおしてピコハンは一気に前へ進んだ!

その速度が速すぎたために本来なら宙吊りになっている状態の侵入者へ襲い掛かるはずのトラップの数々はピコハンが通過してから効果を発揮して、横から炎で焼かれ、天井から油が流れ、円盤状の刃物が飛んでくるのだが全てピコハンが通り過ぎてから発動しているのであった。

 

「よっと、螺旋階段だったのか・・・何気にこのダンジョンで階段を上がるのは初めてだなっと!」

 

人が1人ずつしか上がれない幅しかない手すりの無い螺旋階段を駆け上がるピコハン。

次の階はまたしても異常な光景が広がっていた。

ピコハンは中腰になりながら道を確認する。

その体勢は仕方ないであろう、なんと天井まで2メートル程しかない通路の上半分に水が溜まっているのだ。

不思議な事にその水は重力に逆らっているのか、天井から落ちてこず浮いている様な状態であった。

 

「これは・・・単なる水なんだよな?」

 

そう言って一応手で触れて違和感が無いのを確認する。

ピコハンには様々な加護があり、もしも天井に溜まる大量の水が毒や酸であったとしても自然回復で治るのだ。

触ってもなんとも無いその水に違和感を覚えながらも中腰のまま通路を先へと進み始めたピコハンはその音に気が付いた。

 

「・・・ゴォォォォォォォォォォオオオオオオ!!!」

 

徐々に近付いてくるその音にピコハンが振り返る・・・

なんとピコハンの方目掛けて爆発的な勢いで炎が通路を埋め尽くしながらこっちへ向かってきていたのだ!

幾ら火の加護を持っているピコハンと言っても、全身が炎に包まれれば少しずつでもその体は焼かれていく。

勿論火の加護の力で直ぐにその火傷も回復するのだが失った体力は戻らない。

しかも・・・体を焼かれる痛みは緩和されないのだ。

 

「そう言うことかよ!」

 

一言口ってピコハンは立ち上がり天井に溜まる水の中へその体を入れて泳ぎ始める。

直後水の下を物凄い量の炎が通過し通路の下半分を完全燃焼させていく。

 

(空中に浮かぶ水の中に居ないとあの炎に焼かれて死ぬダンジョンか・・・酷いな)

 

そう考えつつも初見の咄嗟な判断で回避するピコハンであった。

 

「ぷはっ、ゲホッ・・・空気が暑いな・・・」

 

水面から下へ顔を出して息継ぎをしたピコハンは焼かれた空気の暑さに嫌な顔をしながら水中を泳いで前へ進む。

下の通路が何時また炎に包まれるか分からないのでそうしていたピコハンであったが、突然体を上へ引っ張られる感覚を感じて慌てて水中から下へ飛び出す!

 

「あっぶねぇな・・・」

 

地面へ四つん這いになり顔だけ上を見上げるとそこには恐ろしい光景が広がっていた。

水が天井にある穴へ吸い込まれるように流れており、その穴の入り口には大量の刃物が回転する罠が仕掛けられていたのだ。

炎を回避する為に水中を泳いで進んでいた者を天井へ引き込んで細切れにする罠・・・

まさしく悪魔の設計したような罠であった。

 

「っと急いだ方がいいな」

 

またいつ炎が襲ってくるか分からないので中腰のまま急ぐピコハン。

幾ら身体能力が強化されているとは言え、真っ直ぐ立って走るわけではないのでその歩みは非常に遅い。

だがそれでも次の炎が襲ってくる前に天井の水が途切れ、中腰の姿勢のまま進んだ先に丸く縦に伸びる空洞が在った。

道がそこで途切れているのと空洞の中央にロープが一本垂れている事から、次はここを登るのだと理解したピコハンはそのロープを掴んで壁に足をかけながら上へと登っていく・・・

 

「また水かよ・・・」

 

暫く登ったそこには再び水が溜まっておりそのままピコハンはロープを登って水の中へと進むのであった。

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