異世界ツクール   作:昆布 海胆

314 / 435
第24話 灼熱の戦闘

「くそっ・・・この暑さはヤバイな・・・」

 

酒呑童子はフラつきながらも網の上をピコハンと共に走る。

鉄網の下には数メートルの所に溶岩が流れており、熱が上に上がってきていて容赦なくピコハンと酒呑童子を焼く。

立ち止まれば足が焼かれてしまうであろう網の上を交互に足を僅かな時間だけつけるようなスキップ的な走り方で2人は駆ける!

 

「いだいいだいあづいあづいいだいいだいあづいあづい!!!!」

 

止まらないのは後ろを追い掛けるリトーも同じであった。

見る度にその姿を変化させているリトーは下半身は何本もの鳥の足が、胴体は人間の体を巨大化させた様な物、腕や頭部は昆虫の様な姿をしており、胸の部分にはリトーの顔が埋まって悲鳴を上げている。

その体は常に虫に食われているのだが、この暑さのせいか後方から飛んで追いかけてくる虫たちの大半はリトーに辿り着く前に熱で焼け死んで落下していた。

それでも暑さに強い虫なんかはお構いなくリトーまで辿り着いてその体に喰らいつくのだから恐ろしい状況であった。

 

「おい!」

 

酒呑童子の声掛けにピコハンは頷く。

2人の先には鉄網が無く溶岩の上に浮いている岩を足場にしないと進めないのが見えていた。

走る速度を落とさないピコハンを見て酒呑童子も覚悟を決めた!

 

「うぉっ?!」

「酒呑童子?!」

 

身軽なピコハンが軽快に岩を飛び移っていくのに続いた酒呑童子だったが小柄なピコハンと違い体重が重いせいだろう、1メートル程しか足場の無い岩は溶岩の上に浮いているだけであったので沈んだ時にバランスを崩しそうになる。

驚いた時に出た声にピコハンは反応して振り返る。

だが直ぐにジャンプして次の岩へ飛ぶことで体勢を整える酒呑童子にピコハンは再び前を向いて岩を渡っていく。

二本足で立つ生き物に限らずバランスを取ったまま静止すると言うのは非常に難しい事なのである、それを本能的に知っていた酒呑童子だからこそ直ぐに次の岩へ渡ったのだ。

 

「俺に構わず先に行け!」

 

そう言ってピコハンの後を追いかける形で岩を飛び移っていく。

鉄網が無くこんな小さな足場だけであればリトーも追いかけて来れないだろうと少し安心していた酒呑童子であったが、その考えは甘かった。

 

「逃げるなぁあああああ!!!」

 

その声が真後ろではなく後ろ斜め上から聞こえた事に気が付いた2人は眉間にしわを寄せる。

上手く行けばここでリトーから逃げ切れるかもと考えた2人であったがその考えが甘かった考えさせられた。

リトーは背中に色々な種類の何枚もの翼を広げ空を飛んでいたのだ。

その翼も互いに邪魔にならない場所に生えており一斉に羽ばたく事で軽々と空を飛んでいたのだ。

 

「そんなんありかよ!?」

 

そう言いながらも酒呑童子は岩を渡っていく。

そして、溶岩が途切れたそこは岩肌が続いていた。

そこにピコハンは立ち止まっており追い付いて来た酒呑童子に告げる。

 

「ここで討つぞ!」

「この中に落とすって訳だな!」

 

最後の浮いた岩から飛び移った酒呑童子もピコハンの横に並び振り返ってリトーを見上げる。

空中でも虫に食われ続けているのだろう、翼が穴だらけになれば切り離し次の翼を生やすを繰り返しながらリトーは追いかけて来ていた。

こうして空を飛ぶと言う事は溶岩を嫌がっているからだと考えた二人はリトーを溶岩内へ叩き落す作戦に出たのだ!

 

「おいづいだぁああああ!!!ごろず!!!!」

 

リトーを見ると既に胸に付いている顔も虫に喰われ始めており、言葉使いがかなりおかしくなっていた。

それでも後ろから追いかけて来ていた虫の姿が既に無い事から体周辺と体内へ潜り込んでいる虫以外はもう居ないと言う事が予想された。

そして、そのまま空からピコハン目掛けて何本もの鳥の足を向けて急降下してきた!

 

「こい!」

 

それを正面から構えて待つピコハン!

その体目掛けて突っ込んできた鳥の足をピコハンは手で掴んで踏ん張る!

その場で耐えているピコハンに横から生えていた別の足が次々と攻撃を仕掛けられる!

それでも押さえている足が邪魔なのだろう、足の爪で軽い切り傷をピコハンに与える事が出来てもそれ以上の攻撃は届かなかった。

そのまま数センチ地面にピコハンの足が埋まり、リトーの巨体が空中で静止した!

 

「俺を無視してんじゃねぇええええ!!!!」

 

ピコハンを残し少し先まで進んでいた酒呑童子が駆けて戻ってきた!

そのまま空中で静止しているリトー目掛けて飛び上がり空中で縦回転した勢いで踵落としを仕掛けた!

虫に食われない様にする事だけしか考えていなかったリトーの体は大きくグラついた。

ピコハンが掴んでいたリトーの鳥の足も力が一気に抜けて空中で挙動がおかしくなった!

 

「今だぁ!!」

「おおおおおおおおおお!!!!!」

 

ピコハンの横に着地した酒呑童子はピコハンの叫びに合わせて別のリトーの鳥の足を掴んでそのまま2人掛かりで地面へ叩き付けた!

 

「ぐぁああああ!!!!」

 

虫に食われて痛みを感じ続けていたリトーに更に大きなダメージが通る!

だが、背中が触れているのが地面だと理解したリトーはすぐさま体を変形させ再び姿を変える!

背中の羽はともかくいつの間にか上半身は人間、下半身はタコの様な姿となるリトーであったがその口からは悲鳴にも似た声が出る。

予想以上にダメージが通り、体を変化させている間はあの厄介な結界が使えないのだろうと理解したピコハンは、目の前に居るリトーだった生命体に攻撃を酒呑童子と仕掛ける!

 

「どっちが沢山殴れるか勝負だな!」

「負けるかよ?!」

 

まるで遊びの様に見上げる形で地面に沈んでいるリトーの体に攻撃を仕掛けるピコハンと酒呑童子。

リトーの体が巨体だった為特に問題なく2人掛かりで殴る蹴るを繰り返し、奥へと押していくのだがやはり攻撃力そのものに差が出来すぎていた。

以前の段階でもピコハンの攻撃力は酒呑童子に並ぶ程であったのだが、あれから数々の戦闘を乗り越えてきたピコハンは酒呑童子よりも破壊力の高い拳をリトーの半身へ叩き込んだ事でリトーの体は真後ろではなく斜め後ろへずれて行く。

それでもお構いなく2人は攻撃をし続けて遂にその体が溶岩の上にまでたどり着いていた!

 

「ぎゃああああああ!!!熱い!!!!熱いぃいいいいい!!!」

 

そして、連撃の最後の一撃をピコハンと酒呑童子は同時に打ち込んだ!

地面を滑る様に削りながらリトーの体は溶岩の上に落ちたのだ!

周囲に広がる肉の焼ける気持ちの悪い臭いが広がりリトーの体を溶岩が容赦なく燃やしていく!

 

「今度こそ、さよならだ!」

 

そう言ってピコハンは溶岩の中へ沈んでいくリトーへ向かってジャンプした!

そして、胸に出ていたリトーの顔面へ強力な蹴りを入れてその反動で戻る!

顔面が肉の中へ陥没するような形に蹴りで凹んだままリトーの体は溶岩の中へ沈む・・・

それを見たピコハンと酒呑童子は軽く握った拳を互いに何も言わず「コツンっ」と合わせて勝利を祝うのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。