異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第29話 玄武参戦!究極の乱戦

凍りついたのは溶岩だけではなく、空間そのものが氷結化している。

溶岩の流れる灼熱の空間が一瞬で変化した様は酒呑童子にもかなりの衝撃を与えていた。

常識では考えられない事象を引き起こす魔法を使う上に、同じようなダメージを負っていた筈が自分は大流血しているにも関わらず、ゴンザレス太郎は全くの無傷なのである。

 

「おい小僧!本当にこれでいいのかよ!」

 

酒呑童子が声を上げるがピコハンはそれを無視する・・・

先程なにかを口走っていたが、その直後から様子がおかしくなったのだ。

そのピコハンに向かってゴンザレス太郎は右手を上げる。

突如2人の近くにシャボン玉の様な球体が次々と出現し浮かぶ。

 

「ちっ!」

 

酒呑童子はピコハンを突き飛ばしそれから距離を取らせる!

その直後空中に浮いた球体が連鎖的に大爆発を引き起こした!

岩の上からピコハンを突き飛ばし、自らも落下する事でその爆発の直撃を回避した2人ではあったが酒呑童子の出血が多すぎる。

直後に意識が飛びそうになり、落下しながら顔を振って自我を保たせる。

そのまま2人はゴンザレス太郎の前に着地した。

しかし、ピコハンはゴンザレス太郎の目の前に居るにも関わらず全然違う方向に視線をやった。

酒呑童子が突き飛ばした際も何の反応も見せなかったその様子に肩を掴んで怒鳴る!

 

「おい!小僧!どうしたってんだ?!」

 

だがそれに対して全く反応を示さないピコハン。

まるで目の集点が合っていない様な雰囲気を感じ取る酒呑童子だが、それを待ってくれるゴンザレス太郎ではなかった。

2人に向かって歩を進めるゴンザレス太郎、それに気付きピコハンが反応を示さないのに対して舌打ちをして1人構える酒呑童子。

その後ろでピコハンは小さく呟いた・・・

 

「・・・来る!」

 

その直後3人が居た場所・・・いや、その凍りついた空洞は一気に下から打ち上げられるように吹き飛んだ!

物凄い勢いで下から打ち上げられる形で吹き飛ばされた事で3人は地下空間から地上へ飛び出ることとなった。

直前まで戦っていた3人であるが、その視線は互いを見ておらず自分達の下から出てきたそれに注目していた。

それは巨大な頭部、人間数十人を一飲みで丸呑みする事が出来るくらい大きな口がゆっくりと開く。

しかし、それをさせまいとゴンザレス太郎が魔法を放つ!

数多の炎の刃がその顔面へ飛んでいくが巨大な顔に与える傷は極少々で、殆どダメージが通っていない事を表していた。

巨大な顔は今受けた攻撃に対して反撃を試みようと開いた口をゴンザレス太郎の方へ向ける。

そして、その口から放たれたのは前方へ真っ直ぐ伸びる光!

その光に巻き込まれたゴンザレス太郎は光の中から弾き飛ばされるように更に上へと吹き飛ばされていた。

空中で回転しながらもゴンザレス太郎は高所から見る事でその相手が一体何かを理解した。

 

そう、ピコハンが反応し、ゴンザレス太郎に対して怒りを持つ巨大な顔。

それは玄武の顔面であった。

3人の目の前に聳え立つ絶壁こそが玄武の甲羅、それはまさに巨大な亀、それが玄武であった。

玄武候補第4段階まで進んでいたピコハンだからこそその動きに気付いたのだ!

 

まるで空中で静止するように体勢を固定したゴンザレス太郎は空に向かって手を翳す!

口元に笑みを浮かべその手を振り下ろした!

それに合わせる様に空の彼方から巨大な隕石が降ってきた!

いや、それは石ではなく巨大な氷の塊である!

 

「メテオアイスインパクト!」

 

それがその魔法の名前なのだろうか、ゴンザレス太郎が叫び玄武に一直線に向かう氷の塊!

しかし、その氷は空中で玄武の甲羅から飛び出した様々な物により軌道を変えられ頭部から数十メートル離れた場所へ落下する。

もはや人間がどうこうできるレベルではない戦いがそこで繰り広げられる。

今度は玄武が口から炎を吐き出し、それを回避するゴンザレス太郎が電撃の魔法を使用し、電磁加速させた岩を玄武に叩き込む!

もはや災害と災害が戦っている様な状況の中、ピコハンは玄武にだけ集中していたゴンザレス太郎に不意打ちを仕掛ける!

空中に居たという事もあり、背後から飛び上がり浮いているゴンザレス太郎を玄武の方へ蹴り飛ばす!

 

「小僧!」

 

その直後、空中に居るピコハンの方へ飛び上がった酒呑童子が叫び足を出す!

ピコハンも空中で回転し、その足に自分の足を合わせて蹴り合い2人は同時に逆側へ離れる!

その時、玄武の口から大量の土砂が吹き出し空中のピコハンが先程居た場所へ降りかかる!

酒呑童子の助けによってその場から既に移動していた為に玄武の攻撃は空を切る!

その玄武の隙にゴンザレス太郎が一気に移動して玄武の下顎を蹴り上げた!

口から土砂を吐き出していた玄武はその攻撃で口を強制的に閉じられることなり、結果的にピコハン達が助けられた形となった。

強制的に閉じられた玄武の口は中から吐き出されていた土砂により破壊される!

 

まさに三つ巴の戦いが始まり戦闘は更に加速していくと思われたが、一つだけ違いがあった・・・

それは、玄武だけが傷を回復させる事が出来なかったのだ。

その証拠に、玄武はそれ以上何かを仕掛けて来る事も無く、頭部を巨大すぎる甲羅に引っ込め始めた!

それに気付いていち早く追撃を仕掛ける為に飛び出すゴンザレス太郎!

そして、玄武を標的としている時のゴンザレス太郎を追い掛けるピコハンと酒呑童子

誰もが最初に脱落するのは玄武だと確信していたのであった。

だが・・・

 

「吹き飛べ!」

 

玄武と向かい合うゴンザレス太郎が両手を広げてその場から空中に飛び口にした。

ピコハンと酒呑童子はゴンザレス太郎を背後から追いかけていたので気付くのが一瞬送れた。

再びそこでゴンザレス太郎は両手に生み出した魔法の塊を超速度でぶつけ合う!

それは玄武の甲羅の上でゴンザレス太郎が使用した核融合であった。

次の瞬間、その場はゴンザレス太郎が生み出した爆風と熱で飲み込まれ始める!

だがそれと同時に玄武も砕けた下顎を開いてそれを放っていた!

玄武の体内で蓄積されたその力はゴンザレス太郎の核融合の爆発をも飲み込み、その後ろに居た酒呑童子とピコハンすらも飲み込んだ。

地平線へ突き抜けて放たれたそれは玄武のありったけの力を振り絞った究極にして最後の咆哮であった・・・

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