異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第34話 真の玄武の元へ・・・

「小僧!?」

「うぁっ?!」

 

ピコハンが手を触れていた岩肌から染み出すように現れたアメーバーの様なそいつはピコハンの左手に張り付いた!

まるで皮膚を焼けた鉄で焼かれている様な痛みを感じてピコハンの手から血が滲み出す。

壁に擦りつけようとしても下手をすれば逆に広げてしまうかもしれないと感じたピコハンが取る行動は一つであった。

 

「くっ!!うぉぉ!!」

 

ピコハンは左手を全力で振りぬいた!

その勢いでアメーバーの様な物は手から皮膚と共に離れたのだ!

自らの手を切断する事も考えたピコハンであったが、切断する方法が思いつかない上に切断面から流れ出る血を追って他のアメーバーが追い掛けてきた場合を考慮したのだ。

だがその離れたアメーバーはピコハンがそこにいるのを分かっている様にフヨフヨと後をつけてきた。

 

「逃げるしか無いようだな!」

「やっぱり無茶苦茶だな小僧は・・・」

 

左腕を切断するしかないと話そうとしていたリトーもその行動でどうにかなった事実に驚きを隠せないでいた。

事実、そのアメーバーは玄武すらも食い殺されてしまう可能性がある恐るべき物なのだ。

ピコハンはアメーバーの居ない場所を移動しながら先へと進み続ける・・・

水中と言うことで上下関係なく動けたのが幸いした。

そして、遂にそこに辿り着いた。

 

「この膜の向こうが真の玄武の居る場所じゃ」

「いきなり親切に教えてくれるってどういう風の吹き回しだ?」

「はっ小僧の最後を見届けてやろうって思ってな」

 

そう言って笑うリトー、その表情はいつの間にか穏やかになっていた。

リトー自身、実に数万年・・・いや、数十万年振りに初代玄武に会えるのだ。

そう考えたリトーは昔の気持ちを思い出しつつあった。

元々は平和を願って玄武と共にこの世界を作りだしたリトー、いつの間にか玄武を生き長らえさせる為だけの生き方を永遠に続けていたのだ。

 

「それじゃ、入るぞ」

「おうっ!」

 

相変わらず髪の毛を捕まれたままであるがリトーは気にせずにピコハンの声に返事を返す。

そして、その膜を通り抜けたと同時にピコハンの全身に強烈な圧力が掛かった。

 

「ぐっ・・・なんだ・・・これは・・・」

「いかん・・・これは・・・玄武が暴走・・・しておるな・・・」

 

口を開けば口内にまで水圧の様な物が一気に襲い掛かってくるその感覚に言葉が上手く発せられない二人。

そして、それは先へ進むごとにどんどん強くなっていった。

全身を締め付けられるその感覚のせいで身動きが上手く取れないピコハンであるが、何とか少しずつ前へ前へと進んでいった。

そして、真っ暗なその空間が真下へ続いており、その奥底に1人の女性の姿が在った。

金色の長い髪が水中で踊るように流れ、白いシャツを1枚だけ着たその女性は上を見上げピコハンと目が合った。

いや、性格にはその女性の目は無かった。

目の中も口の中も真っ暗な闇が広がっていたのだ。

それを見たリトーは気付く・・・

 

(既に自我を失って居るのか?!)

 

そして、ピコハンに対して超圧力が一気に押し寄せてきてピコハンは上へと押し戻される!

全身にミシミシと水圧が押し潰す様に掛かり、どう考えもそれ以上先へ進めないと感じる。

 

「これなら・・・どうだ!」

 

ピコハンは直接攻撃は難しいと理解し、自身が押し付けられた時に割れた岩を両手で掴んで玄武の方へ投げた!

水中の為にそれほど速度は出ないが真下へ投げられたその岩は真っ直ぐ玄武の方へ向かっていく・・・

だが、その岩は玄武に届く前に水圧で押し潰され、ピコハンが両腕で抱える程の大きさだったそれは既に拳大くらいのサイズにまで圧縮されて消滅した。

 

「これは・・・無理じゃ・・・どんな攻撃を・・・仕掛けようにも・・・玄武まで届く前に・・・潰れてしまうわい・・・」

「しかし、なんとかしないと・・・?!」

 

徐々に、本当に徐々にだがピコハンはこの水圧に慣れ始めていた。

本人もそれに気付いたのか会話が止まる事無く普通に出来つつあったのだ。

それこそがピコハンが完全な玄武に近付いた証拠でもあった。

この水の中こそが玄武の本来の生息地に近い環境でもあり、そこに居るピコハンは完全なる玄武に人のまま近付いていたのだ。

 

「小僧・・・お前・・・本当に・・・」

「リトー、これなら何とかなるかも知れない!」

 

そう言いピコハンは少しずつ水圧に体を慣らしながらゆっくりと奥へと沈んでいく。

全身を押しつぶそうとする水圧に体中の骨と筋肉が悲鳴を上げるが、それでもピコハンは止まらない・・・

ゆっくりゆっくりと沈んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

「限界・・・次頼む・・・」

 

ゴーレムごとゴンザレス太郎を封印していたダマの力が限界を迎えた。

その姿が消えると共にマリスが飛び出しゴンザレス太郎の体を同じように拘束しようとした時であった!

 

「ほげぇ?!」

 

マリスの顔面をゴーレムの破片が直撃したのだ!

ゴンザレス太郎はダマの封印が解けると同時に自身を拘束していたゴーレムを破壊し、その破片を投げつけていたのだ!

そして、その一瞬でゴンザレス太郎は飛び出してピコハンの後を追いかけて行った!

 

「あっ・・・なんで私だけ・・・」

 

フーカの予定していた10分を待たずゴンザレス太郎の封印は解かれてしまい、5人の女神は玄武の中では存在できない・・・

つまりこの先ゴンザレス太郎を追いかける事は彼女には不可能なのだ。

上ではゴンザレス太郎に唯一核融合を喰らい、ここではゴーレムの破片をぶつけられたマリスは落ち込む。

 

「あれ?こいつまだ・・・」

 

ゴンザレス太郎が抜け出した事で順番を待っていた最後の女神サラがそこに具現化していた。

マリスの失敗を仕方ないと考える彼女は何か出来ることは無いかと思い、少しだけ具現化できる時間を使って現れていたのだ。

そして、彼女の前には・・・

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