異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第35話 真の玄武vsピコハン

(これ以上は厳しいか・・・)

 

底に見える玄武まで約10メートル、既に全身が水圧で内出血しているピコハンはそれ以上進むと自身の体がもたないのを理解していた。

 

(女神フーカから告げられた10分は半分を過ぎたぐらいだろう、まだ少し時間はあるがこれ以上ゆっくりもしていられない・・・)

 

ピコハンの体内時計は感覚ではあるがあながち間違ってもいなかった。

ルージュを発見した時に時間を忘れて眺めてしまったが、それでもそれ程長く見詰めていた訳ではないので大体の予想である。

 

(しかし、ここからどうする?これ以上進めば間違い無く俺の体は潰される、全身に力を全力で入れて今の位置がどう考えても限界だ・・・)

 

岩を投げて攻撃しようにも玄武に到達する前に岩は水圧で押し潰されて消滅してしまう。

ここまで来て玄武に攻撃を当てる方法が無いという事実に悩むピコハン・・・

そのピコハンの手が引っ張られた。

そう、ピコハンの右手にはリトーの髪が握られておりリトーの生首がぶら下がっているのだ。

幸いこの水圧でリトーは口を開くことすら出来ず目を瞑って水圧に耐えているのだ。

そのリトーを見てピコハンは気付いた。

 

(これしか・・・ないな・・・)

 

リトーはピコハンの決断を目を瞑っていた事もあって気付かない・・・

それをいい事にピコハンはリトーの生首をその場で回し始めた!

 

(狙うは一直線!これなら・・・どうだ!)

 

リトーはその振り回されている感覚に気付いても既にどうしようもない状況であった。

そして、ピコハンはその生首を玄武目掛けて投げた!

投げた後のピコハンはそのまま上へと距離取る。

水圧から少しでも逃げる為である。

その間もリトーは玄武に向かって進んでいく・・・

そのリトーの顔面は水圧で押し潰される、だがそれと同時に不老不死の力が発揮されその顔面は直ぐに修復される・・・

ピコハンの狙い通りであった!

そのまま一直線にリトーの生首は玄武の体に向かっていき当たった!

 

「キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!!!!」

 

その瞬間玄武が奇声を発しその場の水圧が一気に解除された!

玄武自身もその空間に出していた水圧をモロに受ければ自分の体が危険だからである。

リトーが胸にぶつかり少しではあるが玄武の体はその場からずれたのであった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・圧力は無くなったけど・・・どうする・・・」

 

真っ直ぐにピコハンを睨みつける玄武の顔は恐怖そのものであった。

目も口も真っ暗な闇に包まれたその顔を見てピコハンは背筋に冷たいものを感じた。

 

「だが、動けるならこっちのものだ!」

 

直ぐに玄武と戦う決意を決めたピコハンはこっちを見たまま動き出した玄武の動きを観察する。

外見は20歳くらいの金髪美女、だがその顔は相変わらずの闇が目と口に広がっている。

既に全身ボロボロになっているピコハンではあるが、後少しだけ持ってくれと自分の体に語りかけていた。

そして、次の瞬間玄武が動いた!

 

まるで弾丸の様に自身の体を回転させながらピコハン目掛けて浮上してきたのだ!

咄嗟にピコハンは壁を蹴って横へ回避する!

そのまま上へと進んだ玄武は体を広げてブレーキをかけて再び回転を加えながらピコハン目掛けて突っ込んでくる!

その速度は先程よりも更に早く、ピコハンは避けきれないと判断し玄武の突撃をその身で受け止めた!

 

「な・・・なんて力だ・・・」

 

胸でボールを受け止めるように両手と腹で受け止めたピコハンであったがその力が凄まじくそのまま岩肌に押し付けられる。

両手の掌の皮が引き裂かれ、周囲に血が広がり、辺りは真っ赤に染まっていく・・・

それでもピコハンは諦めずに玄武の体を止めようと押さえ続けた!

やがて、徐々にその回転がゆっくりになっていき玄武の肩を・・・掴んだ!

 

「これで・・・終わりだぁあああ!!!!!」

 

ズゴンッ!!

 

振り下ろされるピコハンの頭部!

それは真っ直ぐに玄武の額に叩き付けられた!

勿論、ピコハンの額からも鮮血が水中に流れる!

だがそれでもピコハンは諦めずにもう一度頭を振り被った!

玄武の顔が恐れを抱いたのか闇のまま変形し逃げようとした。

だが両肩を掴んでいるピコハンの両手は離れない!

 

ドゴンッ!!

 

再度叩き付けられた頭部!

同じ箇所で受けるのを嫌がったのか玄武はそれをモロに顔面で喰らう!

 

「キアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

両肩を掴むその手を離させようとピコハンの体を玄武の金髪の髪が叫びと共に広がって貫いた!

まさに串刺しである!

だがそれでもピコハンは止まらなかった。

 

ゴキャッッ!!!

 

内臓も串刺しにされて生命維持の危機状態に陥っているにも関わらず、3度目の頭突きが玄武の顔面に叩き込まれ鈍い音が周囲に響く!

その瞬間、その場が満たされている液体に波紋が広がった。

玄武の闇の目と口がゆっくりと閉じられ、突き刺さっていた金髪の髪が柔らかくなり。ピコハンの体から抜ける。

玄武の両腕はダラリと垂れ下がり、ぼやける目でピコハンはそれを見た・・・

底に沈んでいたリトーの頭部が一気にやせ細り、老人の顔であったそれは骨が浮き出し皮膚が溶けそのままボロッと崩れる・・・

玄武の力でもあった不老不死の呪いが解けたのだ。

 

「や・・・やったぜ・・・」

 

玄武を倒した。

肩を握る手を離しても玄武はそのまま漂うように浮かび続ける・・・

それと共に周囲の壁が崩壊を初め玄武の世界の終わりが訪れる・・・

 

「る・・・ルージュ・・・」

 

ピコハンは体をゆっくりと動かしてルージュの体の所を目指して泳ごうと思った時であった。

ピコハンの左腕が根元から切断され跳ね上がる・・・

吹き出る血が周囲に一気に漂い始める。

 

「お前だけは・・・殺す!」

 

ピコハンがその言葉を聞いて振り返る、そこに居たのは不老不死の呪いの元である玄武が死んだ事でリトーと同じように体が溶け始めているゴンザレス太郎であった。

既に体の動かないピコハンはそのまま時間稼ぎに底を目指して逃げようとするのだが・・・

 

「逃がすと思うか?」

 

恐ろしく素早い手刀でピコハンの左足が膝から左腕と同じように切断された。

既にボロボロの体であったのにも関わらず、全身を串刺しにされ瀕死であったピコハンは既に痛みを感じていなかった。

体から血がどんどん流れ出ていく・・・

出血のせいもあり朦朧とする意識の中、ピコハンは目を疑った。

そこに死んだはずの酒呑童子がゴンザレス太郎に襲い掛かり背後から抱き付いていたのだ!

ゆっくりと沈んでいくピコハンはそれを最後に見ることしか出来ず、その意識は永遠の闇の底へと体と共に沈んでいくのであった・・・

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