異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第37話 ピコハン頑張る!

人類の争いにより滅びた世界があった。

地は枯れ、海は消え、生命が存続できない世界となったそこに滅びを免れる可能性が居た。

名を神獣『玄武』と言う。

生き残った生命をその身の中へ迎え入れ、そのまま玄武は最果ての地にて永遠の眠りについた。

幾千・・・幾万・・・幾十万もの年月を超え、玄武の中で世界は育ち玄武は一つの山となっていた。

そして、その山が消滅する時がやってきた!

 

何かを作るのに費やす年月がどれ程長かったとしても、消滅するのに必要な時間はほんの僅かである。

まるで蒸気が空気に溶け込むように消えていくその山の中、この世界に残った全ての命が尽きようとしていた・・・

ただ一つの存在を除いて・・・

 

玄武の中の最も深いその場所に眠り続けていた真の玄武。

それが消滅したその瞬間、玄武という世界はその全てが終わる。

その心臓ともいえるその場所に沈んだ1人の人間・・・

左腕と左足を失い、その体は外も中もボロボロとなっていた。

呼吸も既に停止して死が訪れた時にそれは発動した。

 

そう、玄武候補第4段階まで進んだ者はその身を次の玄武に変えて真の玄武を守るだけの存在となる。

横たわったピコハンの体は光に包まれ、滅びる世界の最後の仕事である玄武化が始まる。

その者を玄武候補として進化させた者の全てを使って肉体を変化させるのである。

だが、真の玄武が死んだと共に保存されていたダンジョンに喰われた者達も死んでいた。

その為、不具合が発生したのである。

 

肉体を変化させ永遠に真の玄武を守護する存在にして生き返らせるはずが、変化をさせずに生き返らせたのだ。

しかし、その肉体は既に死を待つだけの肉体・・・

そのままでは直ぐに死が訪れるのは確実であった。

ゆっくりと目を開いたピコハンは自身が玄武となった際に知るべき知識が頭に流れ込んでくるのを理解していた。

そして、ピコハンは残った右手を地に置いて目を閉じる。

 

真の玄武は既に居ない、ピコハンが討ったのだ。

そしてそれは一つの奇跡を起こしていた。

ピコハン・・・彼はダンジョン内で魔物を倒すとその存在力を吸収して強くなれる存在であった。

存在力、それはその者がその者であると言う力。

即ち、知識を得たピコハンは真の玄武を討った事でその力をその身に宿していたのだ。

 

『聞こえますか?ピコハン君?』

「あぁ・・・その声はフーカ様・・・」

 

脳内に届いたその声に返事をするピコハン。

玄武として知識を得た彼は5人の女神がこの世界を作り管理している存在と言うのを既に理解していた。

そして、自身に施された加護とは自分と女神達の力を繋げるものだとこの念話とも言える現象で悟った。

 

「分かってます。今すぐにやりますからここへ・・・」

 

そう言ってピコハンは地に力を注ぎ込む。

すると周囲の壁が変色し直ぐに効果が現れた。

 

『やったみたいですね』

「えぇ・・・」

 

突如目の前に現れたフーカの姿に驚くことも無くピコハンは頷く。

フーカがこの場に居る、それは玄武の中の世界に神が干渉できるように変化させたと言うことである。

だがこれは自身の命を削る力でも在った。

本来なら長い年月を掛けて玄武の中の世界で死んだ者の魂の力を使い、徐々に変化させるものだがピコハンは僅か数秒でそれを成したのだ。

そして、自分は何をすればいいのか問いかける。

 

『時間がありませんので手短に伝えます。ここへ、出来るだけ近くへこの世界で死んだ者を出来るだけ沢山集めて下さい』

「分かりました・・・」

 

再度ピコハンは力を使い玄武の中で死んだ者を集めだした。

崩壊した町の中で死んでいる者、旅の途中で倒れこんで死んでいる者・・・様々な人間だけでなく世界に住まう動物も沢山集めだしたのだ。

死体そのものを大地に吸収させ運ぶ、そんな荒業にも勿論ピコハンは体内に在る存在力を使って次々と自分の居る近くへ移し出していた。

その力を使えば使うほど自分の中に宿っていた力は消え去っていく・・・

力が無くなれば後は死を待つだけの体なのだが、ピコハンは迷う事無くフーカの言われるがままに行動した。

そして、ピコハンが現在居る場所まで体内を通過して次々とやってくる遺体達。

その中にはユティカやアイ・・・そして勿論ルージュの姿も在った。

 

「くっ・・・」

『頑張って下さい、もうこの世界の命運はピコハン君・・・君に掛かっているのです』

「は・・・い・・・・・・」

 

今にも消え去りそうな意識を必死に残し、ピコハンは力を使い続ける・・・

もしも五体満足の体であっても既に立ち上がる事すら不可能なくらい死が直ぐ間近まで迫っていた。

それでもフーカを信じてピコハンは最後の最後まで頑張り続けた・・・

そんなピコハンをフーカは何も言わずに見詰める・・・

そして・・・

 

『時間です。それでは最後の仕上げを行ないます』

「・・・分かりました」

 

ピコハンは地面に置いていた手を離し目を閉じる・・・

既に体内の存在の力は全て使い果たし、真の玄武の力すらも使い切ったピコハンはそのまま力を抜いた。

 

『では・・・』

 

フーカのその言葉と共に何かが振り下ろされピコハンの首は胴体から切り離された。

最後に見たのが自分の肉体と言う事に苦笑いを浮かべながらピコハンに再び死が訪れるのであった。

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