異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第10話 雑貨屋を買占めたった

「あぁん?!なんだお前は?!」

「こっちは取り込み中なんだよ?!」

 

強面の二人が七志を睨みつけるが、七志は特に気にした様子も見せず二人を無視して店内を見ていく・・・

置かれている物は薬草らしき物から簡単な短剣や、小さな盾や旅人の服と言った感じの衣類まで幅広く置かれていた。

 

「おいこら聞いてるのか?」

「そっちこそ、お店から借金の集金に来たんでしょ?商売の邪魔しちゃ意味無いんじゃないですか?」

 

正論である。

だが多分この二人の目的は借金の返済に託けた店の乗っ取りだろう、それを理解している七志は知らん振りして店内を見て周りながら嵐と相談する。

 

「なぁ、嵐。どれくらいまでなら今金使っても大丈夫?」

『ん?なんか思い付いたのか?面白い事やれるんなら俺の貯金300万貸してやるよ』

「ちぇっ貸しかよ。まぁ良いや、300万って事は白金貨3枚、金貨300枚までだな」

 

既にこれも嵐が調査済みであった。

この世界換算で1円が銅貨1枚、100円が銀貨1枚、10,000円が金貨1枚、1,000,000円で白金貨1枚であった。

 

「御婆さん買い物しても大丈夫?」

「あ・・・あぁ、あんた悪い事言わないからはよお逃げ」

 

こんな状況でありながら七志の事を心配してくれる御婆さんに七志は優しく微笑んで伝えた。

 

「すみません、この店に今在る商品の在庫、全部売って下さい」

「・・・はっ?」

 

御婆さんの意味が分からないと言った顔が面白かった。のでもう一度伝える。

 

「あっ買占めだとお店の経営が困りますよね、売れる分だけ全部で良いですよ」

「ま・・・」

「ま?」

「毎度ありー!!!!」

 

唖然とする強面の男二人。

それはそうだろう、この御婆さんの完全に逆転した態度を見れば、それだけあれば借金を返済しても十分にお釣りが来るのが容易に想像できる。

そして、細かい計算が難しいと言う事で1アイテムずつまとめて金貨1枚単位でまとめ購入を行い…結果、店の商品全て購入して金貨31枚と銀貨50枚と銅貨17枚。

実に31万5017円でお店の商品全て購入する事が出来た。

 

「それじゃこれ代金です。」

 

そう言って七志から御婆さんにお釣りの無い様にちょっきりの金額が手渡しで渡される。

 

「しゅ・・・収納魔法?!」

 

御婆さんの発言に強面の二人もギョッとした表情を浮かべて距離を取る。

七志はまだ知らなかったが、収納魔法はかなり高度な魔法でかなりの魔力を必要とするのだ。

それを知るのはもう少し後になるのだが、強面の二人は勿論知っていて七志がとんでもない魔道士だと勘違いしていたのだ。

 

「それじゃ商品貰っていきますね」

 

そう言って七志は次々と店の商品を収納していく・・・

勿論これは収納魔法ではなく嵐のパソコン内のフォルダに入っていくのである。

結果、10分もしない間に店の中は完全に空になった。

 

「はい、あんたらこれが借金の返済と利子じゃ!受け取ったらもう来ないでくれよ」

 

そう言って嬉しそうに御婆さんは二人に金を渡して借用書を回収し、その場で魔法で燃やした。

その金額、実に金貨10枚と銀貨15枚であった。

その場を逃げ出すように駆けて行く二人は放置して、御婆さんは七志の手を掴んで頭を下げる。

 

「本当に・・・本当にありがとうございますだ・・・」

 

涙ながらに話す御婆さんに七志は告げる。

 

「それはそうと、御婆さんお店が殺風景ですね。この店買取は行なってますか?」

「えっ?えぇ・・・それはまぁ・・・」

 

まさか七志も何か悪巧みを考えているのではないか?と考えた御婆さんは警戒したのだが・・・

 

「いや~なんか武器とかが大量に余っちゃって買い取りお願い出来ませんか?今ならまとめて買ってもらえたらお徳ですよ」

「はっ?」

 

その後、七志はお店から買った金額の僅か1割の額で今後使いそうな物以外の物を全て売却した。

もう御婆さんは両手を合わせて七志の事を拝みだす始末なのだが、最後に七志から一言・・・

 

「御婆さん、また面白い物入ったら是非買わせて下さいね」

 

この言葉で完全に御婆さんは七志の事を聖人か何かと勘違いをしていた。

そして、店を出た七志が去ってから御婆さんは気付く・・・

七志が一度収納して外に取り出した商品が新品同様の状態に戻っている事を・・・

 

そして、その日。

嵐がユーデューブにアップした動画・・・

『異世界で雑貨屋の商品全部購入してみたら幾らになるか検証してみた』

と言う動画が一晩で100万再生される事になるなんて、夢にも思わない嵐と七志であった。

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