異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第29話 森に現われたゴブリンの集落・・・

七志がアントンとレベル上げを行った森の奥に魔物の集落が誕生していた。

人形の魔物『ゴブリン』の集落である。

元々ゴブリンは頭がそこまで良くなく群れる事はあまりないのだが、そこに纏め役が居れば話は別であった。

 

「ぐぎゃぐぎゃ」

「ブギ…」

 

ゴブリンは他種族の雌を捉えて繁殖をする。

そこの親玉のゴブリンの指示で人間の女が数名並べられた。

親玉はそれを見るが直ぐに興味を無くし、手で追い返す。

そこからはゴブリン達による宴である。

 

「ゲギャーギャ!」

「ギャビィーギャビィー!」

 

捕らえられているのは冒険者と呼ばれるギルドから依頼を受けて魔物を倒したりするクエストを生業としている者達である。

森へ狩りに出掛けゴブリンの集団に襲われ捕らえられたのだ。

冒険者として生きている以上彼女達は基礎を学んでおり、決してどんな酷い目にあっても我慢する。

泣き叫んだり抵抗すれば手足を折られたりして助けが来ても逃げられなくされる。

唇を噛み締め彼女達は耐えるのだ。

 

(くそっ…だがこれだけ大々的に冒険者が居なくなれば上に連絡が行き討伐隊が組まれる筈!皆耐えて!)

 

既に一緒に捕らえられた数名がゴブリンに犯されるのを拒み、瀕死か死亡と言う目にあっていた。

勿論男冒険者は皆殺しである。

ほとんど裸同然の格好の冒険者が押し倒され襲われるのを今日も耐える…

次は自分の番だから覚悟しているのだ。

 

(頼む…早く…)

 

 

 

 

 

 

 

「おっナナシ早いじゃないか」

「そういうアントンも午前中から?」

 

魔育園に到着した七志、先に来てルルさんの孫であるルリと魔法について教え合っているアントンに出くわした。

 

「あら?ナナシ君おはよう」

「おはようルリさん」

 

茶髪ボブカットのルリは相変わらず幼さの残る明るい笑みを七志に向ける。

年齢関係なく綺麗な笑顔を見せられる女性はそれだけで魅力が3割り増しになる。

 

「そうだ!ナナシ君はオールマイティって聞いたから次はヒール覚えてみない?」

「ルルさんから聞いたの?でも魔力がまだ6しかなくて・・・」

「ファイアだけ覚えたんだよね?ファイアが魔力4必要だからヒールの3を考えると後2ね・・・」

 

ここで魔法の常識について説明しよう。

魔力分だけその魔法に必要な魔力を超えていれば覚える事が出来るが、必要量を引き算して1は残るようにしないと駄目なのである。

引き算して0になると生命維持に必要な魔力も魔法覚えるのに使ってしまい、この世界の住人は死んでしまう。

そうならない為のルールである。

 

「残り2か・・・やっぱりレベルアップしかないかぁ~」

「それなら午後からの講義までまだ時間在るし、また行くかい?」

 

アントンが自ら志願してくれる、本当仲間想いの男前である。

 

「ん~それじゃあこのヒールの魔道書持って行って直ぐに覚えたほうが良いよね?」

「ルナも来るの?」

「うん、丁度気分転換もしたかったから」

 

こうして七志とアントンとルナの3人は森にレベリングに出かける事となった。

3人は知らない、現在討伐隊が組まれ森への出入りに制限が掛けられようとしているなどと想像もしていなかった。

そして・・・

 

「ああああああああああああああああ!!!」

 

七志の部屋の隣に部屋を取ったアデルが丁度その頃ベットから飛び起きていた。

全身に大量の汗をかき、震える体を抱き締めながら呼吸を整えつつ辺りを見回す・・・

 

「はぁ・・・はぁ・・・そうか私・・・助かったんだ・・・」

 

徐々に目覚めと共に戻る記憶により数日間の地獄の様な日々から開放された安堵感に包まれるが、心の底に残る恐怖だけは中々消える事はない・・・

 

「ナナシ・・・今すぐ会いたい・・・けどこんな汗だくじゃ・・・」

 

既に部屋に七志は居ないなんて知りもしないアデル、それからシャワーを浴びてバッチリ化粧をして昼前まで部屋から出て行かなかった。

急いで会いたいけど綺麗な自分で会いたいと言う乙女心に苦しめられる恋する女であった。

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