異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第30話 レベル上げとヒールの魔道書

毎日七志の映像を編集し動画として公開している嵐であったが、あのコメントが頭に引っ掛かっていた。

アデルの衣類が何故消えたのかと言うあのコメントである。

あの動画はアデルがモザイクだらけでコメント欄が荒れに荒れて色々とアレだったのだが、原因を調べなければ気がすまない嵐は七志の今日の映像を見ながら考える・・・

 

『ん?なんか様子が・・・』

 

第3者視線であるからこそ気付いた町の様子の変化に嵐は気が付いていた。

だが七志の傍にはアントンとルナが居る。

流石に七志を独り言を話す危ない人にはしたくないので余程の事が無ければ嵐は話しかけるのは遠慮していた。

まさか七志達が向かっている森が危険なので閉鎖されようとしているなんて思いもせずに・・・

 

 

 

 

「黒の魔法 火の力よ我が手より全てを燃やす火の奇跡を!ファイアーアロー!」

 

アントンが放つ火の矢の魔法がトントンと言う一見豚の様な魔物を射抜く!

瀕死になったトントンに七志は短剣を持って襲い掛かり止めを刺す。

 

「あれ?ファイア使えるんじゃなかったの?」

 

ルナが不思議そうに質問してくる。

武器を持って戦うにしても通常は魔力を纏わせて戦うのが基本であるのだが、もちろんそれにもMPを消費する。

現在の七志のMPは今のでレベルが上がったが、それでもMAXで4しかないのだ。

 

「MPが3しかなくてね・・・」

「あら・・・」

 

魔力が低いという事は知っていたルナだったが、まさかMPまで少ないとは思わなかったのだろう。

一応ルルが特別に無料で魔育園に入れたという事からルナは七誌には何かがあると予想していた。

それが魔力は低いがMPが非常に多く、オールマイティと言うのも合わさって魔法の連打が出来るのだと勝手に予想していたのだがそれすらも外れていたのだ。

 

「とりあえず魔力があと2上がるにはレベルを後2上げれば良さそうね」

 

ルナが七志の額にステータスプレートを当てて表示された数値からこの先の予定を推測する。

しかし、ここまで何も出来ない七志をどう育てるべきかルナも悩んでいた。

幾ら魔法が自由に覚えられても魔力もMPも少なくては役に立たないからだ。

 

「とりあえずこいつは回収するね」

 

七志はアントンに収納がバレている、なので気にせずに目の前でトントンを収納する。

収納されたトントンはすぐさま嵐のパソコン内で素材別に綺麗に分別され、次に出す時にはプロ顔負けの綺麗な状態で出てくるのだ。

 

「はぁ~一体あんたどうなっているのかしらね」

 

ルナが七志の収納を見ながら溜め息を吐きつつ突込みを入れる。

アントンはその間に周囲を警戒し次の獲物を探している。

アントンは3人で会話すると誰か一人を抜きで話してしまう事が多いのを知っている、なのでルナと七志の会話には極力混ざらない様にしているのだ。

少年なのに気遣いまで出来る頼れる兄貴であるアントンにルナは視線を向ける。

その瞳は潤んでおり、ルナはアントンに気が在るのがなんとなく七志も理解した。

 

「アントン、本当色々と苦労掛けてごめんな」

「あぁ気にするな、同じ魔育園の仲間じゃないか」

 

そう返答を返しつつアントンは草に体を隠しながら気配を探る・・・

そして、周囲の様子のおかしさに違和感を感じていた。

明らかに獲物の数が少なく、ところどころでゴブリンを見かけるのだ。

ゴブリンは人間と似た様な体をしており、1人が相手なら問題は無いのだが集団で囲まれると危険だとアントンは理解している。

それはそうだろう、3人はまともに戦闘が出来るパーティではないからだ。

アントンは黒色魔法の火の魔法を使って攻撃が出来るが、ルナは白色魔法で相手を拘束したり弱体化させるのが精一杯、七志に至ってはまともに戦いに参加する事すらも現状では難しいのだ。

 

「1匹だけか・・・」

 

アントンは草に身を隠しながら数メートル先のゴブリンの様子を伺う。

ゴブリンは固体毎に知能や強さが違い、そのうえ経験値が違うので出来れば事故を避けるためにアントンは戦闘を避けていた。

だが明らかにゴブリンの数が多いのを実感していた。

このままでは森を抜けて街に迫るゴブリンも居るかもしれない、そう考え目の前の孤立したゴブリンを倒す事を決めた。

 

「黒の魔法 火の力よ我が手より全てを燃やす火の奇跡を!ファイアーボール!」

 

アントンの手から火の玉が飛び出しゴブリンの後頭部に直撃する!

頭部をいきなり後ろから焼かれ奇声を発しようとするゴブリンだったが声が出ない!

 

「白の魔法、沈黙の力よ我が前に居る魔物に沈黙の奇跡を!サイレント!」

 

ルナの魔法がゴブリンに発動し声が出せなくなるゴブリン、頭部を火で焼かれているのだからその苦しさは想像を絶するだろう。

呼吸も間々ならず息を吸えば炎が肺に入ってくる。

知能が低いながらもそれを理解したゴブリンは頭部を叩いて火を消そうと抵抗をする。

 

「やらせないさ!」

 

七志は一気にゴブリンの元へ駆けて行き、手にしていた短剣をゴブリンの腹部に突き立てる!

その結果、七志のレベルは一気に2上がり魔力が8となった。

 

「やっぱりゴブリンは経験値高いのよね・・・」

「美味しい相手だけどやっぱり人型ってのは攻撃し難いよね・・・」

 

ルナは七志の額にステータスプレートを押し付けながらアントンと会話をする。

そして、魔力が8に到達している事を確認し笑顔を見せる。

 

「アントン、暫く周囲の警戒をお願いね」

「分かった。」

 

そうルナはアントンに伝え、持ち出してきた魔道書を手にする。

本の表紙を見れば何の魔法か一目瞭然である、白色魔法の基礎である回復魔法の『ヒールの本』であった。

 

「それじゃナナシ君、これインストールしてみて」

 

そう言ってルナから受け取ったヒールの魔道書をインストールするのであった。

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