異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第34話 合流と愛の暴走

『滑空斬!』

 

グレースの剣から飛んだ斬撃が目の前のゴブリンの首を跳ねる!

その首から血の斬撃が更に方向を変えて飛び、それが他のゴブリンを切り裂く!

 

『分裂射ち!』

 

アデルが弓で山なりに放った矢に次の矢を当てる!

空中で砕けた細かな複数の矢はゴブリン達に降り注いで刺さり、致命傷にはならないがその動きを阻害する。

 

「貰った!」

 

アデルが怯ませたゴブリンにグレースが飛び込み、素早く一撃でゴブリン達を切り裂いていく!

まさに二人は一心同体の連携を見せ付け、ゴブリン達を次々と葬っていった。

 

「ギャギャー!」

 

一匹のゴブリンが二人の猛激を見て叫び声を上げる。

それと共に一斉にゴブリン達はその場から走り去ろうとする。

だがアデルはその叫んだゴブリンの眉間に矢を打ち込み即死させる。

そいつが他のゴブリンを率いていると判断し無力化したのだ。

 

「す…すげぇ…」

 

アントンが言葉を漏らすのも仕方無いだろう、ゴブリン達に囲まれて危機一髪の状況だったにも関わらず、目の前の二人の美女が僅か数分の間にそいつらを倒したのだ。

そして、その二人はアントンと七志に近付いてきてグレースが口を開く…

 

「君達大丈ぶ…」

 

だがその言葉は最後まで聞けなかった。

グレースが話している最中にアデルが飛び出したのだ!

七志に飛び付くように動いたアデルを見て、流れるようにグレースは剣を構えて周囲の気配を探る!

相棒のアデルが身を呈して大切な人を庇ったその動きに、遠距離からさっきのゴブリンが投擲の様な攻撃を仕掛けてきたと考えたのだ!

そのグレースの動きを見てアントンも狙われている可能性を周囲に警戒する!

だが…

 

「あぁーん、怖かったよーダーリンー!」クンカクンカ

「あ、あの、アデルさん?」

「大丈夫、少しだけダーリンの温もりを感じられれば落ち着くと思うから…」スリスリギュー

「え、えっと…」

「んはー、もっとダーリンの愛が欲しいよー滅茶苦茶にしてー!」モゾモゾベタベタ

 

地面に膝をつき七志に抱き付いて、全身を擦り付けながら匂いを嗅ぎつつ、全力で抱擁を堪能するアデルにアントン…ドン引きであった。

 

「落ち着け!」

「んべっ?!」

 

そんなアデルの頭部にチョップを入れて止めさせるグレース、だがその表情は引きつっていた。

互いを理解し合い見事な連携を可能とした相棒の豹変ぶりに驚きが隠せない反面、アデルをよく知るだけに七志にそこまでの魅力が有るのかと興味を持ち始めていた。

 

「グレース、痛いじゃないの!」

「とりあえず、近くにまだゴブリン居るかもしれないから落ち着きなさい」

「むぅ…でも、ナナシニウム補充できたから満足」

 

そう言って体を離すアデルであったが七志の左手を握ったまま立ち上がったアデルを見て、頭痛のしてくるグレースであった。

 

「なんだよナナシニウムって…」

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