異世界ツクール   作:昆布 海胆

364 / 435
第35話 シャーマンゴブリン!

「アデル、これヤバイかも・・・」

「そのようね・・・」

 

七志とアントンを無事に救い出し、合流を果たしたアデルとグレースであるが、森から抜けようと歩を進めて直ぐに二人は何かに気付く。

その二人の視線を追うとそこには・・・何も無かった。

七志とアントンは見ていないので知らないのだが、その場所には多数のゴブリンの死体が在った筈なのだ。

にも関わらずそこには何も無い。

それが示す事は・・・

 

「間違い無くシャーマンゴブリンね」

「シャーマンゴブリン?!」

 

アントンはその単語に反応を示す。

魔物には通常種の上に君臨する上位種と言う者が居る。

同じ種族の中で特殊能力を得たりして進化を果たした魔物の事を言い、語頭に「シャーマン」の名が付く魔物は魔術に特化した進化を果たした種類の魔物を刺すのである。

この世界の魔物は全て魔法が使えるが、その中でも魔術は魔法と違い特殊な術式を用いて使用するものである。

魔法陣を使い発動する魔法と言えば分かるだろうか?

 

「そして、さっきのゴブリン達は擬似生命の生贄ね」

「それってまさか・・・魔王級を生み出そうと?」

 

アントンがグレースに言葉を掛けると同時に背後の草むらがガサゴソと揺れる。

振り向く事無く七志から手を離し弓を構えて矢を射るアデル!

彼女が放った矢は音がした草むらではなく正反対の正面側であった。

 

「ギャギィーーー!!!!」

 

そこの木の前に立っていたゴブリンの喉元に矢は突き刺さりゴブリンを絶命させる。

保護色の様に皮膚の色が木の色に近く、一見判別がつきにくい姿になっていたゴブリンに先手を取り倒したのだ。

 

「ちっ本当に厄介な状況だね」

「あぁ、魔王級に進化させない為にもここでシャーマンゴブリンを倒しておかないとね」

 

アデルとグレースは七志とアントンを森の外へ送り届けたら直ぐに森に戻りシャーマンゴブリンを倒す事を決める。

七志以外は既に現在の状況を理解していた。

今、彼らを襲っているゴブリン達はシャーマンゴブリンが生み出した疑似生命体のゴブリンである。

こいつらはいくら殺しても経験値は入るがその死体は魔力に帰り消える、そしてその死んだ命がこの森の魔素を高め新たに生まれるゴブリンを強化する、それが一定の力を超えた時別種として誕生するのが魔王級ゴブリン・・・『ヘル・ゴブリン』である。

 

人間並みの知恵を持ちゴブリンを統率し、種を反映させようとするその脅威は凄まじく、下手をすれば街1つが1匹のヘル・ゴブリンが誕生したせいで壊滅したケースもあるのだ。

 

「走るよ!」

「七志手を!」

 

アデルに言われ七志は手を差し出し、その手を取ってアデルは七志を森の外まで連れて行く・・・

そして、森を抜けた時に既に惨事は始まっていた。

町の入り口となっている門の所に大量のゴブリンが押し寄せていたのだ!

その数50は超えていた!

しかも森の中から更に追加でゴブリンがその数を増す!

 

「いかせないよ!」

 

アデルは七志から手を離して森から町へ向けて走るゴブリン達を次々矢で射抜き、グレースは剣を手に門の方へ押し寄せるゴブリンに背後から切りかかる!

現状ではどうしようも無いのだが、グレースは苦い表情を見せる。

それはそうである、このゴブリン達を殺せば殺すだけ魔素は高まり生まれてくるゴブリンは強化される、なので本来ならば殺すのではなく捕縛するなどして生かしたまま無力化するのが正解なのだ。

だが村の門の方では数名の門番と冒険者が巨大な盾を構えてゴブリンの侵入を力づくで抑えていた。

多勢に無勢、盾の隙間から槍の様な武器でゴブリンに攻撃を繰り返しその数を減らそうとするがそれが更にゴブリン達を強化しているなんて思いもしない。

 

「なぁ・・・アントン・・・」

「なんだよ!」

「あのゴブリン・・・なんかおかしくないか?」

「んっ?!」

 

七志の指差す方向を見たアントンは特に何を言っているのか分からなかったが、それを聞いて視線をやったアデルには直ぐに分かった。

そして、その離れた場所に1匹だけ居るゴブリン目掛けて矢を放つ!

 

「ギャギィー!!!」

 

だがその矢はゴブリンが手にしていた棍棒の様なモノで叩き落される。

それを見てアデルは理解した。

 

「アイツがシャーマンゴブリンだ!」

 

通常のゴブリンよりも強く、知恵もあるのでアデルの矢を叩き落せたのだ!

だがグレースは門の方のゴブリンを倒すのに忙しく、アデルは門の方へ向かう追加のゴブリンに向かって矢を放つのが精一杯。

相棒を不利な状況に落とさない為に戦う二人、それを理解しているからこそ彼らは動いた。

 

「よせ、お前たちじゃ・・・」

「いくぞ七志!」

「あぁ!俺らなら殺れるさ!」

 

アデルの静止も振り切りアントンと七志はその離れた場所に居る1匹のゴブリン目掛けて走っていく。

そして、ゴブリンが意味の分からない言語で叫びを上げたと思ったら火の玉が手から放たれた!

二人はそれを左右に開いて回避し、シャーマンゴブリンを挟み込む形で襲い掛かる!

 

「頭か心臓を狙え!そこがゴブリンの弱点だ!」

 

アデルの叫びに七志はチラリとアデルに視線を送り、サムズアップをして収納から短剣を取り出す!

シャーマンゴブリンとアントン&七志のバトルが今始まる!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。