異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第30話 ナナシ vs 長兄

「まずお前等は動くな!」

 

死神3兄弟の次男、長兄がそう告げる!

すると馬車の操縦者と馬車から顔を出していたルリエッタがその場で四つん這いになった。

長兄の結界攻撃だ。

 

「馬車の中にナポレ居るんやろ?こいつ等開放したかったらとっとと出て来んかい!さもないとお前の娘ごと馬車を破壊すんぞこらっ!」

 

長兄の怒鳴り声にナポレが沈んだ表情で顔を出した。

シメシメと口元をニヤケさせる長兄であるが、咄嗟にそれをガードした!

 

「オイオイ、人が話している時に仕掛けるとか舐めた事してくれるやないか」

 

サングラスのせいで視線が何処を見ているのか分からない、だが確実に視界に七志の事を入れていたのだろう、不意打ちで投げたファイアーボールが空中で静止させられ前と同じ様に消滅させられたのだ。

だがそれがどうしたとばかりに七志は余裕の表情で馬車へと近付いていく・・・

そして、長兄の目の前で七志は二人の結界を解除して見せたのだ。

 

「お、お前やっぱりワイの結界を解除出来るんやな!」

「さてね、今更そんな事言われても・・・つか前回解除して逃げて見せたじゃん」

 

長兄にとって唯一無二の魔法である結界、それには一方向に圧を掛ける事が出来る付与効果が付けられる。

それが長兄の得意とする戦闘方法で、無敵とも言われている戦い方であった。

考えてみて欲しい、目に見えない物体が空中に固定され、付与効果で一方向に圧を掛けられるのだ。

使い方によっては非常に極悪な魔法であった。

特に不可視の結界は今まで他の者には解除する手段が全く無かったのだ。

知らない間に一生四つん這いに強制的にさせられる魔法攻撃、まさに悪夢そのものであった。

だが、今七志はそれを見事に解除して見せたのだ。

 

「そんじゃ今度はこっちからの反撃と行かせてもらおうかな、ナポレさんはそこでゆっくり見学していて下さいね」

 

そう言って七志は浮かんでいるファイアーボールを右手で握った。

そのままそれを投合してくると読んだ長兄は口をカタカタ鳴らせて笑う。

 

「また馬鹿の一つ覚えか?お前のその攻撃魔法は確かに威力は中々みたいやが、ワシには通用しないってどうして分からんのや?」

「何事もやってみなけりゃ分からないってね、しかも俺の世界の諺にこんなものがある・・・男子、三日会わざれば刮目して見よってね」

「はっ?」

「まぁ最後に会ってから3日も経過していないけどね」

 

そう笑って七志は握り締めたファイアーボールを長兄目掛けて投げつけた!

だが七志の投げたファイアーボールは右方向に反れて飛んでいく。

それを見た長兄、結界でガードしようとして腕を上げたのだが暴投したそれを見て腕を降ろす。

それが七志の計画通りだとは思いもせずに・・・

 

「お前の・・・負けだ!」

「はっ?一体何を言って・・・へぶっ?!」

 

次の瞬間右方向へ反れたファイアーボールが曲がり長兄の顔面に側面から激突した!

明らかに反れていた筈の攻撃だった為、死角からモロに喰らってしまったのだ。

サングラスが吹っ飛び地面に骨の手を付く長兄。

今一体何が起こったのか理解が出来ないようで言葉が出なかった。

 

「戦いはもう始まってるんだぜ?そんなにノンビリしてていいのかな?ほらっ!もう1発!」

 

今度は真正面に投げられたファイアーボール、長兄はそれを手を前に出して結界で防ごうとするが・・・

ファイアーボールが直前で下方向へありえない動きで落下をしたのだ!

 

「げはぁっ?!」

 

下腹部に激突するファイアーボール、目の前で起こった異常現象に混乱し続ける長兄に七志は嬉しそうにネタ晴らしを行なおうと次のファイアーボールを握り締めて歩いて近付いていく・・・

 

「さて、今何が起こったのか分かったかな?」

「ぐ・・・くそっ・・・」

「はいざーんねーん」

 

そう言って再び投げられるファイアーボール、真っ直ぐに長兄の真正面目掛けて飛んでいくそれを見て長兄は結界で消そうとするのだが・・・

直前でファイアーボールは急加速して長兄の顔面を正面から捉えた!

 

「んじゃ答え合わせだ。長兄って言ったっけ?お前があちこちに設置した一定方向へ押す効果があるんだろ?俺はそれを利用させてもらっただけさ」

「り・・・利用?!」

「そう、俺のファイアーボールは他の魔法を取り込めるんだ。だからお前の結界を取り込んだファイアーボールを自由に変化させて貰ったってわけさ。最初のは勿論横に曲げたファイアーカーブボール、そして下へ落とすファイアーフォークボールに最後は加速させたファイアーブーストボールだ!」

「何その魔球?!」

 

顔面をファイアーボールで攻撃されたせいか長兄にはもう余裕が見られなかった。

それでも七志のファイアーボールを3発も喰らってまだ動けるのは驚きである。

 

「お前が防御に使う結界は手のひらよりも少し大きめの長方形の形をしている、そしてそれを長時間保持する事は出来ずそれ以上のサイズは魔力の消費が多すぎる・・・だろ?」

「お・・・お前・・・俺の結界が見えているのか?!」

「最後に防御の結界で受け止めたファイアーボールを反対側から防御の結界に押し潰すように出現させれば完成ってところかな?」

「ぐ・・・」

 

長兄にとって誤算だったのは七志がルリエッタと触れ合う事で嵐と連絡が取れると言うこと、そして嵐からは色調整でパソコン画面の色合いを変化させれば長兄の結界は丸見えとなっていたのだ。

七志と嵐の話し合いで対応策として選ばれたのが、長兄の結界を逆に利用してファイアーボールを自由に変化球へと進化させる事であった。

 

「ぐ・・・ぐぬぬ・・・」

「そう言うわけでこれにておさらば!」

 

そう告げて最後の1つのファイアーボールを七志は投げつけた!

だが、次の瞬間長兄の周囲を肉眼で確認できる結界が覆ったのだ!!

それによってファイアーボールは消滅させられる。

 

「くかか・・・これならばどないや?お前には打つ手がないやろ?降参するなら命だけは助けてやってもええんやで?」

「ふーん・・・でもこれならどうだ!」

 

そう言って七志はファイアーボールを手の平へと出現させ長兄目掛けて投げつけた!

 

「何度やっても同じ・・・ってぇ?!」

「お前の・・・負けだ!」

 

先程と同じタイミングでファイアーボールを投げつけた七志であった。

それに合わせて長兄は視認できる結界を出現させたのだが、それが僅か1秒ほどしか出現させられないのは先程見た通りであった。

なので七志は全く同じモーションで初動だけ加速させ投球に移ったのだが、ファイアーボールは消滅しなかった。

長兄が視認できる結界を長時間出現させられないのは知っている、だからこそ七志は投げるのを遅らせたのだ。

既に今さっき結界を取り込んだファイアーボールは使い切ったので、純粋な七志の投法であった!

そう、これが・・・これこそが七志が嵐と相談して生み出した一撃!

 

「名付けるなら、ファイアーチェンジアップボールだな!」

 

その言葉と共に真正面からモロにファイアーボールを食らった長兄はそのまま何も言う事無く消滅していくのであった・・・

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