異世界ツクール   作:昆布 海胆

405 / 435
第38話 全てはナナシの計画通りに進む・・・

水晶玉に映し出された映像、そこに映る七志達は宿を出発し、迷う事無く真っ直ぐに転移装置の隠された廃屋へ移動した。

その間もルリエッタと手を繋いでいる七志、中へ入ってそのまま床板を持ち上げ地下室へ下りていく・・・

後ろに続くリルとナポレ、七志の不可思議な行動に困惑しながらも遅れないように後を付いていき・・・

 

『ファイアーボール!そしてファイアー!』

 

ナナシが魔力をチャージする魔石に魔法を使用した。

時間を焼却して時を巻き戻す魔法、それは数日前にカーズが使用した時の状態まで時を巻き戻す。

そう、カーズが使用した時の状態に戻ったという事は魔力がチャージされた状態になったという事である。

 

「だ、だが・・・この後の暗証番号が・・・」

 

魔力がチャージされて七志は迷う事無くキーボードの様な装置に片手を伸ばし、迷う事無く入力をしていく・・・

 

「ばっばかな?!」

 

36桁の暗証番号、登録したカーズですら暗記する事が出来ない程の情報なのに七志はそのまま入力をしていき・・・

床が光って転移したのだ。

 

画面は切り替わり、城の地下室へ移動した七志達は再び迷う事無くトラップ部屋には目もくれず、真っ直ぐに牢へ向かう・・・

間違い無くこの城へ七志が足を踏み入れたことなどある筈が無い、勿論地図なんてこの世に存在する筈もない、にも拘らず七志は真っ直ぐに牢まで移動して・・・

 

『ファイアーボール!そしてもいっちょファイアー!』

 

それは再び時を焼却する魔法、夜と言う事で水以外与えていなかったスマイル館の面々は空腹に耐えながら眠っていた。

そこへ七志の魔法での明かりと声、そして開く牢の扉。

歓声が上がりそうになるのをナポレが飛び出しその口を押さえて黙らせる。

彼等の衣装は暗闇に身を潜めるように暗い、それが見つからないように救出に来たのだと説得力を持たせるためなのだろうとカーズは理解した。

そして、再び地下の魔法陣の部屋まで移動して、七志はスケさんに少し話をしてからファイアーで起動させ彼等を町へと飛ばした。

残ったのはカーズが精神支配を行なったナナのみ、偶然ではないだろうとカーズは推測する。

何故分かったのか全くの謎であるが、七志の周囲を飛びながら残っていた人魂を掴んでネネの頭部へ押し付ける。

 

「くそっそういうことか」

 

七志のファイアーボールは投げつければ攻撃魔法、掴んだまま魔法へ押し当てれば魔法を取り込むのである。

ネネの脳へと付与されていた精神支配の魔法は七志のファイアーボールの中へと取り込まれ、ネネを連れてそのまま上の階へ向かう・・・

そして・・・

 

「なっなんだと?!」

 

そこに転がっていた魔物、ウサミミ骸骨に七志は先程のファイアーボールを押し当てて耳元で何かを囁く・・・

そして、何処かへ行ったのを確認してその場に膝を付く七志。

そう、七志のファイアーボールは魔力ではなくHPを使用して発動させる魔法、更に数回のファイアーで七志はかなりの体力を消耗していたのだ。

その七志を介抱するルリエッタとリル。

周囲をナポレが警戒しながらゆっくりと休み・・・自分が気付いて飛び出す直前に七志は立ち上がったという事であった。

 

「で、では今のヤツは満身創痍なのか・・・しまった!」

 

水晶玉の映像を見ることに夢中になって居たせいで気づかなかったカーズ。

七志が魔法で扉を解除されている状態に戻せば直ぐにでも中へ入ってこれるのにそうしなかった事実に気付かなかったのだ。

慌てて扉を開くカーズ、だがそこには当然だが既に七志達は居なかった・・・

 

「・・・まさか?!」

 

慌てて自室へ戻って水晶玉で映像を確認すると今まさに恐れていたそれが現実へと変わっていた。

ウサミミ骸骨が城の地下の転移装置を破壊しているのだ。

更に七志達は十二指町へ転移し、あの宿へ向かってナポレの肩を借りながら歩いている光景が映し出されていた。

今戦えば簡単に殺せた筈の相手は既に手の届かないところまで移動していたのだ。

 

「くっそ!ちくっしょおおおおお!!!!!」

 

自室を飛び出すカーズ。

目的地は勿論地下室の転移装置だ。

完全に七志に弄ばれた形になった現状に怒り狂いながらカーズが地下室の扉を開くと同時であった。

ウサミミ骸骨が壊れた転移装置の魔石を掴んだままカーズから預けられていた『何処へでもドア』を潜っていたのだ。

 

「貴様!まっ待て!!!」

 

だが時既に遅し、何処へでもドアがそのまま消え去る。

ウサミミ骸骨はカーズの使用した精神支配の魔法を七志にファイアーボールで奪われて、更にそれを使用され操られていたのだ。

その行き先は使用者本人にしか分からない魔道具、つまりカーズには後を追う事が出来無いのだ。

 

「がっがぁああああああああああああああああああ!!!!!」

 

怒りのままに半壊した転移装置を叩きつけるカーズ。

先程水晶玉で確認済みなのだ。

移動先の転移装置も既に破壊されているという事を・・・

全ては七志の作戦勝ちであった。

 

「許さん・・・絶対に許さんぞおおおおお!!!!!」

 

そのまま自室へ再び戻り、自分の杖を手にして城を飛び出すカーズ。

だが真夜中の山道、しかも七志達が向かってきた時の為に仕掛けた数々の罠が逆に自らを苦しめる結果になる事に気付くのはもう少し後のことであった。

 

 

 

 

 

 

宿に帰り着いた七志は店主へと交渉していた。

 

「真夜中にすみません、1週間って話だったんですけど明日出発したく思いまして・・・ですので残り6日分の料金で宿を貸しきらせて下さい!」

「えっと・・・ま、まぁそれは構わないんのだが・・・」

 

本来であれば料金を取りすぎなのだがそれは伝えない、十二指町は入る事は出来ても外へでる事が出来ない町である。

そんな町の宿に泊まるのは出入りが唯一許されている商人のみなのであった。

しかも今日は宿に宿泊客が居ない事は七志は確認済み・・・

だからこそ店主は了解する。

なにより宿の本当の値段を知っているスケさんがそこに居るのだからそれ以外選択肢が無いのは明白であった。

 

「本当真夜中にすみませんね、それじゃあ皆好きな部屋で休んでくれ!」

 

そう伝え各々好きな部屋へと移動して各々好きに休む。

七志も借りている自室へ移動して部屋数の関係で相部屋となったナポレ達と共に休む。

 

「七志さん・・・本当に貴方は一体・・・」

「あぁ、詳しい説明は明日カーズと戦う時に教えてあげますよ」

 

そう言って七志は目を閉じる、少しでも回復させて明日の決戦に向けての準備をする・・・

ベットが2つしか無いこの部屋で七志と女性二人がそれぞれベットを使い、ナポレは椅子に座って休む。

リルも色々聞きたい事があるのだが、疲れ切っている七志の様子とルリエッタが何も言わないので口を開かなかった。

全ては明日判明すると七志が言ったのでそれを信じ、眠りにつくのであった・・・

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。