異世界ツクール   作:昆布 海胆

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第49話 死神将軍編 エピローグ

七志とルリエッタの前から姿を消した女神フーカ。

彼女はそのまま二人のバイパスを通り、嵐の前に姿を現していた。

 

『フフフ・・・これは面白いわね』

「女神フーカさんで良かったんだよな?」

『あぁ、もっと気楽に話してもらって構わないよ、この世界の中の観測者さん』

 

七志達に見せたオッドアイは前髪で隠れ気楽な感じで話しかけるフーカ。

彼女に対して嵐もまたそれほど気負った感じは見せずに話をする。

フーカにとっては嵐の存在を正確に認識しているのだが、嵐はフーカの存在を誤認していた。

それは上の次元が存在する事を認知していないからこその誤解、嵐にとって女神と言う存在は自分達個々の世界の上位者である。

だからこそ七志達が居る世界を司る女神だと勘違いをしていた。

 

『それでだ、君に話しておきたい事がある・・・』

 

それは嵐にとって予想もしていなかった内容であった。

七志が居る世界、そこに具現化した女神が自分の所に姿を現したと言う事実を理解していなかったからこその驚き。

 

「なぜそこまで・・・もしかして君は!」

『あの世界は何かおかしい、彼は特異点ではあるが彼だけが違う』

「つまり・・・七志にやらせるしか無いって事なのか?」

『あの世界を守りたいのならね、でもこれは教えちゃダメよ』

 

そう言ってフーカは姿を消した。

嵐は少し考えを巡らせた後、念話を使って七志に伝える。

 

「相棒、聞こえるか?どうやら俺たちは世界を救わないと駄目らしいぞ・・・」

 

 

 

 

 

嵐が七志にソフィと共に別の区へ行くべきだと話をしているその時、世界の中心の闇の中でそいつは目を覚ましていた。

 

『この気配、まさか!?だめ、もう消えちゃった・・・だけど間違いない、やっと見つけた・・・』

 

何も見えない闇の中に浮かぶ1人の少女。

禍々しい瘴気を周囲に漏らしながら顔を上げた少女は初めて異変に気付く。

 

『なんで・・・?なんで私の力が及ばない場所が在るの?・・・でもどうでもいいか、それよりもまた見つけたら今度こそ・・・』

 

七志が死神将軍を倒した事で区が一つ少女の力から解放された。

そう、彼女こそがこの世界をこんな状態にした張本人であった。

少し世界を知覚して気配を探すが先程の気配はもう何処にも無かった。

少女は再び同じ気配を感じた時に動けるように膝を抱えて眠りに付く・・・

女神フーカとの再開を夢見て・・・

 

 

 

 

 

 

 

「あっおかえりなさい七志さん、ルリエッタさん!」

「エリちゃんただいま、ところでアレは何をやってるの?」

 

スマイル館に戻ってきた七志とルリエッタはその光景を見上げていた。

スマイル館の面々が縦に押さえた梯子の一番上に登ったネネ、その手には急須の様な物が握られていた。

そのまま視線を下げると地面にはコップを手に空を見上げるスケさん。

 

「なんでもね、お茶は高いところから入れれば風味が良くなるって話を聞いたから、検証実験しているらしいの」

 

ナポレの娘であるエリちゃん曰く、お茶を高いところから入れればコップ内で混ざって風味が良くなるなら、めちゃ高い場所から入れたらもっと美味しくなるんじゃないか?と言う検証実験らしい。

 

「いきますよ~」

「よっしゃぁー!ばっちこーい!」

 

スケさんの返事と共に梯子の上からネネがお茶を注ぐ。

だが当然、野外でこんな事をすれば風に煽られてお茶は飛び散るのは想像に容易い。

結果・・・

 

「うわっちゃちゃちゃちゃ!!」

「ひげぇっ!?あちーーーいい!!」

「うわっぽぅわっ?!」

「あびゃびゃっ!?」

 

飛び散った熱いお茶は梯子を支えていた者達に降り掛かり慌ててその手が梯子から離れる。

まるで時間が静止したかのようにその光景がスローで流れていた。

倒れる梯子と共に落下するネネ、下で頭から熱いお茶を被って悶絶するスケさん。

危ないッ!そう考えた次の瞬間、ナポレが飛び出しネネを見事にキャッチ!

梯子はそのままスケさんの頭部に直撃しコップごと地面に叩きつけられる。

まるでコントの様な光景に周囲の人々は七志含めて大爆笑、誰一人としてスケさんの心配をする者は居なかった。

 

「あっあの、ナポレさん・・・ありがとうございます」

「いえ、お怪我が無い様で良かったです」

 

面白い事をやるだけで七志から給料が支払われスマイル館で生活が出来る。

それをこうやって続けてくれると確信した七志。

ここへ戻る最中に嵐から聞かされた話を思い出しこの後旅に出ることを話すのであった・・・

 

ちなみに、この動画は勿論嵐の手でアップロードされて再生回数150万回を突破する事になるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日の明け方・・・

 

「七志はん、ルリエッタ・・・二人共気をつけるんやで」

「スケさん、ありがとう」

「皆にもよろしく言っておいてくれな」

 

七志はスマイル館の面々が寝ている間にルリエッタと共に出発をする事にしていた。

それを見送るのはスケさんただ1人・・・

 

「まぁこっちは適当に面白い遊びをやっておくから給料の方宜しくたのんまっせ」

「はいはい、とりあえず忘れずの都にはギルド無いみたいだから先に顎骨町で何か月分か先に振り込んでおくよ」

「忘れんでな、ほな」

 

そう言ってスケさんは右手を上げて二人を見送る。

二人もそれに軽く手を上げて出発をした。

死神一族を尽く滅ぼした隣の区の植物族・・・

一体どんな相手なのかと考えながらルリエッタと共に七志は停められていた馬車へ向かう。

 

「ほらっ途中までは一緒なんだから早く乗りなさいよ」

 

そう言って七志達を待っていたのはリルであった。

彼女は七志達とは別行動をする事が決まっていた。

 

「でも本当に一緒に行かなくて良いのか?」

「もう決めたの、私は自分を鍛えてくるわ。いつか七志を助けられるようにね」

 

そう言って笑うリル、それに関しては昨日も話を何度もしたのでそれ以上何も言わない。

ルリエッタは一緒に行こうと何度も言ったのだが、リルが受け入れなかったのだ。

リルにとって、死神将軍との戦いで何の役にも立てなかったのが悔しくて仕方ないのだ。

 

「それじゃあミスリル、顎骨町まで宜しくな」

「はいはい、それじゃ出発~」

 

馬車が走り出し雇われた従者と3人はスマイル館を離れる。

見送りは拒否していたのでその場には誰も来て居なかったが、スマイル館の屋上に全員が集まって3人を見送っていた。

その心に在るのは感謝、きっとナナシなら別の区も救って帰ってきてくれると信じて一同はナポレに倣って頭を下げていた。

 

 

 

 

 

第3章 第2部 完




ここまでお読みいただきありがとうございます。
すみませんが、次の部の途中で更新停止しておりまして完結していません。
出来てるところまでは引き続き更新しますが途中で止まることをご了承下さいませ。
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